目次
クローゼットの服を出品したら、思ったより売れた。気づけば、売上が10万円をこえている。「これって、税金かかるの?」と少し不安になりますよね。答えは、売ったものしだいです。自分で着ていた服なら、原則として税金はかかりません。でも、材料を買って作ったアクセサリーなら話は別。読み終わるころには、自分がどちらで、何をしておけばいいかがわかります。
この記事でわかること
- 税金がかからないものと、かかるものの線
- ハンドメイドの売上から、所得を出す計算
- 会社員の「20万円」の線と、住民税の申告
- あとで困らない、記録の残し方
先に結論
- 家で使っていた服・家具・家電を売ったお金は、原則として税金がかからない。ただし1個30万円をこえる宝石や絵などは別
- 作って売る・売るために買って売るなら所得。見るのは売上ではなく「売上−経費」
- 年末調整がすんだ会社員なら、その所得が20万円以下で確定申告はいらない。でも住民税の申告はいる
01着なくなった服を売っても、税金はかからない
ひとことでふだん使っていたものを売ったお金には、原則として税金がかからない。
国税庁は、ふだん使っていた古着や家具を売った所得は、税金がかからず、確定申告もいらないとしています。法律で、そう決まっているんです。
ことば生活に必要な動産(どうさん)
ふだんの暮らしで使う、動かせるもののこと。国税庁があげている例は、家具や食器、通勤に使う車、服など。これを売ったお金には、原則として税金がかかりません。
たとえば、こんなものです。着なくなった服やバッグ。読み終わった本。引っ越しで使わなくなった家電。買った値段より高く売れても、ふだん使っていたものなら同じです。
住民税の所得は、所得税と同じ計算のしかたを使うと法律で決まっています。なので、この売上は住民税の所得にも入りません。つまり、いらないものを売っただけなら、どちらの申告もいりません。心配なら、市区町村の住民税の窓口で確かめてください。
ただ、例外が1つあります。じゃあ、高いアクセサリーや絵を売ったときは?
021つ30万円をこえる宝石や絵は、別あつかい
ひとことで宝石や絵などで、1個30万円をこえると、税金がかかることがある。
30万円
書画(しょが)は絵や書のこと。骨とうは、古くて値打ちのある道具などのこと。こういうものを1個(1組)30万円をこえる値段で売ると、「譲渡所得(じょうとしょとく)」になります。
とはいえ、すぐに税金がかかるとは限りません。この所得は、売った値段から買った値段と、売るのにかかったお金を引いて出します。そこから、さらに最高50万円を引けます。買ったときより安く売れたなら、もうけは出ていません。
ポイント
高いものを売るときは、買ったときの記録を
もうけを出すには、買った値段が必要です。高いアクセサリーや時計を売るなら、買ったときのレシートや保証書を一緒に取っておきましょう。5年をこえて持っていたものなら、計算に入れるのはもうけの半分です。
ここまでは「使っていたもの」の話。じゃあ、自分で作ったものを売ったら?
03作って売るなら、それは「所得」
ひとことでもうけるために続けて売るものは、ふつう雑所得になる。
国税庁は、フリマアプリなどで個人が売って得た所得を、ふつうは雑所得にあたるとしています。ふだん使っていたものを売るのとは、ここがちがいます。
不用品とハンドメイド、どこがちがう?
使っていたものを売るふつうは税金なし
いいところ
- 着た服、読んだ本、使った家電など
- 高く売れても、確定申告はいらない
- 住民税の申告もいらない
気をつけること
- 1個30万円をこえる宝石や絵などは別
- 売るために買ったものは、ここに入らない
作る・仕入れて売る所得になる
いいところ
- 材料や送料、手数料のぶんは引ける
- 所得が少なければ、確定申告はいらないことも
気をつけること
- 所得は、売上から経費を引いて出す
- 所得税の申告がいらなくても、住民税の申告はいる
- 記録がないと、経費を出せない
ことば雑所得と事業所得
副業のうち、もうけるために続けているものの所得は「業務に係る雑所得」。会社員がたまに作って売るくらいなら、ふつうはこれです。帳簿をつけて、まわりから見ても「仕事」と言えるくらい大きく続けていれば「事業所得」になります。
どちらでも、所得の出し方は同じ。売上から経費を引いた残りです。事業として本格的に始めるなら、開業届と青色申告の記事も読んでみてください。
当てはまるものをタップしてみてください
当てはまったのは 0 / 5個
04売上24万円と48万円、申告がいるのはどっち?
