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もう辞めたい。でも、辞めたら何か月もつんだろう。通帳の残高を見ながら、頭の中の計算が止まってしまう。そんなとき、いちばん頼りになるのが失業手当です。ただ、月給22万円の人がもらえるのは、1日5,357円。しかも自分から辞めると、最初の振り込みは2か月ほど先になります。読み終わるころには、自分の月給で「何か月暮らせるか」が出せるようになります。
この記事でわかること
- 失業手当が1日いくらになるか(月給22万円・25万円・30万円の例)
- 何日分もらえて、いつ振り込まれるか
- 辞めたあと、毎月いくら出ていくか
- 貯金と合わせて、何か月暮らせるか
先に結論
- 月給22万円なら、手当は1日5,357円。額面の7割くらい(60歳未満。2026年8月1日からの額で計算)
- 20代で自分から辞めたら、多くは90日分。はじめての振り込みは、申し込んでから約2か月後が目安
- 手当より、出ていくお金のほうが多い。最初の2か月分のお金は、貯金で用意しておく
01失業手当は、辞めた人みんながもらえるわけじゃない
ひとことで自分から辞めたなら、雇用保険に入っていたのが、2年のうち12か月あればOKです。
ことば失業手当
正式には「雇用保険の基本手当」。働く気があって、仕事を探している人が、次が決まるまでもらえるお金です。会社員なら、給料から雇用保険料が引かれているはずです。
もらうには、雇用保険に入っていた長さが足りていることが条件です。どれだけいるかは、辞めた理由で変わります。
- 自分から辞めた(自己都合):辞める前の2年のうち、雇用保険に入っていたのが12か月以上
- 倒産・解雇などで辞めた:辞める前の1年のうち、6か月以上あればOK
1か月と数えるのは、給料が出た日が11日以上ある月です。休職などで給料が出なかった月は、数えないことがあります。
もうひとつの条件は、「すぐ働けて、仕事を探していること」。なので、次の会社が決まってから辞める人は、もらえません。しばらく休んでから探したい人も、休んでいるあいだはもらえないんです。
では、条件に合っていたら、1日いくらになるのか。見ていきますね。
021日いくら? 月給22万円なら5,357円
ひとことで辞める前6か月の給料を180で割って、その5〜8割。
出し方は2段です。まず、辞める前の6か月の給料を足して、180で割ります。これが「賃金日額」。働いていたときの、1日あたりの給料のことです。使うのは、引かれる前の額面。残業代なども入りますが、ボーナスは入りません。
次に、それにだいたい5〜8割をかけます。給料が低い人ほど、かける割合が高くなるしくみです。こうして出た額が、手当の1日分になります。
5,357円
月給22万円の人の1日分
5,775円
月給25万円の人の1日分
6,307円
月給30万円の人の1日分
月給22万円なら、額面のおよそ73%。30万円なら、およそ63%です。つまり、給料が高い人ほど、割合は下がっていくんです。
出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」(2026年8月1日から)の計算式で、WE POPが計算。1日分×28日。60歳未満の場合
手当は、4週間に1回、28日分ずつ振り込まれます。月給22万円の人なら、1回で約15万円。働いていたころの手取りより、少し少ないくらいですね。ただ、はじめの1回は、待っていた日のぶんが入らないので、28日分より少ないことがあります。
メモ
1日分には、いちばん上といちばん下がある
2026年8月1日からの上限は、29歳までが7,450円、30〜44歳が8,270円です。29歳までなら、月給がだいたい45万円をこえると、そこで止まります。下限は2,562円。この額は、毎年8月1日に見直されます。
1日いくらかは、わかりました。じゃあ、何日分もらえるのか。
03何日分もらえる? 20代で自分から辞めたら、ほぼ90日
ひとことで日数は3つで決まる。辞めた理由と、入っていた年数と、年齢。
