お金

目次
  1. 選べるのは3つ。期限は「辞めた次の日」から数える
  2. 任意継続は「明細の保険料×2」。ただし、上限あり
  3. 国保は「去年の所得」で決まる。住む場所でも変わる
  4. 月給22万・26万・35万円で、実際に比べてみた
  5. 会社の都合で辞めたなら、国保はぐっと下がる
  6. 家族の扶養に入れたら、保険料は0円
  7. 自分の数字で比べる5ステップ
  8. よくある質問

辞める日が決まって、やることをメモしていたら「健康保険:任意継続? 国保?」のところで手が止まった。どっちが安いのか調べても、「人による」としか書いていない。うーん、それが知りたいのに。でも、答えを出すのに使うのは、紙2枚だけ。いまの給料の明細と、去年の源泉徴収票です。この記事では、世田谷区に住む40歳未満のひとり暮らしの人を例に計算します。読み終わるころには、自分の場合どっちが安いかを、スマホの電卓で出せるようになります。

この記事でわかること

  • 辞めたあとに入れる健康保険は3つ。それぞれの期限
  • 任意継続と国保は、なにで金額が決まるのか
  • 月給22万・26万・35万円だと、どっちが安いのか
  • 自分の数字で比べる5つのステップ

先に結論

  • 家族の扶養に入れるなら、保険料は0円。まずはここをチェック
  • 任意継続はいまの明細の健康保険料×2くらい。国保は去年の所得と、住んでいるところで決まる
  • 例(世田谷区の率・40歳未満・ひとり・去年1年働いた・月給22万円)だと、国保のほうが年に約3万円安い。12か月を同じ率で並べた目安で、4月からの次の年度は辞めた年の所得で出しなおす(下がりやすい)。月給が高い人やボーナスが多かった人は、任意継続が安くなりやすい

メモ

時間がない人へ

07の「自分の数字で比べる5ステップ」だけ見てください。給料の明細と、去年の源泉徴収票があれば、10分ほどで比べられます。

01選べるのは3つ。期限は「辞めた次の日」から数える

ひとことで国保は14日、任意継続は20日。扶養なら家族の会社へ。

すぐに次の会社へ入らないなら、健康保険はこの3つから選びます。どれにも入らない、ということはできません。

  • 任意継続:やめた会社の健康保険に、そのまま2年まで入っていられるしくみ。辞める日までに、続けて2か月以上その保険に入っていた人だけが使える
  • 国民健康保険(国保):住んでいるところの役所がやっている保険に入る
  • 家族の扶養:親や夫・妻が会社で入っている保険に、いっしょに入れてもらう

いちばん安いのは、もちろん扶養です。でも、入れる人はかぎられています。なので、多くの人は、残りの2つのどっちにするかで、まようことになります。

期限は、辞めた日の次の日から

  1. 辞めた次の日

    会社の健康保険が使えなくなる

    ここから、どの保険に入るかの期限を数えます。どれにするか、ここで決めておきたいところです。

  2. 14日以内

    国保なら、役所の窓口へ

    多くの役所で、届け出は14日以内です。おくれても、保険料は辞めた次の日までさかのぼってかかります。

  3. 20日以内

    任意継続なら、協会けんぽへ

    使えるのは、辞める日までに続けて2か月以上入っていた人。出すのは、住んでいる都道府県の協会けんぽです。郵送なら、20日以内に届くように送ります。

  4. なるべく早く

    扶養なら、家族の会社へ

    手続きは、家族の会社がしてくれます。いる書類を、早めに聞いておきましょう。

期限がいちばん短いのは、国保の14日です。でも、もっときびしいのは任意継続のほう。そのわけは、こうです。

気をつけて

任意継続は、20日をすぎると入れない

国保は届け出がおくれても入れます。でも任意継続は、おくれたら、ほぼ入れません。迷っているなら、20日以内に両方の金額を出して比べるのがおすすめです。届け出がおくれると、そのあいだの医療費を、窓口でいったん全部自分で払うことになる場合があります。

なお、ここで書く任意継続は、協会けんぽ(小さめの会社の人が多く入っている健康保険)の場合です。会社に健康保険組合があった人は、上限などがちがいます。保険証などに書いてある名前を、見てみてください。

