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転職エージェントの広告を見ると、どこも「実績多数」「満足度が高い」と書いてあります。でも、どれを信じればいいのか、わかりませんよね。じつは、口コミより確かな数字があります。エージェントには、紹介で入社した人の数を、国のサイトで公開する義務があります。正社員のように期間の決まっていない契約(無期雇用)で入った人のうち、6か月以内に辞めた人の数もです(解雇は除く)。読み終わるころには、その数字の見つけ方と読み方、面談の準備、断り方までわかります。
この記事でわかること
- エージェントが、法律で公開している数字
- 国のサイトでの調べ方と、数字の読み方(計算の例つき)
- エージェントが無料で使える理由と、知っておきたいしくみ
- 面談の前の準備と、合わないときの断り方
先に結論
- エージェントは法律で、就職した人の数・6か月以内に辞めた人の数・手数料を公開している。辞めた人は、無期雇用で入った人のうちの数(解雇は除く)
- 見る場所は、厚生労働省の人材サービス総合サイト。辞めた人の数は、無期雇用で入った人の数で割って読む
- 面談の前に希望の順番と質問をメモしておく。合わなければ、ひとこと伝えてやめてOK
01エージェントは、成績表を国のサイトに出している
ひとことで公開は、法律で決まった義務。広告より先に、こっちを見る。
転職エージェントは、法律の言葉では「有料職業紹介事業者」といいます。この仕事をするには、国の許可がいります。
そして法律(職業安定法の第32条の16)で、次の数字を出すことが決まっています。出す場所は、国の「人材サービス総合サイト」です。
- 就職者の数:そのエージェントの紹介で、就職した人の数
- 辞めた人の数:期間の決まっていない契約(正社員など)で入った人のうち、6か月以内に辞めた人の数。会社から辞めさせられた人(解雇)は含まない
- わからない人の数:6か月以内に辞めたかどうか、エージェントがつかめていない人の数
- 手数料と返戻金制度:手数料のルールと、紹介した人がすぐ辞めたときに会社へお金を返すしくみがあるか
つまり、広告の「実績多数」とちがって、同じ決まりで、各社が国に報告した数字です。しかも、実績がゼロでも載せる決まりです。
30,561か所
国に報告を出した、エージェントの店や支店の数
13,946か所
そのうち、1人以上の就職が決まったところ
報告を出したところのうち、1人でも就職が決まったのは半分以下でした。名前を知っているかどうかより、数字で見たほうが確かですよね。じゃあ、その数字はどこで見られるの?
02調べるのは5分。人材サービス総合サイトの開き方
ひとことで「職業紹介事業」を選んで、会社の名前で探す。
「人材サービス総合サイト」を開く
検索で「人材サービス総合サイト」と入れると出てきます。厚生労働省のサイトです。
「職業紹介事業」を選ぶ
検索の画面では、エージェントの名前で探せます。
会社の名前を入れて検索する
出てこないときは、英字をカタカナにする、名前の一部だけにする、など書き方を変えてみてください。
一覧の数字をメモする
見るのは「就職者」の中の「うち無期」の人数(正社員などで入った人)、「離職者数」(辞めた人の数)、「判明せず」の3つ。手数料と返戻金制度の欄も、見ておきます。支店ごとに分かれて出ることもあるので、いくつか並んだら全部メモします。
ポイント
「備考」の欄も見ておく
国の基準に合うと認められた「職業紹介優良事業者」には、備考の欄にマークがつきます。国からの「改善命令」などのマークが出ることもあります。
辞めた人の数は、入社から6か月たたないと数えられません。なので、就職者の数より遅れて載ります。いちばん新しい年の欄が空いていたら、1つ前の年で見てください。数字が手に入ったら、次は読み方です。
03「6か月以内に辞めた人」は、割り算で読む
ひとことで人数そのものではなく、「無期で入った人の何%か」で見る。
辞めた人が10人と聞いても、多いか少ないかはわかりません。1,000人中の10人と、20人中の10人では、意味がまったくちがいます。なので、割り算をします。
メモ
計算のしかた
辞めた人の割合=離職者数÷「うち無期」の就職者数×100。割る数は「就職者」全体ではなく、正社員のように期間の決まっていない契約で入った人の数です。辞めた人の数は、この人たちだけで数えているからです。
