転職

目次
  1. IT職の求人倍率は1.33倍。一般事務の4倍以上
  2. 戻る割合は、あなたではなく「コース」で決まる
  3. 30万・60万・80万円のコース、実際いくら戻る?
  4. 経産省の補助もある。ただし入口がちがう
  5. 短期? 長期? 無料? コースのタイプを比べる
  6. 無料相談で聞くこと、5つ
  7. 申し込むまでの順番は、後ろから数える
  8. よくある質問

夜、スマホでプログラミングのスクールを見ていたら「給付金で最大80%戻る」の文字。80万円のコースなら、64万円戻るの? そう思いますよね。でも、80%は、資格を取り、雇用保険に入る形で就職するなどして、給料も5%以上上がった人の数字です。同じ80万円でも、コースの種類によって、戻る額は10万円から64万円まで変わります。読み終わるころには、気になるコースで自分がいくら払うのか、自分で計算できるようになります。

この記事でわかること

  • IT職の求人は、国の数字だとどのくらいあるか
  • 受講料30万・60万・80万円のコースで、実際いくら戻るか
  • 短いコース・長いコース・無料の訓練、どれが合うか
  • スクールの無料相談で、申し込む前に聞くこと

先に結論

  • 受講料80万円でも、戻るのは10万円〜64万円。64万円は、資格を取って雇用保険に入る形で就職するなどしたうえで、給料が5%以上上がったときの額
  • IT技術者の求人倍率は1.33倍(2026年8月)。一般事務の0.29倍より高い。でも、IT職を探す人も1年前より増えている
  • 申し込む前に、無料相談で「どの給付の指定コースか」と、途中でやめたときのお金を聞く

メモ

時間がない人へ

03の計算だけでも見てください。受講料ごとに、戻る額と自分で払う額を並べています。

01IT職の求人倍率は1.33倍。一般事務の4倍以上

ひとことで求人は多め。でも、IT職を探す人も増えている。

まずは、IT職の求人がどれくらいあるかを見てみます。使うのは、ハローワークの求人の数と、仕事を探している人の数をまとめた国の調べです。

ことば有効求人倍率

仕事を探している人1人に、求人がいくつあるかを表す数字。1より大きければ、探す人より求人のほうが多い、ということです。

仕事ごとの有効求人倍率(2026年8月・パートを含む)
IT技術者1.3倍
仕事全体1.1倍
一般事務0.3倍
デザイナーなど0.2倍

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表6。IT技術者は「情報処理・通信技術者」。季節による動きをならしていない数字(原数値)。発表の見出しの1.18倍は季節調整値なので、ちがう数字です

IT技術者は1.33倍。探す人が多い一般事務(0.29倍)の4倍以上です。デザイナーなどは0.15倍で、求人より探す人がずっと多い仕事です。

ただ、1年前の同じ月と比べると、IT技術者の新しい求人は3.4%減りました。反対に、IT職を新しく探しはじめた人は11.1%増えています。

5,593件

IT技術者の仕事で、ハローワークが紹介した件数

361件

同じ月に就職が決まった件数

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表6(パートを含む)。どちらも1か月分の件数。紹介した月と決まった月がずれることもあり、同じ人とは限らない

この月だと、決まった数は、紹介した数の約6.5%でした。仕事全体だと約26%です。1か月分の数どうしなので、目安として見てください。

メモ

「未経験OK」の数は、この統計ではわからない

この数字はハローワークの求人だけで、経験者向けの求人も含みます。転職サイトなど、ハローワーク以外の求人は入っていません。なので、倍率が高い=未経験でも入りやすい、とは言い切れません。学ぶ前に、移りたい仕事の求人を10件読んで、何ができる人がほしいのかを見ておくのがおすすめです。

求人は多め、でも学んだだけで決まるわけではない。だからこそ、学ぶお金はなるべく少なくしたいですよね。じゃあ、給付金でいくら戻るのか。

02戻る割合は、あなたではなく「コース」で決まる

ひとことで同じスクールでも、コースごとに給付の種類がちがう。

国の教育訓練給付には、3つの種類があります。どれになるかは、国がそのコースをどの種類に指定したかで決まります。自分で選べるわけではありません。

  • 一般…受講料などの20%(上限10万円)
  • 特定一般…40%(上限20万円)。プラス1で50%(上限25万円)
  • 専門実践…50%(1年で上限40万円)。プラス1で70%(1年で56万円まで)、プラス2で80%(1年で64万円まで)
  • プラス1…資格を取るなどして、終わってから1年以内に、雇用保険に入る形で就職したとき。働きながら受けて資格を取った場合も対象です。くわしくはハローワークで聞いてください
  • パートの一部や業務委託、フリーランスのように、雇用保険に入らない働き方だと、プラスの分は出ないことがあります
  • プラス2…プラス1に加えて、終わったあとの給料が、始める前より5%以上上がったとき(専門実践だけ)

フリーランスなど、雇用保険に入っていなかった人は、この給付金は使えません。雇用保険に入っていた長さなど、使えるかどうかの条件はこちらの記事でくわしく書いています。ここでは、お金の計算に進みます。

ポイント

2024年10月から、プラスが増えています

特定一般の50%と専門実践の80%は、2024年10月1日から後に始めたコースだけ。古い記事には、このプラスが書かれていないこともあります。

0330万・60万・80万円のコース、実際いくら戻る?