02任意継続は「明細の保険料×2」。ただし、上限あり

ひとことで会社が半分出してくれていた分も、自分で払う。でも、上のほうで止まる。

会社にいたときは、保険料の半分を会社が払ってくれていました。辞めたあとは、そのぶんも自分で払います。なので、だいたい明細の保険料の2倍になるんですね。

ことば標準報酬月額

保険料を出すときに使う、きりのいい月給の額のこと。通勤手当や残業代も含めた月の給料で決まります。たとえば21万〜23万円の人は、22万円として計算します。

くわしく言うと、辞めたときのこの額に、都道府県ごとの率をかけて出します。ただし、この額は32万円で止まります。月給が32万円より高い人も、32万円として計算するんです。だから月給が高い人ほど、「2倍」より安くすみます。

32,256円

任意継続の保険料の上限(東京都・40歳未満・1か月)出典:協会けんぽ「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限」32万円×東京支部の令和8年度の率(健康保険9.85%+子ども・子育て支援金0.23%)でWE POPが計算

東京都の令和8年度の率は、あわせて10.08%です。40歳より下の人で、1か月ぶんを出してみるとこうなります。

  • 月給22万円の人:22万円×10.08%=月22,176円
  • 月給26万円の人:26万円×10.08%=月26,208円
  • 月給35万円の人:32万円(上限)×10.08%=月32,256円

けっこうな金額ですよね。会社にいたころの明細と比べると、ちょっとびっくりするかもしれません。

ポイント

2026年4月分から「子ども・子育て支援金」が加わった

子育てを支えるためのお金で、健康保険といっしょに集めるしくみです。協会けんぽの率は、どこでも同じ0.23%。任意継続にも、これが入っています。明細で別の行になっているときは、その行も足してから2倍にしてください。

この保険料は、原則2年間変わりません。ただ、率や上限(32万円)が変わったとき、40歳になったときなどは変わります。協会けんぽの率は、毎年度見直されます。じゃあ、国保のほうは、どうやって決まるのか。つぎで見ていきますね。

03国保は「去年の所得」で決まる。住む場所でも変わる

ひとことでかせいだぶんで変わる額と、ひとりいくらの額。その2つを足すだけ。

国保のルールは、役所ごとに決めています。なので、同じ年収でも、住んでいるところで金額が変わります。中身は、おおきく分けて2つです。

  • 所得割:去年の所得から43万円を引いて、率をかける。かせいだ人ほど多くなる
  • 均等割:入る人ひとりごとに、決まった額がかかる
  • 役所によっては、1世帯ごとにかかる平等割もある

ちょっとややこしいので、実際の数字で式にしてみますね。

ここでは、世田谷区の令和8年度の率を例にします(大田区も同じ率です)。40歳より下の人なら、3つの分を足した次の数字を使います。

10.58%

所得割の率(3つの分を足したもの)

67,073円

均等割の額(ひとり・1年。3つの分を足したもの)

出典:世田谷区「国民健康保険料の計算方法」令和8年度(医療分7.51%・47,600円、後期高齢者支援金分2.80%・17,600円、子ども・子育て支援金分0.27%・1,873円)。40〜64歳は介護分2.43%・17,800円が加わります

数字がいっぱい出てきましたが、おぼえなくてもOK。あとで使うのは、この2つだけです。

メモ

世田谷区・40歳未満・ひとりの場合(1年分)

(去年の所得−43万円)×10.58%+67,073円。会社員の「所得」は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」のところです。年収そのものではないので、そこだけ気をつけてくださいね。

ポイント

「去年」は、どの年のこと?

令和8年度(2026年4月〜2027年3月)の国保は、2025年の所得で決まります。2027年1〜3月に辞める人も、使うのは2025年分の源泉徴収票です。2027年4月からは、令和9年度の率と2026年の所得で出しなおします。

ここがポイントです。国保が見るのは、去年1年ぶんの所得。ボーナスも入ります。いっぽう、さっきの2倍のほうは、ボーナスを見ません。このちがいで、どっちが安いかが入れかわるんです。

04月給22万・26万・35万円で、実際に比べてみた

ひとことで22万円と26万円は国保が安い。35万円は任意継続が安い。

さっきの区に住んでいる、40歳より下のひとりぐらしの人で、出してみます。去年も1年まるごと、同じ会社で働いていたとします。

月給22万円・去年の年収300万円の人(1年分)
任意継続266,112円
国保235,295円

出典:協会けんぽ東京支部と世田谷区の令和8年度の率で、WE POPが計算。所得は国税庁の給与所得控除(令和7年分)で計算

ぱっと見ると、そんなにちがわないように見えるかもしれません。でも、1年で約3万円。月にすると、2,500円くらいのちがいです。ただし、これは12か月を同じ率・同じ所得で並べた目安です。実際の国保は、辞めた年度の3月までと、4月からの次の年度で金額が切りかわります。次の年度は辞めた年の所得で決まるので、下がりやすいです。ほかの2人も、見てみましょう。