では、例で計算してみましょう。どれも、読み方を説明するための架空の数字です。
3つの例で読んでみる(架空の数字)
Aのエージェント:無期で入った人400人、辞めた人12人、判明せず8人
12÷400で、辞めた人は3%。わからない人も2%だけなので、数字を信じやすいケースです。
Bのエージェント:無期で入った人400人、辞めた人4人、判明せず160人
辞めた人は1%で、Aより少なく見えます。でも、40%の人は辞めたかどうかがわかっていません。この1%は、当てにしにくい数字です。
Cのエージェント:無期で入った人5人、辞めた人1人、判明せず0人
割り算すると20%。ただ、人数が少ないと、1人で割合が大きく動きます。人数が少ないときは、割合より「どんな仕事にくわしいか」を面談で聞くほうが役に立ちます。
つまり、見るのは辞めた人の割合と、判明せずの多さの2つ。両方が少ないほど、紹介したあとまで気にかけている会社だと、WE POPは考えています。
気をつけて
この数字だけで決めない
辞めた理由は、エージェントのせいとは限りません。人数が多いエージェントほど、割合がぶれにくいという面もあります。数字は「どこにするか、しぼるため」と「面談で聞くきっかけ」に使ってください。
04なぜ無料? お金の出どころと「返戻金」
ひとことで払うのは会社。すぐ辞めると、エージェントにも損がある。
エージェントは法律で、原則として、仕事を探す人からお金を取れません。払うのは、人を採った会社です。くわしいしくみは転職エージェントは何社使う?で書いています。
103万円
ことば返戻金制度(へんれいきんせいど)
紹介した人がすぐに辞めたとき、会社からもらった手数料の一部を返すしくみ。国は、エージェントにこのしくみを用意するよう、すすめています。あるかないかは、人材サービス総合サイトの「返戻金制度」の欄でわかります。
返戻金制度があると、あなたがすぐに辞めたとき、エージェントのもらえるお金が減ることがあります。そのぶん、合わない会社をムリにすすめにくくなると考えられます。
もう1つ、国のルールがあります。エージェントは、自分の紹介で期間の決まっていない契約で入った人に、入社から2年間は転職をすすめてはいけません。手数料をもう一度もらうために、すぐまた転職させることはできないんですね。
メモ
手数料の欄で見られること
手数料の欄では、労働局に届け出た手数料の情報が見られます。2025年4月からは、よく扱う仕事(上位5つまで)ごとの、平均の手数料率も載ります。紹介の実績が10件以下の仕事は対象外で、手数料が定額のところは「額」で載ります。手数料率とは、入社する人の1年分の給料の見込みに対して、手数料が何%かということ。会社が払うお金なので、あなたの給料から引かれるものではありません。
05面談の前に、メモを5つだけ
ひとことで準備しておくほど、合わない求人をすすめられにくくなる。
登録すると、担当の人との面談があります。登録のあとには、エージェントから手数料・扱う職種・苦情の窓口・個人情報の扱い・返戻金制度のお知らせが届きます。すぐに届ける決まりなので、面談の前にひと通り目を通しておきましょう。
面談の前後の流れ
- 登録
Webのフォームに、今の仕事と希望を入れる
受け付けたあと、手数料や個人情報の扱いなどのお知らせが、すぐに届く決まりです。
- 面談
これまでの仕事と、希望を話す
担当の人は、あなたに合う求人を探すために話を聞きます。
- 紹介
求人を見せてもらい、応募するか決める
給料や仕事の中身などの条件は、書面で(希望すればメールなどでも)見せてもらえます。応募するかどうかは、そのつどあなたが決めます。
- 応募
あなたの同意があってから、書類が会社に出る
あなたの書類を会社に出すには、あなたの同意がいります。「応募の前に、毎回確認してください」と頼んでおくと安心です。
面談の前に、メモできたものをタップ
当てはまったのは 0 / 5個
面談で聞いておきたいことも置いておきます。
- 「紹介した人は、入社のあと、どれくらい続いていますか」
- 「私の希望に近い求人は、今どれくらいありますか」
- 「連絡は、メールとお電話のどちらが中心ですか」
- 「応募の前に、毎回確認してもらえますか」
職務経歴書(これまでの仕事をまとめた書類)がまだなら、はじめての職務経歴書を先に見ておくと、面談で話しやすくなります。でも、話してみて合わなかったら?
