転職

目次
  1. 経験がないと、転職はむずかしい?
  2. 働きながら学ぶ? 辞めてから学ぶ?
  3. 受講料が戻る「教育訓練給付」って?
  4. 自分は使える? 雇用保険の長さを見てみよう
  5. 無料で学べる「ハロートレーニング」って?
  6. 給付金を使って学ぶまで、どう進む?
  7. 動き出す前に、準備できているかチェック
  8. よくある質問

昼休みにSNSを見ていて、ITやデザインの仕事をしている同年代の投稿に、ちょっと心が動く。でも、経験がないと無理かな。スクールに通うにも、お金がかかりそう。そんな人に向けて書きました。学ぶためのお金には、国の支援があります。読み終わるころには、自分がどの支援を使えそうか、何から始めればいいかがわかります。

この記事でわかること

  • 経験がなくても、ちがう仕事に移れるのか
  • お金が戻る「教育訓練給付」のしくみと、戻る額
  • 無料で学べる「ハロートレーニング」は、誰が使えるか
  • 給付金を使って学ぶ流れと、忘れると損をする手続き

先に結論

  • 若手の中途採用で、会社がいちばん多く重視していたのは意欲。経験だけで決まるわけではない
  • 国が選んだ講座なら受講料の20%〜最大80%が戻るしくみ、辞めたあとなら無料で通える訓練もある
  • 給付金は、講座が始まる前の手続きを忘れると、もらえないことがある

メモ

時間がない人へ

06の流れだけでも、読んでおいてください。講座が始まる前の手続きを忘れると、お金が戻らないことがあります。

01経験がないと、転職はむずかしい?

ひとことで経験だけで決まるわけじゃない。会社がいちばん多く重視していたのは「意欲」。

まずは数字から。国(厚生労働省)の調べでは、20代は、30代以上より転職する人の割合が高くなっています。

1年のうちに転職して、新しい職場に入った人の割合(2025年)
20〜24歳・男16.5%
20〜24歳・女15.8%
25〜29歳・男14.1%
25〜29歳・女17.1%
全年齢9.9%

出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査」転職入職率。1年間に転職して入った人の数を、働く人の数で割ったもの

全年齢の9.9%と比べると、20代はどこも14%をこえています。20代で仕事を変えるのは、よくあることなんです。

では、会社は中途採用でどこを見ているのか。15〜34歳の正社員を中途で採った会社に、国が聞いています。

72.7%

意欲・チャレンジ精神を重視

66.9%

コミュニケーション能力を重視

42.3%

仕事や訓練の経験を重視

出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」若年正社員(15〜34歳)の中途採用で、選考にあたり重視した点(複数回答)。上位5つのうち3つを抜き出し、名前を短くしています(3位は「マナー・社会常識」58.1%、4位は「組織への適応性」51.8%)

いちばん多いのは意欲で、経験を重視した会社は4割ほど(5番目)。この「経験」には、訓練を受けた経験も含まれます。中途採用では、新卒(14.7%)より経験が重視されるのも事実です。それでも、経験がないからとあきらめなくていい、と私たちは考えています。

メモ

専門の仕事なら、学んだ証拠を見せたい

ただ、仕事によってちがいもあります。国の別の調べで、「専門的・技術的な仕事」を見てみます。ITやデザインのほか、医師や保育士なども入る広い分け方です。転職者を採った理由(3つまで選ぶ質問)の1位は「経験を活かし即戦力になるから」で、64.1%でした(2025年)。これは経験者を採った理由です。未経験から目指すなら、講座や訓練で学んで、作ったものを見せられるようにしておくのが、WE POPのおすすめです。

02働きながら学ぶ? 辞めてから学ぶ?