ひとことで上限があるので、高いコースほど「戻る割合」は下がる。

受講料(入学料も入れて)ごとに、戻る額と、あなたが払う額を出しました。専門実践は、1年で終わるコースとして計算しています。

30万円のコース

  • 一般…戻るのは6万円。払うのは24万円
  • 特定一般…戻るのは12万円(払うのは18万円)。プラス1なら15万円(15万円)
  • 専門実践…戻るのは15万円(15万円)。プラス1なら21万円(9万円)、プラス2なら24万円(6万円)

60万円のコース

  • 一般…20%は12万円だけど、上限があるので10万円。払うのは50万円
  • 特定一般…40%は24万円だけど、上限で20万円(40万円)。プラス1なら25万円(35万円)
  • 専門実践…戻るのは30万円(30万円)。プラス1なら42万円(18万円)、プラス2なら48万円(12万円)

80万円のコース

受講料80万円で、戻る額(いちばん多いとき)
一般10万円
特定一般20万円
特定一般+125万円
専門実践40万円
専門実践+156万円
専門実践+264万円

出典:ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」の率と上限から計算(2026年10月時点)。専門実践は1年で終わるコースとして計算

一般だと10万円しか戻らず、払うのは70万円。専門実践でプラス2までそろえば、払うのは16万円です。差は54万円。値段より先に、どの種類かを見てほしい理由がここにあります。

気をつけて

お金は、先に全額払います

給付金は、あとから戻るお金です。一般と特定一般は、最後まで受けたあとに申し込みます。専門実践は、受けているあいだ6か月ごとに申し込みます。プラスの分は、資格を取って、雇用保険に入る形で就職したあとなど。それまでのお金は、自分で用意しておきましょう。

もとになるのは入学料と受講料だけ。試験を受けるお金や、パソコン代、交通費は入りません。戻る額が4千円以下なら、給付金は出ません。じゃあ、ほかにお金の手助けはないの?

04経産省の補助もある。ただし入口がちがう

ひとことで働きながら転職をめざす人向け。決まった事業者から受ける。

経済産業省(経産省)には「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」があります。キャリアの相談、学ぶコース、転職の手伝いを、ひとつの事業者からまとめて受けるしくみです。

50%

コースを最後まで受けたとき(上限40万円)

20%

転職して1年働き続けたとき、追加で(上限16万円)

出典:リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業(経済産業省)「転職をご検討の方」。受講費用(税別)の1/2と1/5

合わせて最大70%、56万円です。ただし、このお金は国から事業者に出ます。あなたは、そのぶん安くなった値段でコースを受けるしくみです。いくら安くなるかは、事業者ごとにちがいます。

厚労省の給付金と、経産省の補助

教育訓練給付(厚労省)

いいところ

  • 辞めたあと1年以内でも使える
  • 選べるコースが多い
  • 転職しなくても、もとの分はもらえる

気をつけること

  • 雇用保険に入っていた長さの条件がある
  • いったん全部を自分で払う
  • 特定一般と専門実践は、始まる前の手続きがいる

キャリアアップ支援(経産省)

いいところ

  • キャリアの相談と、転職の手伝いがついている
  • はじめから安くなった値段で受けられる

気をつけること

  • 申し込むときに働いていて、会社を変えたい人だけ
  • この事業に選ばれた事業者のコースだけ
  • あとの1/5は、その事業者の紹介などで転職したとき

コースを受けられる事業者は、この事業のサイトで探せます(掲載は2026年8月時点の情報)。いくら安くなるか、いつまで受け付けるかは事業者ごとにちがうので、相談のときに確かめてください。

お金のしくみがわかったら、次はコースの形です。短いもの、長いもの、無料のもの。どれを選ぶかで、生活も変わります。

05短期? 長期? 無料? コースのタイプを比べる

ひとことで働きながらなら短期・オンライン。辞めたあとなら無料の訓練も。

短いコースと、長いコース

数か月のオンラインコース

いいところ

  • 働きながら、夜や土日に進められる
  • 早く終わるので、早く応募に進める
  • 受講料が比べやすい

気をつけること

  • 一般の指定だと、戻るのは上限10万円
  • ひとりで続ける力がいる
  • 質問できる時間が決まっていることも

1〜2年のコース

いいところ

  • 専門実践なら、戻る額が大きい
  • 基礎から時間をかけて学べる
  • 仲間や先生と会える通学のものもある

気をつけること

  • そのあいだの生活費をどうするか考える
  • プラスの条件は、最後まで受けて就職すること。途中でやめると、そこに届かない
  • 仕事と両立できる時間割か、先に見る