  • 月給22万円(年収300万円):任意継続 266,112円/国保 235,295円 → 国保が30,817円安い
  • 月給26万円(年収360万円):任意継続 314,496円/国保 279,731円 → 国保が34,765円安い
  • 月給35万円(年収500万円):任意継続 387,072円/国保 398,227円 → 任意継続が11,155円安い

月給35万円の人は、32万円で止まるルールがきいています。だから、ボーナスも入る国保のほうが高くなりました。どっちが安いかは、人によって本当にちがうんです。住んでいる町の率によっては、22万円や26万円の人でも逆になることがあります。

任意継続

いいところ

  • 保険料は原則2年間同じ(率や上限が変われば変わる)
  • 扶養していた家族も、0円のままいっしょに入れる
  • 月給が32万円をこえても、32万円で止まる

気をつけること

  • 期限は20日。すぎると入れない
  • 期限までに払わないと、そこで終わる
  • 会社が払っていた半分も、自分で払う

国保

いいところ

  • 去年の所得が少ない人ほど安い
  • 会社の都合などで辞めた人は、軽くなる
  • 次の年度は、辞めた年の所得で決まるので下がりやすい

気をつけること

  • 住んでいるところで変わる
  • 家族もいっしょなら、ひとりごとに均等割がかかる
  • 去年ボーナスが多かった人は、高くなりやすい

これは、ひとつの区の率で出した例です。あなたの住んでいるところの率で、出しなおしてみてください(07に手順があります)。

前の会社の保険を続けるほうが、安くなりやすいサイン

当てはまったのは 0 / 5個

05会社の都合で辞めたなら、国保はぐっと下がる

ひとことで去年の給料の所得を、3割として計算してくれる。

会社がつぶれた、クビになった、更新を望んだのに契約が更新されなかった。そんなふうに、自分で選ばずに辞めた人には、国保を軽くするしくみがあります。契約の期間が終わった人なら、だれでもというわけではありません。対象は、ハローワークで「特定受給資格者」「特定理由離職者」とされた人。辞めたときに65歳より下の人だけです。

30%

国保の計算で使う、去年の給料の所得の割合(会社の都合などで辞めた人)出典:厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」非自発的失業者の軽減

これは、かなり大きいです。どれくらい下がるのか、さっきの人で見てみますね。

月給22万円の例だと、所得202万円が60.6万円として計算されます。所得割は年168,222円から、年18,621円まで下がります。均等割を足すと、年85,694円ほどです。所得が少ない人の均等割を軽くするしくみもあるので、さらに下がることもあります。くわしくは区の窓口で確かめてください。かなりちがいますよね。

軽くなるのは、辞めた次の日がある月から、次の年度の終わり(3月)までです。たとえば2026年10月に辞めたら、2028年3月まで。軽くなるのは給料の所得だけで、ほかの所得はそのままです。

気をつけて

自分で届け出ないと、軽くならない

ハローワークでもらう「雇用保険受給資格者証」(または受給資格通知)を、役所の窓口に見せます。そこに書いてある、辞めた理由の番号(11・12・21・22・23・31・32・33・34のどれか)で決まります。あてはまりそうなら、どっちにするか決める前に、国保の金額を役所で聞いてみてください。

ただ、とくに理由のない自分の都合で辞めた人は、このしくみは使えません。そういう人こそ、ふたつの金額をちゃんと並べてみてください。

06家族の扶養に入れたら、保険料は0円

ひとことで条件は、これからの1年の収入が130万円より少ないこと。

親や夫・妻が会社の保険に入っているなら、その扶養に入れないかを、いちばん先に見てください。入れたら、あなたの保険料はかかりません。おもな条件はこうです。

  • これからの1年の収入が130万円より少ない(19歳以上23歳未満なら150万円。夫・妻として入る人は除く)
  • いっしょに住んでいるなら、家族の収入の半分より少ない
  • はなれて住んでいるなら、家族からの仕送りより少ない
  • 60歳以上の人などは、180万円より少ない