もらえる日数は、90日から360日のあいだで決まります。新卒1〜5年目くらいの人なら、だいたい90日か120日。ならべてみますね。
辞めた理由で、こんなにちがう
自分から辞めた
いいところ
- 雇用保険に入っていたのが10年より短いなら、年齢に関係なく90日
- 10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日
気をつけること
- 7日待ったあと、さらに原則1か月もらえない(給付制限)
- もらえるのは、辞める前の2年で12か月以上入っていた人
倒産・解雇などで辞めた
いいところ
- 1か月待たなくていい
- 29歳までは、5年以上10年未満で120日
- 30〜34歳は、1年以上5年未満で120日、5年以上10年未満で180日
気をつけること
- 入っていたのが1年より短いなら、年齢に関係なく90日
- 29歳までで5年より短いなら、自分から辞めた人と同じ90日
契約を更新したかったのにされなかった人や、病気などのしかたない理由で辞めた人もいます。この人たちも、1年で6か月入っていればもらえて、1か月待たなくていいです。ただ、日数が倒産・解雇と同じになるのは、契約を更新されなかった人で、2027年3月31日までに辞めた人だけ。病気などで辞めた人の日数は、自分から辞めた人と同じです。どれに当たるかは、ハローワークが離職票(辞めたことを証明する紙)を見て決めます。
ちょっとややこしいですよね。ひとまず、月給22万円で自分から辞めた人なら、90日分で全部で約48万円。25万円なら約52万円、30万円なら約57万円です。
482,130円
48万円と聞くと、ちょっとほっとしますよね。でも、問題はいつ入ってくるか、です。
04いつ振り込まれる? 自分から辞めたら、約2か月後
ひとことで7日待って、さらに1か月待つ。そのあと4週間ごとに入ってくる。
手当は、辞めた次の日から出るわけではありません。ハローワークに申し込んだ日から数えて、こんな順に進みます。
自分から辞めたときの流れ
- 辞めたあと
離職票が届く
会社が手続きをして、あとから届きます。届くまでのあいだも、暮らしのお金はかかりますよね。
- 申し込んだ日
ハローワークで手続き
住んでいる地域のハローワークで、仕事探しの申し込みをして、離職票を出します。この日から数えはじめます。
- 最初の7日
待期(だれでも待つ)
辞めた理由に関係なく、7日間は手当が出ません。
- そのあと1か月
給付制限
自分から辞めた人は、原則1か月、手当が出ません(2025年3月までに辞めた人は2か月)。今回の前の5年のうちに2回以上、自分から辞めて手当の手続き(受給資格の決定)を受けた人は、3か月です。
- 約2か月後から
はじめての振り込み
4週間に1回、ハローワークで「仕事を探しました」と伝える日(認定日)があります。その1週間後くらいに振り込まれます。
1か月待たなくていい人でも、はじめて振り込まれるのは、申し込んでから約1か月後。自分から辞めた人は、そのさらに1か月あとです(3か月待つ人は、もっとあと)。辞めてから最初のお金が入るまで、2か月以上かかると見ておくと安心です。
気をつけて
もらえるのは、辞めた次の日から1年のあいだ
90日分をもらえるのは、原則として、辞めた次の日から1年のあいだだけ。申し込みがおくれて1年をすぎると、残りの日数はもらえません。病気やけがで30日以上働けないときは、のばせることがあります。ハローワークに相談してください。
ポイント
国が決めた講座を受けると、1か月待たなくていい
2025年4月から、決められた教育訓練を受けると、給付制限がなくなりました。国の給付金が出る講座や、公共職業訓練などです。辞める前の1年のうちに受けた人と、辞めたあとに受けている人が対象。2025年4月1日からあとに受けはじめたものに限り、途中でやめた場合は対象外です。気になる人は、ハローワークで聞いてみてください。
入ってくるお金は、これで見えてきました。じゃあ、出ていくほうは?
05辞めたあと、毎月いくら出ていく?
