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目次
副業の仕事が、毎月入るようになってきた。いつかは会社を辞めて、フリーランスでやってみたい。そう考えはじめると、よく聞くのが「開業届」と「青色申告」です。名前は知ってるけど、何をどう出すのかはよくわからない。そんな人に向けて書きました。読み終わるころには、自分は出したほうがいいのか、出すならいつまでに何をすればいいのかがわかります。
この記事でわかること
- 開業届って何? いつまでに出すの?
- 青色申告にすると、税金はどれくらい変わる?
- 65万円の控除をもらうには、何をすればいい?
- 会社員の副業でも、出したほうがいい?
先に結論
- 開業届は、始めた年の次の3月15日までに税務署へ。紙1枚で、ネットでも出せる
- 青色には申請がいる。これから始める人は始めた日から2か月以内。もう始めている人のしめきりは06で
- 副業でも出せる。ただ、事業かどうかは中身で決まる。帳簿をつけて、仕事としてちゃんと続けることが前提
01開業届って、そもそも何の届け?
ひとことで「事業を始めました」と、税務署に知らせる紙。
ことば開業届
正式な名前は「個人事業の開業・廃業等届出書」。会社をつくらずに、ひとりで商売を始めたときに、税務署に出す紙のことです。事業を始めた人が出すことは、法律で決まっています。
出すのは、自分で仕事を受けて、それを事業として始めた人。たとえば、デザインやライティングで独立した人です。会社に雇われて給料をもらうだけなら、いりません。
同じデザインや原稿の仕事でも、事業といえるほどではない副業のもうけは「雑所得」になります。この場合は、出す決まりの対象に入りません(05でくわしく)。
こういう働き方をしている人は、けっこういます。国の調べでは、本業がフリーランスの人は209万人。副業だけフリーランス、という人も48万人いました。
209万人
本業がフリーランスの人(働く人の3.1%)
48万人
副業だけフリーランスの人
書くのは、紙1枚だけ。名前やマイナンバーのほかに、どんな仕事か、いつ始めたかを書きます。
02いつまでに、どこへ出せばいい?
ひとことで始めた年の、次の3月15日まで。出すのは、住んでいるところの税務署。
国税庁の今の案内では、期限は「始めた年の分の、確定申告の期限まで」。2026年に始めたなら、2027年3月15日までです。
メモ
「1か月以内」と書いてあることも
ネットには「始めてから1か月以内」と書いてあることもあります。これは、2025年までに始めた人のルールです。2026年1月1日以後に始めた人は、上のとおり。ただ、青色の申請のほうは、もっと早くしめきりが来ます。だから、2つをいっしょに出すのがおすすめです。
出し方は、3つあります。
- パソコンからe-Tax(税金のネットの窓口)で出す
- 税務署の窓口に持っていく
- 税務署に郵送する
e-Taxなら、本人だとわかる書類のコピーはいりません。紙で出すときは、マイナンバーカードなどのコピーをつけるか、窓口で見せます。
ポイント
窓口に行くなら、午後3時までに
2026年10月から、税務署の窓口の受付は、原則9時から15時までになりました。15時をすぎても17時までは対応してもらえますが、国税庁は受付時間内に来てほしいとしています。土日と祝日は、お休みです。
03青色申告と白色申告、何がちがう?
ひとことで帳簿をしっかりつけるかわりに、税金が安くなるしくみ。
自分で商売をしている人の申告には、2つの形があります。前もって申請して、OKをもらった人の「青色」。それ以外の「白色」です。
青色にできるのは、事業所得などがある人だけ。会社員の副業に多い「雑所得」の人は、できません(05でくわしく)。
青色申告得が多い
いいところ
- もうけから最大65万円を引ける
- 赤字を、次の年から3年くり越せる
- 家族に払った給料を、経費にできる(届けがいる)
気をつけること
- 前もって申請がいる
- 65万円には、くわしい帳簿のつけ方(複式簿記)がいる
- 帳簿は、原則7年取っておく
白色申告
いいところ
- 申請はいらない
- 帳簿は、青色よりかんたんでいい
- 家族が手伝った分は、決まった額を引ける(配偶者は最大86万円)
気をつけること
- 65万円などの控除はない
- 赤字のくり越しは、原則できない
- 帳簿をつけて、取っておくのは白色でも同じ
赤字のくり越しは、引ききれなかった赤字を、次の年からのもうけと差し引けるしくみです。
白色にも、くり越せる赤字はあります。原稿料のように、年によって大きく変わる収入(変動所得)の赤字。それと、災害で受けた損です。この2つは、白色でも3年くり越せます。
気をつけて
家族に給料を払うなら
青色で家族に給料を払うと、その家族は、配偶者控除や扶養控除の対象から外れます。白色で家族の分を引いたときも同じです。払う前に、どちらが得かを計算してみてください。
「白色なら帳簿はいらない」と思われがちですが、ちがいます。商売をしている人は、白色でも帳簿をつけて、レシートなどを取っておきます。どうせつけるなら、青色にしておく。これが、WE POPのおすすめです。
0465万円の控除は、どうすればもらえる?
