副業・独立

目次
  1. インボイスって、そもそも何?
  2. なぜ取引先は「登録番号」を聞いてくるの?
  3. 自分は登録したほうがいい?
  4. 登録しないまま続けると、どうなる?
  5. 登録したら、消費税はいくら納めるの?
  6. 登録すると、名前が公表されるって本当?
  7. 登録すると決めたら、何からやる?
  8. よくある質問

副業でデザインや記事の仕事を受けていたら、取引先からメールが来た。「インボイスの登録番号を教えてください」。登録なんてしていないし、そもそもインボイスって何だっけ。そんな人に向けて書きました。あわてて登録しなくて大丈夫です。読み終わるころには、自分は登録したほうがいいのか、どちらを選ぶと何が起きるのかがわかります。

この記事でわかること

  • インボイスとは何か。なぜ取引先が番号を聞いてくるのか
  • 副業の自分は、登録したほうがいいのか
  • 登録しないまま続けると、どうなるか
  • 登録したら、消費税をいくら納めるのか(2割特例・3割特例)

先に結論

  • 登録するかどうかは自分で選べる。決め手は「だれに売っているか」
  • 登録すると消費税を納める側になる。でも2026年分は、もらった消費税の2割だけでOK
  • 登録しなくても仕事は続けられる。ただ、相手の負担は少しずつ増えていく

メモ

時間がない人へ

03の「登録したほうがいい?」のチェックだけでも、やってみてください。タップするだけなので、1分で終わります。

01インボイスって、そもそも何?

ひとことで消費税の額と番号が書いてある請求書。出せるのは、登録した人だけ。

インボイス制度は、2023年10月に始まりました。インボイスは「消費税がいくらか」をきちんと書いた請求書や領収書のこと。正式には「適格請求書」といいます。

ふつうの請求書とのちがいは、登録番号が書いてあること。この番号は、税務署に登録した人だけがもらえます。つまり、登録しないとインボイスは出せません。

ことば免税事業者

消費税を納めなくていい人のこと。個人なら、2年前の1年の売上が1,000万円以下だと、ふつうはこれに当たります。前の年の1〜6月の売上が多いと、外れることもあります。副業の売上が1,000万円をこえていなければ、ここに入りますよね。

会社からもらう給料は、消費税の対象ではありません。なので1,000万円の判定に、給料は入りません。見るのは副業の売上だけです。

02なぜ取引先は「登録番号」を聞いてくるの?

ひとことで取引先が納める消費税を減らすのに、あなたのインボイスが要るから。

会社が納める消費税は、引き算で決まります。お客さんから「もらった消費税」から、ほかの人に「払った消費税」を引いた残りです。この引き算を「仕入税額控除」と呼びます。

今は、この引き算をするには、原則として相手からもらったインボイスがいります。

たとえば、あなたが10万円の仕事をして、消費税1万円と合わせて11万円をもらったとします。あなたが登録していれば、会社はこの1万円を引き算に使えます。登録していないと、そのままでは使えません。だから、番号を聞いてくるんですね。

ポイント

「聞かれた」=「登録しないとダメ」ではない

番号を聞くのは、ただの確かめのこともよくあります。登録していないなら「登録していません」と答えてOK。そのうえで、今後どうするかを相談すれば大丈夫です。

03自分は登録したほうがいい?

ひとことで売る相手が「会社」なら考えてみる。「個人のお客さん」なら、いらないことが多い。

国税庁の資料によると、次の相手はインボイスがいりません。

  • ふつうのお客さん(個人)
  • 消費税を納めていない人やお店(免税事業者)
  • かんたんな計算で消費税を納めている会社やお店(簡易課税・2割特例・3割特例。このあと書きます)
  • 1回1万円未満の取引で、少額特例を使える相手(売上が一定以下の会社やお店。期間限定)

反対に、相手のほとんどが会社なら、インボイスを求められやすくなります。会社からデザインや記事、動画の編集などを受けている人は、こちらに当たりがちです。

登録する

いいところ

  • インボイスを出せるので、相手が困らない
  • これまでどおり、消費税の分ものせて請求しやすい
  • 会社からの仕事を受けやすくなる

気をつけること

  • 毎年、消費税を計算して納めることになる
  • 登録すると、2年くらいはやめられない
  • 本名と番号がネットに載る

登録しない

いいところ

  • 消費税を納めなくていい
  • もらった消費税の分は、そのまま手もとに残る

気をつけること

  • 相手が引き算に使える分が、少しずつ減っていく
  • 「少し安くして」と相談されることがある

どちらが正解、ということはありません。だれに売っているか、どれくらい売れているかで決めます。

当てはまるものをタップしてみてください

当てはまったのは 0 / 6個

04登録しないまま続けると、どうなる?