ひとことで迷ったら、働きながら学ぶほうから考える。

学び方は、大きく2つ。今の仕事を続けながら講座で学ぶか、辞めてから国の訓練に通うかです。使える支援も、それぞれちがいます。

働きながら学ぶおすすめ

いいところ

  • 給料をもらいながら学べる
  • 国が選んだ講座なら、払ったお金の20%〜最大80%が戻る
  • 夜や土日、通信で学べるものもある

気をつけること

  • お金は、いったん自分で払う
  • 仕事のあとに、勉強の時間をつくるのが大変
  • 雇用保険に1年以上入っているなどの条件がある

辞めてから訓練を受ける

いいところ

  • 受講料はかからない(テキスト代などは別)
  • 失業保険や給付金をもらいながら、通えることがある
  • 学ぶことに、時間を全部使える
  • 教育訓練給付も、辞めたあと1年以内なら使える

気をつけること

  • 収入が減るので、そのあいだのお金を用意しておく
  • 面接や筆記試験などの選考がある
  • 選べるコースや募集の時期は、地域によってちがう

どちらが合うかは、人によってちがいます。辞めるかどうかで迷っているなら、第二新卒、いつ動く?も読んでみてください。

WE POPのおすすめは、まず働きながら学ぶほうです。その仕事が自分に合うかを、収入を止めずに試せるからです。もう辞めている人や、辞めると決めている人は、05のハロートレーニングから見てください。

ポイント

学んでから辞めると、失業保険の「1か月待ち」がなくなることも

自分の都合で辞めると、失業保険(雇用保険の基本手当)には、原則1か月の待ち期間があります。これを「給付制限」といいます。2025年4月から、ここが変わりました。辞める前の1年以内に、教育訓練給付の講座などを最後まで受けていれば、この1か月を待たずにすみます。2025年4月1日以降に受講を始めた講座が対象です。辞めたあとハローワークに申し出て、修了の証明などを出します。7日間の待期は残ります。くわしくは、ハローワークで聞いてみてください。

03受講料が戻る「教育訓練給付」って?

ひとことで国が指定した講座なら、払ったお金の20〜80%が戻ってくる。

ことば教育訓練給付

国が指定した講座を最後まで受けると、払ったお金の一部が戻ってくるしくみ。お金は雇用保険から出ます。手続きは、住んでいる地域のハローワークで。

講座は、レベルなどで3つに分かれていて、戻ってくる割合がちがいます。

払ったお金のうち、戻ってくる割合(いちばん多いとき)
一般20%
特定一般50%
専門実践80%

出典:ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」(2026年10月時点)

  • 一般…20%(10万円まで)。終わったあとに申請する
  • 特定一般…40%(20万円まで)。資格を取って就職などをすると、50%(25万円まで)
  • 専門実践…50%(1年で40万円まで)。資格を取って就職などをすると70%(56万円まで)。さらに給料が5%以上上がると、80%(64万円まで)

専門実践は、3年で最大192万円まで(4年制の講座などは、4年目の分が出ることもあります)。看護師などの資格をめざす学校や、ITなどデジタルの技術を学べるものもあります。講座の数は3,485(2026年10月1日時点)。土日に開くものが328、通信で学べるものが934あります。

ポイント

2024年10月から、戻る額が増えました

特定一般は、資格を取って就職などをすると10%増えて50%に。専門実践は、給料が5%以上上がると、70%からもう10%増えて80%になりました。2024年10月1日以降に始めた人が対象です。

戻ってくるのは、入学料と受講料のぶんだけ。試験を受けるお金や、なくてもいい教材、交通費、パソコン代は入りません。割引があったときは、割引のあとの額がもとになります。

気をつけて

「給付金で実質タダ」とせかされたら、いったん止まる

国が指定するのは、学校ではなく「講座」です。「国の指定校」をうたう勧誘には気をつけてください。給付金は、申し込んだ時点で先にもらえるものではありません。キャッシュバックやパソコンのプレゼントを受けたのに、その分を引かずに申請すると、不正受給になることもあります。あやしいと感じたら、その場で契約せず、消費者ホットライン「188」に相談してください。