ひとことで線を引くのは所得の20万円。売上24万円ならいらず、48万円ならいる。
給料を1か所からもらい、年末調整がすんでいる会社員の例です。所得は「売上−材料のお金−送料と箱代−手数料」で出します。手数料は、仮に売上の1割としました。
出典:WE POPが仮の数字で計算。A は非課税なので所得に入れない。20万円の線は国税庁 タックスアンサー No.1900(令和8年4月1日現在法令等)
3つの例を、順に見ていく
A:服・本・家電を売って15万円
ふだん使っていたものなので、税金はかかりません。所得に入れず、どちらの申告もいりません。
B:ハンドメイドで売上24万円
材料6万円、送料と箱代3万円、手数料2.4万円を引くと、所得は12.6万円。20万円以下なので、確定申告はいりません。でも、住民税の申告はいります。
C:ハンドメイドで売上48万円
材料12万円、送料と箱代6万円、手数料4.8万円を引くと、所得は25.2万円。20万円をこえるので、確定申告がいります。
B と C を見比べてください。売上だけ見ると、どちらも20万円をこえています。でも、判断に使うのは売上ではなく所得。経費を引くと、B は線の内側におさまります。
C の税金も、ざっくり出してみます。所得税の税率は、給料と合わせた課税所得で決まります。5%の人なら約1.3万円、10%の人なら約2.6万円です(上乗せされる復興のぶんも入れた額)。課税所得が195万円をこえると、10%以上になります。住民税はふつう10%で、約2.5万円です。
気をつけて
不用品とハンドメイドは、分けて数える
A と B を両方している人は、B の所得だけで20万円の線を見ます。A は税金がかからないので、足しません。逆に、副業がほかにもあるなら、その所得と B を足して20万円を見ます。
0520万円以下でも、住民税の申告はいる
ひとことで「20万円以下なら申告いらない」は所得税だけのルール。
給料が年2,000万円以下で、1か所からもらい、年末調整がすんでいる会社員。この人は、給料のほかの所得が20万円以下なら、所得税の確定申告はいりません。ただし、医療費控除などで確定申告をするなら、20万円以下の所得も一緒に書きます。そして、住民税にこのルールはありません。横浜市も、住民税は所得が少なくても、給料と合わせて計算すると書いています。
なので、例 B の人は、住んでいる市区町村に住民税の申告を出します。確定申告をした人は、それで住民税の申告もしたことになります。別に出さなくてOKです。
2026年分の売上なら、この流れ
- 2026年1〜12月
売れたお金と、かかったお金をメモ
1年分を足して、所得が20万円をこえるかを見ます。
- 2027年2月16日〜3月15日
20万円をこえたら、確定申告
スマホからでも出せます。確定申告をすれば、住民税の申告は別にいりません。
- 2027年3月15日まで
20万円以下なら、住民税の申告
住んでいる市区町村に出します。書き方は市区町村のサイトか窓口で確かめてください。
- 2027年6月〜
住民税に入ってくる
会社員なら、ふつうは給料から引かれる住民税に足されます。
ポイント
2026年分から基礎控除が上がったけど
2026年分から、所得税の基礎控除(所得から引ける額)が上がりました。所得の合計が489万円以下なら、2026・2027年分は104万円です。でも、会社員の「20万円」の線は変わっていません。これまでどおり20万円で見ます。
申告のくわしい流れは、副業の確定申告の記事にまとめています。じゃあ、そのために何を残しておけばいい?