ひとことで仕事は続けられる。でも相手の負担が、段階的に増えていく。

登録しなくても、今までどおり仕事はできます。ただ、相手がふつうの計算(本則課税)で消費税を納める会社なら、あなたに払った消費税を引き算に使いにくくなります。

いきなりゼロにはなりません。今は「経過措置」というつなぎの期間で、一部なら引き算に使えます。この割合は、2026年の税のルールの見直しで変わりました。

登録していない人に払った消費税のうち、相手が引き算に使える割合
2023年10月〜80%
2026年10月〜70%
2028年10月〜50%
2030年10月〜30%
2031年10月〜0%

出典:国税庁「令和8年度税制改正特集」「インボイス制度 導入編(令和8年5月)」

この記事を書いている2026年10月から、80%が70%に下がりました。2031年10月からは、まったく使えなくなります。時間がたつほど、相手の負担は増えていくわけです。

なので、相手から「少し安くしてほしい」「登録してほしい」と相談されることがあります。相談されるのは、おかしなことではありません。

気をつけて

一方的な値下げは、法律で問題になることがある

国(財務省や公正取引委員会など)がQ&Aを出しています。値段の見直しを話し合うこと自体は、すぐには問題になりません。でも、立場の強い相手が話し合いなしに値段を下げると、法律で問題になるおそれがある、と書かれています。「登録しないなら安くする。いやなら仕事はもう頼まない」と一方的に言うのも、同じおそれがあります。登録した人の値段を、話し合いなしにそのままにしておくのも同じ。困ったときは、公正取引委員会の相談窓口に話せます。

05登録したら、消費税はいくら納めるの?

ひとことで2026年分は、もらった消費税の2割だけ。2027・2028年分は3割。

もともと納める額は「もらった消費税 − 払った消費税」です。でも、払った分を1つずつ集めて足すのは大変ですよね。

そこで、インボイスのために登録した人には、かんたんな計算のしかたが用意されています。もらった消費税の2割を納めればいい「2割特例」です。経費の領収書を集めて計算しなくてOK。免税事業者から登録した人などが対象で、使えない場合もあります。

2割特例は、2026年9月30日を含む年の分まで。個人なら2026年分が最後です。今から登録すると、2026年分は登録した日より後の売上の分だけを納めます。そのあとの2027年分と2028年分には、「3割特例」ができました。免税事業者から登録した個人だけが使えます。

2万円

2割特例のとき(2026年分まで)

3万円

3割特例のとき(2027・2028年分)

5万円

簡易課税で、サービス業のとき

出典:国税庁「インボイス制度 導入編(令和8年5月)」の計算方法をもとに、1年の売上100万円・受け取った消費税10万円で計算

1年の売上が100万円で、消費税を10万円もらったときの例です。2割特例なら2万円、3割特例なら3万円を納めます。もらった10万円より、だいぶ少なくなります。

ことば簡易課税

払った消費税を、仕事の種類ごとに決まった割合で見積もるやり方。サービス業なら、もらった消費税の50%を「払った分」とみなします。自分の仕事がどの種類かは、税務署で確かめられます。使うには、税務署に届け出がいります。期限は、原則として使いたい年の前の年の12月31日まで。一度選んだら、2年は続けます。

  1. 2023年10月〜

    インボイス制度が始まる

    このときから、登録した免税事業者は2割特例を使えるようになりました。

  2. 2026年分

    2割特例の最後の年

    2027年3月までに、もらった消費税の2割を納めます。

  3. 2027・2028年分

    3割特例(個人だけ)

