目次
副業を始めてみたい。もう始めている。でも、ネットで「副業は住民税でバレる」と見て、ドキッとした。会社に知られたら、怒られる? クビになる? そんな不安がある人に向けて書きました。先に言っておくと、おすすめは隠し通すことではなく、会社のルールを見て届け出ることです。読み終わるころには、どこから知られるのか、何をどの順番で確かめればいいかがわかります。
この記事でわかること
- 副業が会社に知られる、おもな3つのきっかけ
- バイトと業務委託で、住民税と保険がどうちがうか
- 国のお手本と、会社のルールのちがい
- 届け出る前に、何をどの順番で確かめればいいか
先に結論
- 知られるおもなきっかけは住民税・社会保険・人づての3つ。住民税の額は、毎年5月末までに会社へ届く
- 国の考えは原則OK。でも、あなたに当てはまるのは会社のルール(就業規則)
- おすすめは隠すことではなく、ルールを見て届け出ること
01副業していること、みんな会社に言ってる?
ひとことで正社員で会社に知らせている人は、3人に1人。上司や同僚は知っている人も、2割ちょっと。
まずは数字をひとつ。国の調べでは、副業がある人は、2022年に305万人いました。
305万人
5年前より、60万人増えています。今の仕事を続けながら、ほかの仕事もしたい人は、もっと多くて493万人。副業がある人は、働く人のおよそ20人に1人です。
では、副業をしている人は、会社に伝えている? 国の研究機関(労働政策研究・研修機構)が、正社員の副業者に聞いた答えがこちらです。
33.5%
会社に知らせている
23.0%
届け出はしていないが、上司や同僚は知っている
43.5%
会社に知らせていない
知らせている人と、上司や同僚が知っている人で、半分をこえます。「知られても問題ない」と答えた人も、48.6%いました。
困るのは、知られることより、会社のルールに合っていなかったとき。ここからは、知られるきっかけを順に見ていきます。
02住民税から知られるのは、どうして?
ひとことで会社には毎年、あなたの住民税の額が届くから。
会社員の住民税は、ふつう毎月の給料から引かれます。この天引きを「特別徴収」といいます。
ことば特別徴収
会社が給料から住民税を引いて、かわりに納めるしくみ。会社員は、これが基本です。自分で払うしくみは「普通徴収」といいます。
額を決めるのは、会社ではなく、あなたが住んでいる市区町村。1年の流れは、こうです。
住民税が決まって、引かれるまで
- 1月
会社が、去年の給料を知らせる
1月31日までに、会社が去年の給料を市区町村に知らせます。副業先で給料をもらっていれば、そこも知らせます。
- 2〜3月
ほかの収入は、自分で申告する
業務委託などのお金は、確定申告などで伝えます。期限は、ふつう3月15日です。
- 5月
会社に、住民税の額が届く
「自分で納付」を選んだ分を除いた額が、5月31日までに会社へ届きます。
- 6月〜翌5月
毎月の給料から引かれる
1年分を12回に分けて、給料から引きます。
つまり会社には、毎年あなたの住民税の額が届きます。副業の分が足されると、払った給料のわりに、額が多くなります。
それを給料の担当の人が見て、「ほかにも収入があるのかな」と気づく。これが、住民税から知られるしくみです。6月から引かれるわけは、給与明細の見方でも書いています。
03雇われる副業と、自分で受ける副業。何がちがう?
ひとことで給料の副業はまとめて天引き。それ以外は、納め方を選べる。
副業が「給料」かどうかで、住民税と保険の扱いが変わります。並べると、こうです。
雇われる副業バイト・パートなど
いいところ
- 働く時間や休みのルールで守られる
- けがをしたときは、労災保険が使える
気をつけること
- 住民税は原則、本業とまとめて引かれる
- 週20時間以上などにあてはまると、社会保険に入る。両方の会社に知らせが届く
- 働いた時間は、本業と足して数える
- 副業先の給料と、ほかの所得が20万円をこえたら、確定申告がいる
自分で受ける副業業務委託など
いいところ
- 住民税は、確定申告で「自分で納付」を選べる
- 社会保険は、本業のまま変わらない
気をつけること
- もうけ(所得)が20万円をこえたら、確定申告がいる
- 何も選ばないと、本業の給料から引かれることも
- 働く時間のルールは当てはまらない。働きすぎに気をつける
国のお手本では、どちらの形も「副業」に入ります。雇われないから届け出はいらない、とは限りません。
給料の副業なら、2つを合わせて計算し、本業の会社がまとめて引くのが原則です。
メモ
給料の副業は「まとめて天引き」にそろってきた
前は、希望すれば副業の給料の分だけ自分で払える自治体もありました。今は、法律に合わせて、まとめて引く形にそろえるところが出ています。たとえば東京都中野区は2026年度から、埼玉県川口市は2027年度からです。
業務委託など、給料ではない副業はちがいます。確定申告書の第二表にある住民税の欄で、「自分で納付」を選べます。選ぶと、その分は自分で払う形になります。
何も選ばないと、本業の給料からまとめて引かれることがあります。選んでも、給料以外の所得がマイナスのときなどは、天引きになることも。申告は期限までに出しておきましょう。
覚えておきたいのは、これは住民税の払い方を選ぶしくみだということ。税額は同じで、会社のルールが変わるわけでもありません。
気をつけて
自分で払う分は、払い忘れに気をつけて
納付書などが届くので、それで払います。払う月は、6月・8月・10月・翌年1月の4回が基本です。期限をすぎると、延滞金がかかります。
04住民税のほかに、知られるきっかけは?