06記録は、売るたびに5秒で残す
ひとことで残すのは、売上の明細と、経費のレシート。
所得を出すには、売上と経費の両方がいります。年末にまとめて探すと、レシートはだいたい見つかりません。売るたび、買うたびに残すのがいちばんラクです。
「不用品」と「作品・仕入れ」を分ける
スマホのメモか表に、2つの欄を作ります。税金がかからないものと、所得になるものを、はじめから分けておくと年末に迷いません。
材料や梱包材のレシートを撮る
買ったその場で写真に残します。ネットで買ったなら、購入履歴の画面を保存しておけばOK。
月に1回、アプリの取引の履歴を保存する
売上・送料・手数料が並んだ画面を、スクリーンショットなどで残します。あとから見られなくなることもあるので、こまめに。
年が明けたら、1年分の所得を出す
売れたお金の合計から、かかったお金の合計を引きます。20万円をこえたら確定申告、こえなければ住民税の申告です。
メモ
記録は5年くらい残しておく
国税庁によると、副業の雑所得で、前々年の売上が300万円をこえる人は、領収書などを5年間残します。2022年分からのルールです。そこまで売れていない人も、同じくらい残しておくのがWE POPのおすすめです。
07よくある質問
Qハンドメイドが赤字でした。給料の税金は減りますか?
A雑所得なら、減りません。雑所得の赤字は、給料などの所得と差し引きできないルールです。
Qセールで買った新品を、使わずにすぐ売りました。不用品ですか?
A一度も使っていない新品は、非課税の「ふだん使っていたもの」に当てはまらないことがあります。売ってもうけるために買い、それをくり返しているなら、所得(雑所得など)にあたると考えられます。自分用に買ったけどサイズがちがった、というような未使用品は、判断が分かれるとWE POPは考えています。迷ったら、税務署に聞いてください。
Q住民税の申告をすると、会社に副業が知られますか?
A住民税の額が変わるので、気づかれることはあります。副業が会社のルールでOKか、先に確かめておくと安心です。くわしくは副業がバレる理由の記事にまとめています。
Q自分がどっちかわかりません。どこに聞けばいい?
A税務署の電話相談センターで、無料で聞けます。住民税の申告なら、住んでいる市区町村の窓口へどうぞ。売ったものの記録を手元に置いてから電話するとスムーズです。
今日の最初の一歩
今夜、スマホのメモに「売ったもの」を2つの欄に分けて書く
左にいらなくなったもの、右に作品や仕入れたもの。今年売ったものを、思い出せる分だけでOKです。右の欄があるなら、明日から売るたびに金額を足していきましょう。
2026.10.15 公開 文・WE POP編集部
参考にした情報
- 国税庁 タックスアンサー「No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサー「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサー「No.1460 譲渡所得(土地や建物以外を譲渡したとき)」(令和8年4月1日現在法令等)
- e-Gov法令検索「所得税法」(第9条 非課税所得)
- e-Gov法令検索「所得税法施行令」(第25条 譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)
- 国税庁 タックスアンサー「No.1500 雑所得」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 所得税基本通達「法第35条《雑所得》関係」(35-2 業務に係る雑所得の例示)
- 国税庁 タックスアンサー「No.2210 必要経費の知識」
- 国税庁 タックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサー「No.1900 Q&A 確定申告を要しない場合の意義」
- 国税庁 タックスアンサー「No.2260 所得税の税率」
- 横浜市「給与以外に副収入がある場合の住民税の申告は…」
- 総務省「個人住民税」
- e-Gov法令検索「地方税法」(第32条・第313条 所得の算定、第317条の2 市町村民税の申告等)
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
- 国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」(基礎控除の額)
- 国税庁「令和7年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」(令和8年分の申告期間の記載を含む)
- 国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」(業務に係る雑所得の書類の5年保存の記載あり)
- 国税庁「税についての相談窓口」
制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。