目次
NISAは聞いたことがある。iDeCoも、なんとなく「おトクらしい」と知っている。でも、どっちから始めればいいのかがわからない。そんな人に向けて書きました。どちらも、国が用意した「税金がおトクになる」しくみです。読み終わるころには、自分はどっちから始めるか、決められるようになります。
この記事でわかること
- iDeCoとNISAは、なにがちがうのか
- iDeCoで、税金がどれくらい安くなるのか
- 「60歳まで引き出せない」とは、どういうことか
- 2026年12月から、掛金の上限がどう変わるのか
先に結論
- いちばんのちがいは、いつ引き出せるか。NISAはいつでも、iDeCoは原則60歳まで引き出せない
- iDeCoは、払った掛金のぶん所得税と住民税が安くなる。NISAにはこのおトクはない
- 迷ったらNISAからがおすすめ。iDeCoは、老後のぶんと割り切れるお金で、少額から
01iDeCoとNISA、なにがちがう?
ひとことでiDeCoは「老後のための年金」、NISAは「いつでも使える貯金箱」。
どちらも、お金を積み立てて増やすためのしくみです。ふつうは、増えたぶんに約20%の税金がかかります(20.315%)。iDeCoとNISAなら、増えたぶんに税金がかかりません。ここまでは同じです(iDeCoは、受け取るときに税金の対象になります)。
ことばiDeCo(イデコ)
正式には「個人型確定拠出年金」。自分で掛金を出して、自分で選んだ商品で運用し、老後に受け取る年金です。国民年金に入っている会社員・公務員・自営業・専業主婦(夫)などが入れて、入るかどうかは自分で決めます。
ちがうのは、目的と引き出せる時期です。並べてみると、性格がはっきりわかります。
iDeCoとNISAを比べると
iDeCo老後のため
いいところ
- 掛金のぶん、所得税と住民税が安くなる
- 増えたぶんに税金がかからない
- 受け取るときも、税金を軽くするしくみがある
気をつけること
- 原則60歳まで引き出せない
- 毎月、手数料がかかる
- 掛金は月5,000円から。上限は働き方で変わる
NISAいつでも使える
いいところ
- いつでも売って、お金を引き出せる
- 増えたぶんに税金がかからない
- 年360万円まで、生涯で1,800万円まで使える
気をつけること
- 積み立てても、所得税や住民税は安くならない
- 引き出しやすいぶん、つい使ってしまうことも
どちらも元本(出したお金)が減ることがあります。iDeCoには定期預金のような「元本確保型」の商品もあります。
厚生労働省の資料にも、目的で使い分けるように書かれています。老後の資産づくりならiDeCo、人生の予定に合わせて使うならNISA、です。両方を同時に使うこともできます。
02iDeCoの「税金が安くなる」って、どれくらい?
ひとことで月5,000円の掛金でも、年9,000円ほど安くなる例がある。
iDeCoの掛金は、全額が「所得控除」になります。所得控除とは、税金を計算するもとになる金額から、差し引けるもののこと。差し引くぶん、所得税と住民税が少なくなります。
9,000円
月5,000円を積み立てたとき、1年で安くなる税金(所得税5%・住民税10%の人)
36,000円
月1万円を積み立てたとき、1年で安くなる税金(所得税20%・住民税10%の人)
安くなる額は「1年の掛金 ×(所得税の税率+住民税の税率)」で計算できます。所得税の税率は、収入によって5%から45%まで変わります。たとえば税率5%の人が月1万円を積み立てると、年12万円 × 15%で、1年に約18,000円安くなる計算です。
NISAには、この「掛金で税金が安くなる」おトクはありません。iDeCoならではの強みです。
気をつけて
税金を払っていない人は、このおトクがない
所得控除は、所得税や住民税を払っている人のためのしくみです。収入が少なくて税金がかかっていない人は、掛金を出しても安くなる税金がありません。所得税か住民税の片方だけ払っている人は、その分だけ安くなります。また、差し引けるのは自分の所得からだけ。家族の税金は安くなりません。
03「60歳まで引き出せない」って、本当?