ひとことで副業先で社会保険に入るときと、人づてやSNS。
1つめは、社会保険です。バイトやパートでも、次にあてはまると、副業先で社会保険に入ります。
- 週20時間以上働く契約
- 従業員51人以上の会社
- 学生ではない
2026年10月からは、「月8.8万円以上」という条件がなくなりました。条件は会社ごとに見るので、2か所の時間は足しません。
副業先でも入るときは、本人が届け出ます(10日以内)。保険料は2つの給料を合わせて決まり、その知らせがそれぞれの会社に届きます。そのため、ほかでも働いていることが勤め先に伝わることがあります。
2つめは、人づてやSNSです。しくみとは関係なく、こんなところから伝わります。
- 同僚とのおしゃべりから、うわさが広がる
- SNSに、副業のことや収入を書く
- 名前や顔が出る仕事を見られる
- 副業先のお店に、会社の人がお客さんとして来る
01で見たとおり、届け出はしていなくても、上司や同僚は知っているという人が2割ちょっといました。隠し続けるより、はじめからルールの中でやるほうがずっとラクだと、私たちは考えています。
05国は副業OK。じゃあ、うちの会社は?
ひとことで国のお手本は「原則OK・届け出制」。でも決めるのは、あなたの会社のルール。
国(厚生労働省)は2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」をつくりました。最新は2022年版です。会社には、副業を原則OKにする方向で考えてほしい、とあります。
禁止や、一律に許可がいる会社もあります。国は、本当に本業に差し支えるのか、見直すよう求めています。
メモ
国のお手本(モデル就業規則)では
「働く人は、勤務時間の外なら、ほかの会社などの仕事をしてよい」とあります(第70条)。そのうえで、届け出をもとに、本業に差し支えるときなどは、禁止や制限ができる形です。
ただ、ガイドラインもお手本も、会社が参考にするためのもの。あなたに当てはまるのは、あなたの会社の就業規則です。「届け出ればOK」もあれば、「許可がいる」「禁止」もあります。
ことば就業規則
会社の働き方のルールブック。働く時間や休み、給料、罰のルールなどが書いてあります。常に10人以上が働く職場(支店や店舗ごと)には、つくる決まりがあります。
では、自分の会社のルールを知っている人は、どれくらい? 副業をしていない正社員の答えがこちらです。
出典:労働政策研究・研修機構「副業者の就労に関する調査」(2022年10月調査)。同機構が「参考値」としている数字。本人の答えなので、会社の実際の決まりとはちがうこともある
半分くらいが「禁止されている」。そして「わからない」が25.6%。4人に1人は、自分の会社のルールをはっきり知らないんですね。まずは、読んでみるところからです。
06届け出ずに副業したら、どうなる?
ひとことで処分を受けることもある。見られるのは、本業への影響。
いちばん気になるのは、ここですよね。禁止なのに副業をしたり、許可がいるのに黙って始めたり。そうすると、懲戒(会社が科す罰)を受けることがあります。
懲戒には、始末書を書くくらいの軽いものから、解雇まであります。どれがあるかは、会社ごとにちがいます。
国の資料では、会社が副業を止められるのは、たとえば次の4つのときです。
- 本業に差し支える…働きすぎて、本業がちゃんとできない など
- 会社の秘密がもれる…仕事で知ったことを、ほかで使う など
- 競業になる…本業と同じお客さんに、同じものを売る など
- 会社の信用を傷つける…信頼をこわす など
裁判では、中身を見て決まります。毎日6時間、夜おそくまで黙って別の店で働いていた人は、解雇が認められました。管理職が、ライバル会社の役員になったときも同じです。
反対に、夜や休みの日だけ働いていて、本業に差し支えがなかった人は、解雇が無効になった例もあります。
ただ、争いになれば、時間も気持ちもすり減ります。始める前に届け出ておけば、心配のタネはぐっと減ります。
ポイント
相談や届け出をしただけで、不利な扱いはできない
国のガイドラインには、副業の相談や届け出をしたことで、会社が不利な扱いをしてはいけない、とあります。ただし、禁止の会社で副業を始めること自体は、別の問題として扱われることがあります。
気をつけて
処分の話が出て困ったら、ひとりで抱えない
納得できないときは、国の「総合労働相談コーナー」に相談できます。全国の労働局などにあり、お金はかからず、予約もいりません。
07始める前に、何をどの順番で確かめる?