04自分は使える? 雇用保険の長さを見てみよう

ひとことではじめてなら、雇用保険に入って1年(専門実践は2年)でOK。

使えるかどうかは、雇用保険に何年入っていたかで決まります。

ことば雇用保険

仕事をなくしたときなどにお金が出る、国の保険。週20時間以上で、31日以上働く見込みがあれば、パートやアルバイトでも入ります。給与明細で、この保険のお金が引かれていれば入っています。

1年以上

はじめての人(一般・特定一般)

2年以上

はじめての人(専門実践)

3年以上

2回目からの人(3つとも)

出典:ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」。講座が始まる日までに、雇用保険に入っていた期間

つまり、新卒で入社して1年たてば、一般と特定一般が使える計算です。2年たてば、専門実践もOKです。

  • 辞めた人…辞めた次の日から1年以内に、講座を始めること。妊娠や病気などで、延ばせることもある
  • 転職したことがある人…前の会社のぶんも、あいだが1年以内なら足せる
  • 前に給付金をもらった人…前回から3年以上たっていること

わからないときは、ハローワークに「支給要件照会」を出すと、使えるかどうか教えてもらえます。窓口のほか、郵送やネットからでもOK。電話ではできません。

05無料で学べる「ハロートレーニング」って?

ひとことで仕事を探している人向けの、国の職業訓練。受講料はかからない。

ハロートレーニングは、国の制度として行う職業訓練の愛称です。仕事を探している人が、働くのに必要な技術を無料で学べます。大きく2つあります。

  • 公共職業訓練…おもに、失業保険をもらっている人向け。長さは、だいたい3か月〜2年
  • 求職者支援訓練…おもに、失業保険をもらえない人向け。たとえば、フリーランスだった人や、もうもらい終わった人など。長さは2〜6か月

どちらも受講料はかからず、テキスト代などは自分で払います。まずはハローワークで仕事探しの申し込みをして、相談します。そのあと、面接や筆記試験などの選考があります。

失業保険をもらっている人が、ハローワークの指示で公共職業訓練に通うと、訓練が終わるまでもらい続けられます。もらえる日数が、途中で終わってもです。1日500円の手当(2万円まで)や、交通費も出ます。ただ、指示が出るのは、もらえる日数がある程度残っているうちが基本。辞めたら、早めに相談しておきましょう。

10万円

求職者支援訓練を受けるあいだ、毎月もらえるお金(条件に合う人)出典:厚生労働省「求職者支援制度のご案内」職業訓練受講手当。このほか、交通費などの手当もある

もらえるのは、本人の収入が月8万円までの人など。世帯(いっしょに暮らす家族)では、収入が月30万円まで、貯金などが300万円までという条件もあります。訓練の日は、全部出るのが原則です。10万円がもらえなくても、訓練は無料で受けられます。

ITやデザインのコースもあります。2024年度の求職者支援訓練では、ITのコースを3,775人、デザインのコースを9,357人が受けました。どちらも、3人に1人以上が20代です。

37.9%

ITのコースを受けた人のうち、20代

34.6%

デザインのコースを受けた人のうち、20代

出典:厚生労働省「令和6年度求職者支援訓練実績」年齢別の受講者数から計算

終えて3か月後の就職率は、ITが62.6%、デザインが57.8%でした。ここでの就職は、雇用保険に入る形で働き始めたこと。ITやデザインの仕事に就いたかどうかまでは、この数字からはわかりません。

06給付金を使って学ぶまで、どう進む?