    もらった消費税の3割を納めます。登録していること、2年前の売上が1,000万円以下であること、前の年の1〜6月の売上も多すぎないことなどが条件です。

  4. 2029年分〜

    ふつうの計算か、簡易課税

    特例は終わります。3割特例を使った次の年なら、その年の分の締め切りまでに届け出れば、その年から簡易課税に移れます。

気をつけて

登録したら、2年はやめられない

免税事業者が登録すると、登録した日から2年がたつ日を含む年までは、消費税を納める側のままです。とちゅうで登録をやめても、この間は消費税を計算して納めます。やめると、3割特例も使えません。やめるときは、やめたい年が始まる15日前までに届け出ます。お試しのつもりで登録するのは、やめておきましょう。

06登録すると、名前が公表されるって本当?

ひとことで本当。本名と番号がネットで見られる。屋号や住所は、自分で頼まなければ出ない。

登録した人のことは、国税庁の「公表サイト」に載ります。個人なら、出るのは名前・番号・登録した日など。番号を入れて調べれば、だれでも見られます。

屋号(お店や活動の名前)と仕事場の場所は、自分で頼んだときだけ載ります。住所は載りません。なので、このサイトの上で、ペンネームと本名がそのままつながることはありません。

メモ

ペンネームで活動している人へ

インボイスには番号を書きます。もらった相手は、その番号で本名を調べられます。本名を知られたくない相手と仕事をしているなら、登録の前に考えておいてください。勤め先に副業が知られるきっかけは、別の記事にまとめています。

07登録すると決めたら、何からやる?

ひとことで相手に聞く → e-Taxで出す → 請求書に番号を書く → 次の年の3月に納める。

  1. 相手に「インボイスはいりますか」と聞く

    相手が簡易課税や2割特例を使っているなら、インボイスはいりません。聞いてから決めても、おそくありません。

  2. e-Taxで申請書を出す

    出すのは「適格請求書発行事業者の登録申請書」。国税庁は、e-Tax(ネットで税の手続きができるしくみ)で出すよう案内しています。郵送でも出せます。

  3. 登録したい日の15日前までに出す

    免税事業者は、申請書に「登録希望日」を書けます。出した日から15日あと以降の日を選びます。たとえば2027年1月1日から登録したいなら、2026年12月17日までに出します。

  4. 届いた番号を、請求書に書き足す

    番号は、税務署から知らされます。今の請求書に、番号や、税率ごとの金額と消費税の額などを足せば、インボイスになります。決まった形はありません。

  5. 次の年の3月31日までに、消費税を申告して納める

    所得税の確定申告(3月15日まで)とは別に、消費税の申告もします。2割特例や3割特例は、申告書に「使う」と書くだけ。前もって届け出なくてかまいません。

所得税の確定申告をまだしたことがない人は、副業の確定申告の記事から読むとスムーズです。

08よくある質問

Q副業の売上が少なくても、登録できる?

Aできます。売上がいくらでも登録できます。ただ、登録すると、売上が少なくても毎年、消費税を計算して納めることになります。手間と比べて決めてください。

Q2割特例を使うのに、届け出はいる?

Aいりません。消費税の申告書に「2割特例を使う」と書くだけです。3割特例も同じです。

Q登録したら、値上げをお願いしてもいい?

A相談していいと考えています。登録すると消費税を納める側になります。その分を値段にどうのせるか、話し合うのはふつうのことです。国のQ&Aでも、話し合いなしに値段をそのままにするのは、問題になるおそれがあるとしています。

Qわからないことは、どこで聞ける?

A国税庁の「インボイスコールセンター」で、制度についての質問を電話で受けています。自分の申告の中身を相談したいときは、税務署に聞いてみてください。

今日の最初の一歩

仕事の相手を書き出して、「会社」か「個人」かに分けてみる

スマホのメモに、去年から今年の相手を並べるだけです。会社からのお金がほとんどなら、いちばん大きな相手に「インボイスはいりますか」と1通送ってみましょう。答えを聞いてから、登録するかを決めれば大丈夫です。

2026.10.06 公開 文・WE POP編集部

参考にした情報

制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。

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