ひとことでふだんのお金に、年金と保険と住民税が乗ってくる。
会社にいるあいだ、年金や保険は給料から引かれていました。辞めたあとは、これを自分で払います。すぐ次の会社に入らず、家族の扶養にも入らないなら、出ていくお金はこの4つです。
- ふだんの暮らし:家賃・食費・スマホ代など。34歳までで一人暮らしの会社員などは、平均で月179,225円(2025年。家賃を払っていない人も入った平均)
- 国民年金:月17,920円(2026年度)。会社にいたときの厚生年金は、会社と半分ずつ払っていました。辞めると国民年金に切り替わって、全部自分で払います
- 健康保険:国保か、前の会社の保険を続ける「任意継続」。協会けんぽの任意継続なら、辞める前の保険料の2倍(上限あり)。健康保険組合は、組合ごとにちがいます
- 住民税:辞めても止まらない。前の年の収入でもう決まっているので、明細の額のぶんは、これからも払う
17,920円
メモ
任意継続と国保は、比べて決める
任意継続に入れるのは、辞める日までに2か月以上続けて入っていた人。辞めた次の日から20日以内に手続きすれば、最長2年入れます。国保のほうが安いこともあります。倒産・解雇・雇い止めなどで辞めた人は、国保の保険料を前の年の給与所得を3割として計算してもらえるしくみも。役所で国保の額を聞いて、比べてから決めるのがおすすめ。くわしくは退職前にやることリストへ。
ポイント
家族の扶養に入れる人は、保険料がかからないことも
家族の会社の保険の扶養に入れれば、保険料はかかりません。夫や妻が会社員や公務員で、その扶養に入るなら、年金の保険料もいりません(親の扶養なら、年金は自分で払います)。ただ、失業手当も収入に数えます。月給22万円の例のように1日分が大きい人は、もらっているあいだは扶養に入れないことが多いです。入れるかどうかは、家族の保険の窓口が決めます。それと、税金の扶養とは別のものです。
たとえば、明細の健康保険が11,000円、住民税が8,000円の人で出してみます。暮らしのお金は、さっきの平均の179,225円にします。
- ふだんの暮らし:179,225円
- 国民年金:17,920円
- 健康保険(任意継続):11,000円×2=22,000円
- 住民税:8,000円
- あわせて:毎月 約22.7万円
月給22万円の人の手当は、4週間で約15万円でした。もらっているあいだも、毎月7万円ほど足りません。手当だけでは、暮らしはまかなえない、ということです。
ポイント
年金は「免除」を申し込める
辞めた人は、国民年金の保険料の免除を申し込めます。審査では、自分の前の年の所得を0円として見てもらえます。ただ、世帯主や、夫・妻の所得は見られます。免除された分は、将来もらえる年金が少なくなります。でも、10年以内なら、あとから払って(追納)もとに戻せます。
入るお金と、出ていくお金。両方そろいました。いよいよ、何か月もつかを出してみます。
06で、何か月暮らせる? 4つの手順で出す
ひとことで(貯金+手当の全部)÷ 毎月出ていくお金。これだけです。
自分の数字で出してみる
1日分を出す
辞める前6か月の額面を足して、180で割ります。毎月ほぼ同じなら、月給×6÷180でOK。そこに5〜8割をかけます。02の例の近いものを見るだけでもかまいません。
全部でいくらかを出す
1日分に、もらえる日数をかけます。20代で自分から辞めたなら、多くは90日です。
毎月出ていくお金を出す
家賃や食費などに、年金17,920円と、保険と、住民税を足します。保険は、明細の額の2倍か、役所で聞いた国保の額を入れます。
割り算をする
(いまの貯金+手当の全部)÷毎月出ていくお金。これが、次の給料なしで暮らせる月数の目安です。
では、さっきの例に、貯金の額を入れてみますね。月給22万円で、もらえるのは90日分。毎月出ていくのは、22.7万円の人です。
出典:WE POPが計算。手当の合計482,130円と貯金を足して、毎月227,145円で割った数(小数第2位を四捨五入)
貯金50万円なら、約4.3か月。ただ、気をつけたいのは、手当が入る前の2か月です。この2か月だけで、約45万円が出ていきます。
気をつけて
貯金30万円だと、最初の2か月がもたない
割り算では3.4か月でも、手当が入るのは2か月くらいあと。そのあいだに約45万円かかるので、30万円では先に足りなくなります。WE POPのおすすめは、辞める前に「暮らしのお金2か月分+α」を持っておくこと。足りないなら、働きながら次を探すほうが安心です。
働きながら探すか、辞めてから探すかは、第二新卒、いつ動く?で比べています。ところで、早く決まった人がもらえるお金もあるんです。
07早く次が決まると、お祝いのようなお金が出る
ひとことで残りの日数が多いうちに決まれば、残りの6〜7割をまとめてもらえる。