ひとことで講座を決めたら、始まる2週間前までにハローワークへ。

ここでは、受講料が戻る給付金の流れを見ていきます。特定一般と専門実践は、始まる前にも手続きがあります。一般は、前もっての手続きはいりません。順番どおりに進めれば、むずかしくありません。

  1. 国の検索システムで、講座を探す

    「教育訓練給付金 検索システム」で、分野や資格の名前から探せます。お金が戻るのは、国が指定した講座だけ。同じスクールでも、ものによってちがいます。

  2. 使えるかどうか、ハローワークで確かめる

    条件に合うか不安なら、「支給要件照会」をしておくと安心です。講座が指定されているかも、いっしょに教えてもらえます。

  3. キャリアコンサルティングを受けて、ジョブ・カードを作る

    特定一般と専門実践だけの手続きです。「ジョブ・カード」というシートに、これまでの仕事やこれからの目標を自分で書いて持って行きます。そのうえで、仕事の相談のプロと60〜90分ほど話します。正式な名前は「訓練前キャリアコンサルティング」。予約がいりますが、お金はかかりません。まずはハローワークの訓練の窓口へ。

  4. 始まる2週間前までに、ハローワークで手続き

    これも、この2つだけ。ジョブ・カードなどの書類を出します。原則として、始まる日の2週間前まで。講座の申し込みがまだでも、手続きはできます。

  5. 最後まで受ける

    一般と特定一般は、修了(最後まで受けること)が条件です。専門実践は、受けているあいだも6か月ごとに申請します。

  6. 終わったら1か月以内に、ハローワークで申請する

    一般と特定一般は、修了した次の日から1か月以内。資格を取って就職したら、プラス分の申請もします。

ネットの古い記事には「1か月前まで」とあることも。2024年4月から、原則2週間前までに変わっています。

気をつけて

始まる前の手続きを忘れると、もらえないことがあります

特定一般と専門実践は、始まる2週間前までに手続きをしないと、お金が戻らないことがあります。キャリアコンサルティングは予約がいるので、1か月以上前から動いておくと安心です。申し込む前に、その講座が対象かどうかを、厚生労働省の検索システムで確かめてください。講座のページの「指定期間」に、始まる日が入っているかも見ておきましょう。

07動き出す前に、準備できているかチェック

ひとことで講座を選ぶ前に、移りたい仕事の求人を読んでおく。

何を学ぶか決める前に、今の準備の具合を見てみましょう。

当てはまるものをタップしてみてください

当てはまったのは 0 / 6個

求人を先に読んでおくと、何を学べばいいかがはっきりします。求人によく出てくるソフトや資格がわかれば、それを学べるところを探せばいいからです。

ポイント

学んだことは、応募書類で見せる

学んで作った作品や取った資格は、応募の書類に書けます。書き方ははじめての職務経歴書で。未経験OKの求人は、転職エージェントに聞いてみるのも手です。何社使えばいいかは、こちら。

08よくある質問

Qパートやアルバイトでも使えますか?

A雇用保険に入っていれば、使えます。週20時間以上で、31日以上働く見込みがあれば、パートやアルバイトでも入るしくみです。入っていない人は、求職者支援訓練を見てみてください。働きながらでも受けられることがあります(毎月の10万円は、収入が月8万円までの人など)。

Q講座を始めてから、給付金のことを知りました

A一般なら、前もっての手続きはいりません。始めた日に条件に合っていれば、終わった次の日から1か月以内に申請できます。ほかの2つは、始まる前の手続きがいります。気づいたら、まずハローワークに相談してみてください。

Q訓練を受ければ、就職できますか?

A残念ながら、約束はされません。求職者支援訓練のITのコースでも、3か月後の就職率は62.6%でした。訓練中から求人を読んで、応募の準備をしておくのがおすすめです。この訓練では、始まる前から終わったあとまで、ハローワークが仕事探しを手伝ってくれます。

今日の最初の一歩

今夜、検索システムで気になる講座を1つ探してみる

スマホで「教育訓練給付金 検索システム」と調べて開き、学びたい分野や資格の名前を入れるだけ。見つけたら、講座の名前と、3つのうちどの種類かをメモしておきましょう。5分で終わります。

2026.10.03 公開 文・WE POP編集部

参考にした情報

制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。

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