物語転職

この記事にはプロモーションを含みます。登場するソウタさんやナツミさんたちは、WE POPが作った架空の人物です。数字は国の資料のものです。

同窓会の帰りの電車で悩むソウタさん。スマホの検索欄に「フリーター 正社員 無理」、検索結果に「フリーター歴が長いと、正社員は厳しい」

去年の9月、高校の同窓会で「ソウタは今なにしてるの?」と聞かれたとき、ソウタさんは笑ってごまかしました。

ナツミ土曜 23:48

今日の同窓会で、今なにしてるのって聞かれた

本屋のバイト5年目って、言えなかった

フリーターから正社員って、もう無理かな

既読

その夜、ソウタさんがこのLINEを送った相手は、同じ書店で働いていたナツミさんです。ナツミさんはその前の年に、アルバイトから正社員になって、今は別の会社で働いています。

ソウタさんは当時27歳で、東京の実家に住んでいました。大学の就活で内定が出ないまま卒業し、駅ビルの書店でアルバイトを始めました。5年間、一度もシフトに穴をあけたことがありません。2年目からは、新しく入った人に仕事を教える係も任されていました。

母は「好きな仕事なら、それでいい」と言ってくれていました。だからこそ、不安だとは言い出せずにいました。

その日は、高校を卒業してから初めて開かれた、学年の同窓会でした。駅前の居酒屋の座敷では、あちこちで仕事の話が始まっていました。幹事のタクミさんが、ビールを注ぎながら聞いてきます。「ソウタは今なにしてるの?」。首のうしろがじわっと熱くなりました。ソウタさんは「まあ、いろいろ」と笑って、すぐに隣の人の仕事の話に変えました。

帰りの電車で、ソウタさんは「フリーター 正社員 無理」と検索しました。いちばん上の記事の見出しは「フリーター歴が長いと、正社員は厳しい」でした。ソウタさんは見出しだけ読んで、画面を消しました。

同窓会の半年前、春には、ひとりで求人サイトから3社に応募していました。志望動機の欄には「がんばります」としか書けず、3社とも書類で落ちました。家に着くと、母に「同窓会どうだった?」と聞かれました。「ふつう」とだけ答えて、自分の部屋に入りました。

01フリーターから正社員は、もう無理?

ナツミさんからは、すぐに返事が来ました。

ナツミ

わかる。私も去年、同じこと検索してた

フリーター歴が長いと厳しいって書いてあった

ナツミ

でも、バイトから正社員になった人、めずらしくないよ

国の調査に出てた

図解正社員で働く若い人は、みんな最初から正社員?

いま正社員で働く15〜34歳のうち、学校を出てから1年間は正社員以外で働いていた人10.2%約10人に1人

出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」(2023年10月時点)。正社員以外には、アルバイトや契約社員などがふくまれます。

正社員の10人に1人は、最初はバイトとかだったってこと?

ナツミ

そう。だから無理かどうかより、この5年で何を任されたかを書き出してみて

ソウタさんは、スマホのメモに書き出してみました。レジと品出しは、誰でもやっています。でも、新しく入った人に仕事を教える係は、店長から頼まれたものでした。自分が教えた人は、去年はひとりも辞めませんでした。

ナツミ

それ、ちゃんと残しといて。面接で話せるやつだから

でも、ひとりで応募して3社とも落ちたんだよね

誰かに相談したほうがいいのかな

02相談したら、どこでもいいから入れられそう

ナツミ

私は、フリーターや未経験の人向けの就職支援に相談したよ

そういうのって、どこでもいいから入れられそうでこわい

ナツミ

相談はタダだったよ

合わないと思った会社は、私もその場で断ったし

聞きたいことを先に3つ書いていくと、話しやすいよ

相談が無料で使えるしくみは、転職エージェントが無料のわけの記事でくわしく書いています。

03面談で聞かれた「任されたこと」

その夜のうちに、ソウタさんはメモに聞きたいことを3つ書きました。27歳のアルバイトでも、正社員で入れる会社はあるか。そこはどんな会社か。書類で落ちないためには、何を書けばいいか。いちばん下には、新しく入った人に仕事を教えていた話も残しておきました。

書き終えてから、フリーター向けの就職支援の面談を予約しました。正社員をめざすかどうかは、話を聞いてから決めることにしました。

次の水曜日、アルバイトが休みの日の午後でした。聞きたいことを3つ聞き終えると、今度はソウタさんが聞かれました。「この5年で、お店から任されるようになったことはありますか」。メモを見ながら、新しく入った人に教えていた話をしました。担当の人はうなずいてから、こう言いました。

ノートPCの画面に映る、メガネとヘッドセットをつけた面談の担当の人
面談の担当の人「人に仕事を教えて、辞めずに続けてもらう。それは、正社員の仕事でもそのまま求められることですよ」
人差し指を立てて、はっと気づいた表情のソウタさん

ソウタさんは、メモの最後の1行をしばらく見ていました。自分では「ただのバイト」だと思っていた5年に、初めて名前がついた気がしたからです。紹介された会社のうち、2社は自分で断りました。応募は、新人の教育に力を入れている会社に絞りました。

あなたの場合面談の前に、聞きたいことを3つ書いてみる

書いた内容は、この端末の中にだけ残ります。

04次の9月、同じ駅前で

年が明けた1月から、ソウタさんは本を書店に届ける物流の会社で、正社員として働き始めました。春からは、倉庫に新しく入った人に仕事を教える係も任されています。

次の9月、幹事のタクミさんが「今年もやろう」と声をかけ、同じ駅前の居酒屋に何人かが集まりました。

タクミ

ソウタは今なにしてるの?

本の物流の会社で、新しく入った人に仕事を教えてる

タクミ

へえ、向いてそう。ソウタ、昔から教えるのうまかったもんな

帰りの電車で、ソウタさんはナツミさんにLINEを送りました。

ナツミ土曜 23:12

今日は、今なにしてるのにふつうに答えられた

あの5年、ムダじゃなかった

既読

でしょ。お母さんにも言ってあげなよ

笑顔のソウタさん

家に着くと、ソウタさんは自分から母に話しました。「今日、タクミたちに仕事の話をしたよ」。母は「そう」と言って、少しだけ笑いました。1年前の同じ電車で「フリーター 正社員 無理」と検索したことを、ソウタさんは思い出していました。

無理かどうかは、入れる会社を聞いてから決める。

ソウタさんにとってあの面談は、5年分の棚卸しでした。

今日の最初の一歩

今夜、寝る前に、スマホのメモにアルバイトで任されたことを3つ書き出してみる

5分で終わります。レジ締めや新人への説明のように、頼まれて引き受けたことを思い出してみてください。書けたら、面談で聞きたいことも3つ足しておくと、当日あわてずに話せます。

2026.10.08 公開 文・WE POP編集部

参考にした情報

制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。

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