06合わないときは、ひとことで断っていい
ひとことであなたはお客さん。断るのに、くわしい理由はいらない。
紹介された求人を断っても、エージェントをやめても、お金はかかりません。大事なのは、黙って連絡を切らないこと。ひとこと伝えるだけで、すっきり終われます。場面ごとに、そのまま使える言い方です。
- 求人を断る:「希望の1位が働く場所なので、今回は見送ります。ご紹介ありがとうございました」
- 返事をせかされた:「◯日までに考えて、私からご連絡します」
- 担当を変えてほしい:「ほかの方のお話も聞いてみたいので、担当を変えていただけますか」
- 利用をやめる:「今回は利用を終わりにします。登録した情報の削除もお願いします」
エージェントは、いらなくなった個人情報を消すしくみを持ち、求められたら説明する決まりです。やめるときは、削除も一緒に頼んでおくと安心です。
気をつけて
お金を求められたら、払う前に相談を
仕事を探す人から手数料を取れるのは、芸能家・モデルなど一部の仕事。それと、年収700万円をこえる科学技術者・経営管理者・熟練技能者の場合だけです。ふつうの20代の転職で「登録料」「サポート料」などを求められたら、払う前に、都道府県の労働局に相談してください。
07国の無料窓口も、20代向けがある
ひとことでエージェントとハローワーク、両方使ってもいい。
相談先は、民間のエージェントだけではありません。ハローワークにも、若い人向けの専門の窓口があります。
転職エージェント
いいところ
- 希望に合う求人を、担当の人が探して紹介してくれる
- 面接の日にちのやりとりを、間に入ってやってくれる
気をつけること
- 紹介される求人は、そのエージェントが扱うものだけ
- 担当の人の成果は、あなたの入社が決まること。決めるのは自分で
ハローワークの若者向け窓口国の窓口
いいところ
- 新卒応援ハローワークは、卒業後おおむね3年以内の人が使える。担当者制で、書類や面接の相談もできる
- わかものハローワークは、正社員をめざすおおむね35歳未満の人向け
気をつけること
- 新卒応援ハローワークは全国56か所。近くにあるとは限らない
- 新卒応援ハローワークを使えるのは、卒業後おおむね3年以内まで
どちらも、仕事を探す人はお金を払わずに使えます。
エージェントとのトラブルで困ったときは、都道府県の労働局にも相談できます。エージェントを見張って指導するのは、労働局の仕事です。
08よくある質問
Q人材サービス総合サイトで、会社が出てきません
A名前の書き方を変えると、出てくることがあります。英字をカタカナにする、「株式会社」をはずして一部だけ入れる、を試してみてください。
Q辞めた人の割合が何%なら安心、という基準はある?
A国が決めた目安はありません。なので、気になる2〜3社を同じやり方で割り算して、比べるのがおすすめです。判明せずが多いところは、面談で理由を聞いてみてください。
Q面談で、今の会社への不満を正直に話してもいい?
A話してOKです。担当の人は、次の会社選びのために聞いています。そのうえで「だから次は何がしたいか」までつなげると、面接の練習にもなります。辞めた理由の伝え方は面接で「辞めた理由」をどう話す?にまとめています。
Qエージェント経由で入社して、すぐ辞めたらどうなる?
Aあなたがお金を返すことはありません。返戻金制度があれば、決まった条件(入社から一定の期間内に辞めたときなど)で、手数料の一部が会社に返されます。期間や割合は、エージェントごとにちがいます。そうならないために、入社の前に条件を紙でもらい、気になることは聞いておきましょう。
今日の最初の一歩
気になるエージェント1社の「辞めた人の割合」を計算してみる
人材サービス総合サイトで会社名を検索して、「うち無期」「離職者数」「判明せず」をメモ。離職者数÷うち無期×100を、スマホの電卓で計算するだけです。5分で、広告ではわからない数字が手に入ります。
2026.10.08 公開 文・WE POP編集部
参考にした情報
- e-Gov法令検索「職業安定法」(第5条の3・第5条の5・第32条の3・第32条の13・第32条の16)
- e-Gov法令検索「職業安定法施行規則」(第24条の5・第24条の8)
- 厚生労働省「人材サービス総合サイト」
- 人材サービス総合サイト「サイトの使い方(ヘルプ)」検索結果の見方
- 人材サービス総合サイト ヘルプ「検索結果について」(一覧の項目・備考欄の優良事業者と改善命令の表示)
- 厚生労働省・都道府県労働局 リーフレット「職業紹介事業者の皆さまへ(就職者等の事業実績と手数料・返戻金に関する情報提供は、法律で定められた義務です)」
- 人材サービス総合サイト「職業紹介事業者の皆さまへ(入力内容・平均手数料率の計算式)」
- 厚生労働省 リーフレット「『人材サービス総合サイト』をご活用ください!」(令和7年4月からの平均手数料率の掲載)
- 厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」
- 厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領 第6 手数料」
- 厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領 第9 職業紹介事業の運営」(個人情報の扱い・2年間の転職勧奨の禁止・返戻金制度)
- 厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」(令和8年3月31日公表)
- 厚生労働省「新卒応援ハローワーク」
- 厚生労働省「若者への就職支援」(わかものハローワーク)
- 佐賀労働局「民間人材サービスの利用によるトラブルにご注意ください」
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