ひとことでくわしい帳簿をつけて、3月15日までにネットで出す。
青色の控除は、3つのコースがあります。どれになるかは、帳簿のつけ方と、出し方で決まります(2026年分まで)。
出典:国税庁タックスアンサー「No.2072 青色申告特別控除」(令和8年4月1日現在法令等)
65万円をもらうには、次の3つが全部そろっていることがいります。
- お金の出入りを、複式簿記でつける
- 帳簿から、お金の残りと、もうけの表(貸借対照表と損益計算書)をつくって、いっしょに出す
- 3月15日までに、e-Taxで出す(または、決まった形で帳簿をデータのまま取っておく)
気をつけて
1日でも遅れると、10万円になる
55万円や65万円の控除は、3月15日までに出すことが条件です。すぎると、最大10万円になってしまいます。税金が戻ってくるだけの人も、同じです。早めに出しておきましょう。
じゃあ、65万円引けると、税金はどれくらい変わるのか。所得税は、もうけから基礎控除などを引いた残り(課税所得)にかかります。この課税所得が65万円以上あって、税率が5%の人で計算してみます。住民税も同じように控除が効き、税率はふつう10%です。
9.75万円
税率が高い人ほど、減る額は大きくなります。反対に、課税所得が65万円より少ないと、減る額も小さくなります。
気をつけたいのは、給料がなく、この仕事のもうけだけの人。基礎控除などを引くと、課税所得が65万円を下回ることがあります。その場合、9.75万円まるごとは減りません。手間はかかるけど、見返りの大きさは人によってちがう、ということです。
ポイント
2027年分から、ここが変わる
2026年に決まった税のルールの見直しで、2027年分から控除が変わります。今の55万円の枠はなくなり、くわしい帳簿+e-Taxで65万円に。さらに、決まった形のデータの帳簿もそろえると、最大75万円です。かんたんな帳簿の人で、2年前の事業の収入が1,000万円をこえる人は、10万円の控除もなくなります。紙で出す人の扱いなど、くわしくは国税庁の案内で確かめてください。
05副業でも、出したほうがいい?
ひとことで出せる。でも、事業かどうかは中身で決まる。
会社員でも、開業届は出せます。青色にもできます。ただ、ここで分かれ道があります。その副業のもうけが「事業所得」なのか、「雑所得」なのか、です。
ことば事業所得と雑所得
どちらも、入ってきたお金から、かかったお金を引いて出します。事業所得は、だれが見ても「商売だね」といえるくらいに、続けている仕事のもうけ。雑所得は、ほかのどれにも入らないもうけで、小さな副業の多くはこっちです。
どっちになるかを、国税庁の通達は「世間ふつうに見て、事業といえるくらいか」で決める、としています。開業届を出したかどうかは、この目安には書かれていません。
目安になるのが、帳簿です。帳簿やレシートを残していないと、原則として雑所得になります。例外は、収入が300万円をこえていて、事業といえる事実があるときです。
反対に、帳簿があっても、収入がとても少ないときや、もうけるつもりがないときは、事業とは見てもらえないこともあります。
出すかどうか迷ったら、下のチェックを使ってみてください。これはWE POPが考えた目安で、国が決めた基準ではありません。
当てはまるものをタップしてみてください
当てはまったのは 0 / 6個
副業で申告がいるかどうか(20万円のルール)は、副業の確定申告の記事で書いています。
気をつけて
会社を辞めてフリーランスになるなら
税務署に出す紙のほかに、健康保険と年金の切りかえもいります。すぐ次の会社に入らないなら、健康保険は3つから選びます。国民健康保険、今の会社の保険を続ける「任意継続」、家族の扶養に入る、の3つです。国民健康保険と国民年金の手続きは、退職日の翌日から14日以内。任意継続は、退職日の翌日から20日以内に申し込みます。くわしくは会社を辞める前の記事で。
06出すと決めたら、何からやる?