ひとことでルールを読む。チェックする。届け出る。
国のリーフレットでも、まずは会社のルールを確かめるようすすめています。順番は、こうです。
始める前の4ステップ
就業規則がどこにあるか探す
社内のポータルや共有フォルダなどにあります。会社は、働く人がいつでも見られるようにしておく決まりです。働く人が10人未満の職場では、ないことも。そのときは契約書を見るか、上司に聞いてみてください。
「副業」「兼業」のところを読む
「副業」「兼業」「ほかの会社」などの言葉で探します。「届け出ればOK」「許可がいる」「禁止」のどれかを確かめましょう。
何を書くかを確かめる
国のお手本では、副業先でする仕事や、働く日と時間などを聞く例があがっています。雇われる副業なら、働く時間も伝えましょう。本業と足して数えるからです。
チェックしてから、上司か人事に出す
下のチェックで確かめてから出します。OKが出てから始めると安心です。始めたあとも、中身や時間が変わったら伝えます。
出す前に、当てはまるものをタップ
当てはまったのは 0 / 6個
もし「禁止」だったら、黙って始めるのはやめておきましょう。理由や、どんな副業ならOKかを、人事に聞いてみてください。国のガイドラインも、会社とよく話し合うことを求めています。
08よくある質問
Qもう副業を始めていて、まだ届け出ていません
A今からでも、ルールを読んで届け出るのがおすすめです。国のお手本にも、こうあります。届け出のない副業がわかったら、会社はまず届け出を求めて、問題がないか確かめるのがよい。早めに出すほど、話はシンプルです。
Q住民税を「自分で納付」にすれば、届け出なくていい?
Aいいえ。変わるのは住民税の払い方だけで、会社のルールは変わりません。届け出が決まっている会社なら、出さないといけません。社会保険や人づてで伝わることもあります(04)。
Q副業の所得が20万円以下なら、何もしなくていい?
A業務委託などの所得は、確定申告がいらない額でも、住民税の申告は別にいります。届け出がいるかも、金額ではなく会社のルールしだい。くわしくは副業の確定申告の記事で。
Qマイナンバーで、副業が会社にわかる?
Aデジタル庁は、マイナンバーで副業が新たにわかるわけではない、と答えています。ただ、住民税の額が会社に届くしくみは、前から同じです(02)。
今日の最初の一歩
今夜、就業規則を開いて「副業」で検索してみる
社内のポータルなどで、「副業」「兼業」と探すだけです。見つからなければ、人事の人に「就業規則はどこで見られますか」と聞けばOK。「届け出」「許可」「禁止」のどれだったか、スマホのメモに1行残しておきましょう。何から始めるか迷っているなら、会社員の副業、何から始める?もどうぞ。
2026.10.03 公開 文・WE POP編集部
参考にした情報
- 総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 結果の要約」(副業がある者・追加就業希望者)
- 労働政策研究・研修機構 調査シリーズNo.245「副業者の就労に関する調査」(2024年7月公表)
- 労働政策研究・研修機構「副業者の就労に関する調査」本文(第2章第5節 本業の勤め先での副業の禁止・通知の状況)
- 東京都主税局「個人住民税と特別徴収について」
- 東京都・都内区市町村「個人住民税 特別徴収の事務手引き」
- e-Gov法令検索「地方税法」(第317条の2・第317条の3・第320条・第321条の3・第321条の4・第326条)
- 中野区「給与や所得が複数ある場合の住民税の徴収方法について」
- 川口市「2ヵ所以上のお勤め先から給与をもらっている場合の住民税徴収方法の変更について【令和9年度(令和8年分の所得)以降】」
- 足立区「給与や所得が複数ある場合の住民税の徴収方法について」(給与以外の所得で納め方を選ばなかった場合の扱い)
- 文京区「副業がある場合の徴収方法について」
- 国税庁 e-Taxよくある質問「作成コーナーで『住民税等に関する事項』を入力したい」
- 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
- 国税庁「No.1500 雑所得」
- 国税庁「No.2020 確定申告」
- デジタル庁「よくある質問:マイナンバー制度について(総論)」Q1-6
- 日本年金機構「2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました」
- 日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」
- 厚生労働省「副業・兼業」
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(平成30年1月策定、令和4年7月改定)
- 厚生労働省「モデル就業規則」(令和7年12月版。第67条 懲戒の種類、第70条 副業・兼業と解説・裁判例)
- 厚生労働省 リーフレット「企業も労働者も安心して副業・兼業に取り組むために(労働者の皆さまへ)」
- 厚生労働省 確かめよう労働条件「副業・兼業と労働条件」
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第38条・第89条・第106条)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。