ひとことで本当です。そのかわり、掛金は止められる。
iDeCoは老後のための年金なので、原則として60歳になるまで引き出せません。結婚、引っ越し、転職のための資金には使えないということです。
ただし、掛金を出すのはいつでも止められます。止めても、それまでのお金はそのまま運用が続きます。口座の管理の手数料は、止めてもかかることがあります。60歳までの流れは、こんなイメージです。
- 今
掛金と商品を決めて、始める
掛金は月5,000円から、1,000円単位で決められます。金額を変えられるのは、12月分から次の11月分までの1年に1回までです。
- 途中
苦しくなったら、掛金を止められる
手続きをすれば、掛金を出すのをやめられます。積み立てたお金は引き出せませんが、運用は続きます。
- 60歳
受け取れるようになる
まとめて受け取るか、年金として少しずつ受け取るかを選べます。どちらにも、税金を軽くするしくみがあります。
- 75歳まで
受け取り始める時期を選べる
60歳から75歳になるまでのあいだで、受け取り始める時期を自分で選べます。
気をつけて
60歳から受け取るには、加入期間が10年いる
60歳ちょうどから受け取るには、60歳までにiDeCoなどに入っていた期間が、合わせて10年以上必要です。足りないと、受け取れる年齢が後ろにずれます。20代・30代で始めるなら、ふつうは気にしなくてOKです。
04掛金はいくらまで? 12月から上限が上がる
ひとことで2026年12月から(予定)、会社員の上限は月6.2万円にまとまる。
iDeCoの掛金には上限があります。上限は、働き方と、会社に企業年金があるかどうかで変わります。この上限が、2026年12月から大きく上がる予定です(厚生労働省の資料では12月1日に始まる予定)。
ことば企業年金
会社が用意している年金のこと。会社が掛金を出す「企業型DC(企業型確定拠出年金)」や、「DB(確定給付企業年金)」などがあります。あるかどうかは会社によってちがいます。
出典:厚生労働省「iDeCoがパワーアップします!」(令和8年12月から)
企業年金がある会社員は、今はiDeCoだけで月2万円が上限。しかも企業年金と合わせて月5.5万円までです。12月からは、企業年金と合わせて月6.2万円までに変わります。会社の掛金を引いた残りが、iDeCoに出せる額です。会社の掛金が多いほど、iDeCoに出せる額は小さくなります。
62,000円
会社員の上限(月額)。企業年金がある人は、企業年金と合わせて
75,000円
自営業・フリーランスの上限(月額)。国民年金基金と合わせて
iDeCoの掛金は、毎月その翌月26日に口座から引き落とされます。いつの分から新しい上限で出せるかは、加入先の金融機関で確かめてください。
同じ12月からは、入れる年齢も広がります。今は会社員なら基本的に65歳未満ですが、条件を満たせば70歳になるまで掛金を出せるようになります。主な条件は、iDeCoに入っている人などで、老後の年金をまだ受け取っていないことです。
メモ
上限いっぱいまで出さなくていい
上限は「ここまで出してもいい」という線です。引き出せないお金を増やしすぎると、急な出費に困ります。生活のお金と、すぐ使うかもしれないお金を残してから決めてください。
05会社員は、どこに気をつければいい?
ひとことで会社の年金と、手数料を先に見ておく。
会社員がiDeCoを始めるときは、最初に「自分の会社に企業年金があるか」を確かめます。上限が変わるうえ、会社のしくみによっては、iDeCoに入れないこともあるからです。
たとえば企業型DCの「マッチング拠出」。会社の掛金に、自分で上乗せするしくみです。今のルールでは、これを使っている人はiDeCoに入れません。どちらを使うかは選べます。ほかにも、会社の掛金の出し方や、国民年金の保険料を免除されている場合などは、入れないことがあります。わからなければ、総務や人事に聞くのがいちばん早いです。
もう1つは手数料です。iDeCoは、始めるときと毎月、手数料がかかります。
2,829円
始めるときに1回だけかかる手数料(国民年金基金連合会)
120円
毎月かかる手数料(国民年金基金連合会)。2027年1月の引き落としから、105円→120円
これとは別に、申し込む金融機関の手数料がかかることもあります。金額は金融機関ごとにちがうので、選ぶときに比べてみてください。掛金が少ないほど、手数料の重みは大きくなります。
ポイント
年末調整を忘れずに
掛金を自分の口座から払う会社員には、毎年10月ごろ「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届きます。始めた年は、もっとおそく届くこともあります。これを年末調整で会社に出すと、税金が安くなります。給料から引かれている人は、会社が計算してくれます。くわしくは年末調整の記事で書いています。
06結局、どっちから始めればいい?