手当を残したまま、早めに次の会社が決まると、「再就職手当」がもらえます。もらえる日数が、もとの3分の1以上残っていることが条件です。
- 残りが3分の2以上:1日分×残りの日数×70%
- 残りが3分の1以上:1日分×残りの日数×60%
- 残りが3分の1より少ない:もらえない
出典:ハローワーク「再就職手当のご案内」の計算式で、WE POPが計算(1日分5,357円)。60日以上残れば70%、30日以上なら60%
1か月待っているあいだに決まれば、90日がまるごと残っているので、約34万円。次の会社の、はじめての給料日までを支えてくれる額です。
気をつけて
もらえないこともある
自分から辞めた人が、7日待ったあとの1か月のうちに決まったとき。このときは、ハローワークか職業紹介の会社(転職エージェントなど)の紹介で決まった場合だけが対象です。ほかにも条件があります。7日の待期が終わってから決まったこと。1年をこえて働くことが確実なこと。過去3年以内に再就職手当などをもらっていないこと。ハローワークに申し込む前から内定していた会社や、前と同じ会社もだめです。
なお、この計算に使う1日分には、べつの上限があります。59歳までは6,745円です(2027年7月31日まで)。
08よくある質問
Q失業手当に、税金はかかる?
Aかかりません。雇用保険から出るお金は、全部非課税(税金がかからないお金)です。手当のぶんの確定申告もいりません。ただ、年金や保険は、もらっているあいだも払います。
Qもらっているあいだに、アルバイトしてもいい?
Aできますが、働いた日は必ず申告します。働いた日は手当が出なかったり、減ったりすることがあります。週20時間以上で、31日以上働く見込みがあるなど、雇用保険に入る働き方は「就職した」あつかいです。申告しないと不正受給になり、手当が止まります。もらった額を返したうえで、さらにその2倍まで納めるよう言われることも(合わせて最大3倍)。
Q入社して1年たたずに辞めたら、もらえない?
A自分から辞めるなら、辞める前の2年で12か月以上がいります。この2年に入る前の会社の期間も、数えられます。ただし、前に手当の手続きをしたことがあれば、数えるのはそのあとの期間だけ。倒産や解雇などなら、1年で6か月以上で足ります。くわしくはハローワークで聞いてみてください。
Q体調をくずして辞めるときは?
Aすぐ働けないあいだは、失業手当はもらえません。そのかわり、もらえる期間をのばす手続きがあります。辞めたあとに健康保険の傷病手当金を受けられることもありますが、条件がいくつかあります。くわしくは休職と傷病手当金の記事で確かめてください。
今日の最初の一歩
明細を6か月分ひらいて、額面を足してみる
給与明細の「総支給額」を6か月分足して、180で割るだけ。それが、1日あたりの給料です。02の例と見比べれば、手当の1日分がだいたいわかります。スマホの電卓で、5分あれば終わります。
2026.10.09 公開 文・WE POP編集部
参考にした情報
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」(令和8年8月1日から)
- 厚生労働省 報道発表資料「雇用保険の基本手当日額の変更」(令和8年7月31日。別添2・参考1の計算式)
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(賃金日額・給付率・上限額・受給期間)
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
- ハローワークインターネットサービス「よくあるご質問(雇用保険について)」(待期・給付制限・初回の振り込み)
- 厚生労働省 リーフレット「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」
- 厚生労働省・ハローワーク「再就職手当のご案内」(令和8年8月版。上限額は令和9年7月31日まで)
- 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」(受給資格・非課税・アルバイト)
- 日本年金機構「国民年金保険料」(令和8年度)
- 日本年金機構「【転職をご検討中の方へ】国民年金の加入、保険料免除・納付猶予制度のご案内」
- 協会けんぽ「任意継続」
- 総務省「個人住民税」
- 総務省統計局「家計調査(家計収支編)単身世帯 詳細結果表 2025年」第2表(単身世帯のうち勤労者世帯・34歳以下。消費支出179,225円)
- 新宿区「非自発的失業者に対する国民健康保険料の軽減」
- 兵庫労働局「雇用保険の基本手当の受給資格」(被保険者期間の数え方)
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