ひとことで始めた日を確かめて、2枚をいっしょに出す。帳簿はその日から。
仕事を始めた日(開業日)を確かめる
仕事を受けはじめた日など、実際に商売として動きはじめた日です。好きな日を選ぶわけではありません。青色の申請のしめきりは、この日から数えます。
開業届を書く
用紙は、国税庁のサイトからダウンロードできます。名前、マイナンバー、どんな仕事か、始めた日を書きます。「所得の種類」は、事業所得のところにチェックです。
青色の申請書も、いっしょに書く
正式な名前は「青色申告承認申請書」。しめきりは、1月15日までに始めたら、その年の3月15日。1月16日以後に始めたら、始めた日から2か月以内です。これから始める人は、開業届と同じ日に出せば、しめきりを気にしなくてすみます。
税務署に出して、コピーを取っておく
e-Taxか、窓口か、郵送で出します。紙で出すときは、自分用のコピーもつくっておくのがおすすめ。そのコピーには、マイナンバーを書かないようにします。
始めた日から、帳簿をつけはじめる
65万円をねらうなら、複式簿記です。会計ソフトを使えば、お金の出入りを入れるだけで、表までつくってくれます。税務署では、帳簿のつけ方を教える会も、無料で開いています。
たとえば、2026年10月15日に始めたとき
- 10月15日
始めた日
この日から、帳簿をつけはじめます。開業届と青色の申請書は、この日にいっしょに出すのがおすすめです。
- 12月15日
青色の申請のしめきり
始めた日から2か月以内。ここをすぎると、2026年の分は白色になります。
- 2027年3月15日まで
はじめての申告
2026年の分を申告します。申告の期間は、原則2月16日から3月15日まで。開業届のしめきりも、ここまで。65万円をねらうなら、e-Taxで3月15日までに出します。
気をつけて
もう副業で収入がある人は
すでに始めている人は、しめきりがすぎているかもしれません。始めた日から2か月(1月15日までに始めたなら、その年の3月15日)をすぎていたら、その年の分は白色です。開業届と同じ日に出しても、間に合いません。次の年から青色にするには、次の年の3月15日までに申請します。
07よくある質問
Q青色の申請を、出しわすれていました
Aその年の分は、白色になります。次の年から青色にしたいなら、次の年の3月15日までに申請書を出してください。白色でも、帳簿はつけて、とっておきます。
Q副業が赤字です。給料の税金は減りますか?
A事業所得なら、赤字を給料と差し引けます(損益通算といいます)。雑所得の赤字は、差し引けません。開業届を出していても、事業と見てもらえなければ、雑所得のままです。
Q開業届を出すのに、お金はかかりますか?
A国税庁の手続きの案内には、お金がかかるとは書かれていません。用紙は国税庁のサイトからダウンロードでき、e-Taxでも出せます。
Qわからないことは、どこで聞けばいい?
A国税庁のサイトの「税についての相談窓口」に、電話やチャットで聞けるところがまとまっています。帳簿のつけ方は、税務署の無料の会でも教えてもらえます。
今日の最初の一歩
国税庁のサイトで、開業届の用紙を見てみる
「開業届 国税庁」と検索すると出てきます。出すかどうかは、まだ決めなくてOK。どんな欄があるかを1回見ておくだけで、何をそろえればいいかが見えてきます。
2026.10.05 公開/2026.10.06 更新 文・WE POP編集部
参考にした情報
- 国税庁 タックスアンサー「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
- 財務省「所得税法等の一部を改正する法律案要綱」(令和5年。開業等の届出書の提出期限は令和8年1月1日以後の開業から確定申告期限に)
- e-Gov法令検索「所得税法」(第70条 純損失の繰越控除、第144条 青色申告の承認の申請、第229条 開業等の届出)
- 国税庁「税務署の窓口の受付時間について」(令和8年10月1日から)
- 国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」書き方
- 国税庁 タックスアンサー「No.2070 青色申告制度」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサー「No.2072 青色申告特別控除」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサー「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」
- 国税庁「令和7年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き(損失申告用)」(白色申告者が繰り越せる損失)
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」(青色申告特別控除の見直し)
- 国税庁 リーフレット「令和9年分以後の所得税について、10万円控除要件が変わります!」(R8.4)
- 国税庁 所得税基本通達35-2(業務に係る雑所得の例示)
- 国税庁 タックスアンサー「No.1350 事業所得の課税のしくみ」
- 国税庁 タックスアンサー「No.1500 雑所得」
- 国税庁 タックスアンサー「No.2250 損益通算」
- 国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」
- 国税庁 タックスアンサー「No.2260 所得税の税率」
- 総務省「個人住民税」
- e-Gov法令検索「地方税法」第32条(住民税の所得は、所得税の法令の計算の例による)
- 国税庁 タックスアンサー「No.2020 確定申告」
- 総務省統計局「統計Today No.197 基幹統計として初めて把握したフリーランスの働き方」
- 国税庁「税についての相談窓口」
- 日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」(提出期限:退職日の翌日から14日以内)
- e-Gov法令検索「国民健康保険法施行規則」第3条(資格取得の届出は14日以内)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「会社を退職するとき」(任意継続・国民健康保険・家族の扶養)
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