ひとことで迷ったらNISAから。条件がそろったら、iDeCoも。
WE POPのおすすめは、迷ったらNISAからです。20代・30代は、転職や引っ越し、結婚など、まとまったお金が要る場面が多いから。いつでも引き出せるNISAなら、予定が変わっても困りません。
そのうえで、次のチェックに多く当てはまるなら、iDeCoを足す価値は大きいと考えています。
当てはまるものをタップしてみてください
当てはまったのは 0 / 6個
NISAの始め方は、NISAの記事でくわしく書いています。
07iDeCoを始めるなら、どの順番?
ひとことで金融機関を1つ選んで、申し込むだけ。
会社に企業年金があるかを確かめる
企業型DCやDBがあるか、マッチング拠出を使っているかを見ます。社内の福利厚生のページや、総務・人事で確かめられます。
掛金の額を決める
月5,000円から、1,000円単位で決められます。60歳まで使わないと決めても困らない額にします。
申し込む金融機関を1つ選ぶ
iDeCoは、金融機関を通して申し込みます。選べるのは1か所だけ。手数料と、選べる商品を比べて決めます。
申し込んで、商品を選ぶ
基礎年金番号(年金の番号)が必要です。マイナポータルやねんきんネットで確かめられます。どの商品にどれだけ入れるかも、自分で決めます。
年末調整で、掛金を書く
掛金を自分の口座から払う人は、届いた証明書を年末調整で会社に出します。これで税金が安くなります。
08よくある質問
QNISAとiDeCo、両方やってもいい?
A両方使えます。ただ、iDeCoのお金は60歳まで引き出せません。すぐ使うかもしれないお金はNISAや貯金に、老後のぶんだけをiDeCoに、と分けて考えるのがおすすめです。
Q転職したら、iDeCoはどうなる?
A転職しても、iDeCoはそのまま続けられます。ただ、転職先の企業年金によって上限が変わるので、会社の状況が変わったら届け出が必要です。会社の企業型DCで積み立てたお金を、iDeCoに移すこともできます。
Qお金に余裕がなくなったら?
A掛金を出すのを止められます。止めても、それまでのお金は運用が続きます(引き出しはできません)。掛金の額を変えるのは、1年に1回までできます。
QiDeCoで損することはある?
Aあります。投資信託などは値動きがあるので、受け取るときに、出したお金より少なくなることもあります。手数料もかかります。一方で、定期預金などの「元本確保型」を選ぶこともできます。迷ったときは、金融経済教育推進機構(J-FLEC)で、お金の相談を受けられます。
今日の最初の一歩
会社に企業年金があるか、5分だけ調べてみる
社内の福利厚生のページや、入社のときにもらった資料を見てみてください。見つからなければ、総務や人事に「うちは企業型DCやDBはありますか?」と聞くだけでOKです。これがわかると、iDeCoの上限と、入れるかどうかがわかります。
2026.10.06 公開 文・WE POP編集部
参考にした情報
- iDeCo公式(国民年金基金連合会)「iDeCoの特徴」
- iDeCo公式(国民年金基金連合会)「iDeCoのメリット」
- iDeCo公式(国民年金基金連合会)「iDeCoの加入資格・掛金・受取方法等」
- iDeCo公式(国民年金基金連合会)「よくあるご質問」(掛金の引落日、停止、年末調整、マッチング拠出、転職)
- iDeCo公式(国民年金基金連合会)「制度改正について」(2022年・2024年の制度改正)
- 国民年金基金連合会「iDeCo加入者に係る手数料を見直します」(令和9年1月の掛金引落しから適用)
- 厚生労働省「iDeCoがパワーアップします!」(令和8年12月から)
- 厚生労働省「2025年の制度改正」(iDeCoの加入可能年齢・拠出限度額の引き上げ 2026年12月1日施行)
- 厚生労働省「私的年金制度の主な改正事項の施行スケジュール」(2025年12月時点)
- 厚生労働省「私的年金制度、iDeCoの改正のポイント」
- 厚生労働省「iDeCoとNISA」(目的に応じた使い分け)
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAとは?」
- 国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「専門家に相談したい」
制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。