ここで、ひとつ気をつけたいのが、失業手当です。

気をつけて

失業手当も「収入」に入る

60歳未満の人は、失業手当が1日3,612円以上だと、もらっているあいだは扶養に入れません。もらうまでの待っている期間なら、入れることもあります。手当がはじまったら、扶養から外れる届けがいります。手当の額は失業手当の記事で計算できます。

扶養に入れない人は、残りの2つを比べます。ここからは、あなたの数字でやってみましょう。むずかしくはないですよ。

07自分の数字で比べる5ステップ

ひとことでいるのは、明細と、去年の年末ごろにもらった紙の2枚だけ。

  1. 給料の明細で、健康保険料を見る

    「健康保険」のところの額を、2倍にします。子ども・子育て支援金が別の行なら、それも足します。これが1か月ぶんの目安です。月給が32万円をこえる人は、32万円で出しなおします。明細の見かたは給与明細の記事にあります。

  2. 去年の源泉徴収票で「給与所得控除後の金額」を見る

    これが、国保で使う「去年の所得」です。手もとになければ、会社に言うと、もう一度出してもらえます。

  3. 「町の名前 国民健康保険料 令和8年度」で検索する

    所得割の率と、均等割の額を書きうつします。40歳より下なら3つ、40歳からは介護分も入れて4つです。役所によっては「国民健康保険税」という名前です。

  4. 国保の1年分を出す

    (所得−43万円)×所得割の率の合計+均等割の合計。平等割がある役所なら、それも足します。役所のサイトに試算のページがあれば、そっちでもOKです。

  5. 12で割って、1つめの数字と比べる

    よくわからなければ、役所の国保の窓口に電話して「辞めたあとの保険料は、いくらですか」と聞けます。さっきの紙を手もとに置いておくと、話が早いです。

やってみると、思ったよりかんたんです。わからないところがあっても、そのまま役所に聞けばだいじょうぶ。数字が1つでも出ると、ぐっと決めやすくなります。

ポイント

1年たったら、もう一度比べる

国保は、年度が変わると「辞めた年の所得」で出しなおします。辞めた年は、働いた月が少ないですよね。なので、次の年度の国保は下がりやすいです。任意継続は、自分から言えば、とちゅうでやめられます。はじめは任意継続、次の年度から国保、という選びかたもありです。

健康保険のほかに、年金と住民税の切りかえもあります。全部の順番は退職前にやることリストで見られます。

08よくある質問

Q入社2年目で辞めます。国保は安くなりますか?

A安くなりやすいです。国保が見るのは、去年1年ぶんの所得です。4月に入社した年は、9か月しか働いていません。ボーナスも少なめなので、そのぶん低くなります。もちろん、さいごは自分の数字で確かめるのがいちばんです。

Q任意継続のあいだに、次の会社が決まったら?

A次の会社の健康保険に入ったら、そこで終わります。先に払っていたぶんがどうなるかは、協会けんぽに聞いてみてください。国保の人は、次の会社の保険に入ったら、14日以内に役所へ「やめる届け」を出します。

Qまとめて払うと、安くなる?

A任意継続なら、まとめて先に払うと少しだけ安くなります(前納)。払えるのは「4〜9月」「10〜3月」「4〜3月」の区切りで、途中から入った人は、その区切りの終わりまでです。毎月払うなら、紙で払うときは毎月10日までです。払いわすれると、そこで終わってしまいます。最初の1回目は、届いた納付書の期日までに払わないと、入れなかったことになります。なので、口座からの引き落としにしておくと安心です。

Q40歳をこえていたら、計算は変わる?

A変わります。40〜64歳の人は、どっちを選んでも、介護保険料が足されます。協会けんぽの介護保険料の率は1.62%です。世田谷区の国保なら、所得割に2.43%、均等割に17,800円が足されます。

Qどっちにするか、まだ決められません

AそれでもOKです。ただ、20日をすぎると、前の会社の保険には入れなくなります。なので、まよっているなら、まずはそこまでに両方の金額を出してみましょう。数字がならぶと、意外とすぐに決まりますよ。

今日の最初の一歩

いまの給料の明細を開いて、「健康保険」の額を2倍にしてメモする

それが、任意継続にしたときの1か月ぶんの目安です。あとは、去年の源泉徴収票の数字もメモしておけば、国保の計算もできます。会社のWeb明細なら、スマホからでも見られることが多いですよ。

2026.10.11 公開 文・WE POP編集部

参考にした情報

制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。

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