向かないのは、「何をつくる仕事か」がまだ決まっていない人。まず求人を読んで、学ぶことを決めてからにしましょう。

お金を払うコースと、無料の訓練

コース+給付金

いいところ

  • 働きながら受けられる
  • 選べるコースが多い

気をつけること

  • 受講料の一部は自分で払う
  • 給付金は、あとから戻る

ハロートレーニング受講料0円

いいところ

  • 受講料はかからない(テキスト代などは別)
  • プログラマーをめざすコースなどもある
  • ハローワークが仕事探しを手伝う

気をつけること

  • おもに仕事を探している人向け
  • まずハローワークで相談してから
  • 募集の時期とコースは地域でちがう

無料の訓練は、ハローワークで相談してから申し込みます。条件や、受けているあいだのお金も、そこで聞けます。

WE POPのおすすめは、働きながら短いコースで試すことです。IT職が自分に合うかを、収入を止めずに確かめられるからです。合うとわかってから、長いコースを考えても遅くありません。

06無料相談で聞くこと、5つ

ひとことで「給付金の対象です」だけで決めない。種類と、やめたときを聞く。

スクールの無料相談は、こちらがコースを選ぶ場でもあります。次の5つを、メモを見ながら聞いてみてください。

聞けたものをタップしてみてください

当てはまったのは 0 / 5個

1つ目は、厚生労働省の講座の検索システムでも確かめられます。スクールの説明と、検索システムの種類が合っているかを見てください。

気をつけて

「今日申し込めば実質無料」と言われたら

給付金は、最後まで受けて、条件に合ってはじめて戻るお金です。申し込んだ時点でもらえるわけではありません。キャッシュバックなどを受けたのに、その分を引かずに申請すると、不正受給になることもあります。あせらせる勧誘を受けたら、その場で契約せず、消費者ホットライン「188」に相談してください。

スクール以外にも、無料で相談できる国の窓口があります。ハローワークの訓練の窓口と、国の「無料キャリアコンサルティング」です。コースを選ぶ前に、仕事の相談のプロと話せます。

07申し込むまでの順番は、後ろから数える

ひとことで特定一般と専門実践は、始まる2週間前までにハローワークへ。

  1. 移りたいIT職の求人を10件読む

    求人に出てくる言葉や資格をメモします。何を学ぶかは、そこから決めます。

  2. コースの種類を、検索システムで確かめる

    「教育訓練給付金 検索システム」でコースの名前を探し、どの種類の指定かを見ます。

  3. 自分が使えるか、ハローワークで聞く

    「支給要件照会」をすると、使えるかどうかを教えてもらえます。窓口のほか、郵送やネットでもできます。電話ではできません。

  4. 特定一般・専門実践なら、プロと話してシートを作る

    これまでの仕事や目標を書く「ジョブ・カード」を作って、相談のプロと話します。予約がいるので、始まる1か月以上前から動くと安心です。

  5. 始まる2週間前までに、ハローワークで手続き

    これを忘れると、お金が戻らないことがあります。そのあと、コースに申し込みます。

一般は、前もっての手続きはいりません。終わった次の日から1か月以内に申請します。手続きのくわしい流れは未経験の転職の記事にまとめています。

08よくある質問

Q給付金と経産省の補助は、両方使えますか?

A国の資料では、はっきり確かめられませんでした。申し込む前に、そのコースの事業者とハローワークの両方に聞いてください。

Q資格を取らないと、プラスの分はもらえませんか?

Aプラスの分は、資格を取るなどして、終わってから1年以内に雇用保険に入る形で就職するのが条件。働きながら受けて資格を取った場合も対象です。取らなくても、もとの40%や50%は、ほかの条件に合えばもらえます。

Q辞めてから学んだほうが早いですか?

A時間は使えますが、収入が止まります。WE POPのおすすめは、まず働きながら短いコースで試すことです。教育訓練給付は、辞めたあと1年以内に始めれば使えます。辞めるか迷っているなら、第二新卒、いつ動く?も読んでみてください。

Q学んだことは、どうアピールすればいい?

A作ったものや取った資格は、応募の書類に書けます。何を作ったか、どこでつまずいて、どう直したかまで書くと、学んだ中身が伝わります。

今日の最初の一歩

気になるコースの受講料と「給付の種類」をメモする

スクールのページで、受講料と、一般・特定一般・専門実践のどれかを探します。03の計算に当てはめて、自分で払う額を出してみてください。5分で終わります。

2026.10.09 公開 文・WE POP編集部

参考にした情報

制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。

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