目次
NISAを始めようと決めた。でも「どこで口座を開けばいいの?」で手が止まる。調べると、おすすめの会社がずらりと並んでいて、どれも良さそうに見えますよね。じつは、比べる前に知っておきたいことがあります。銀行のNISA口座では、株は買えません。そして口座は1人1つです。読み終わるころには、自分に合う金融機関を選ぶ基準が5つ、手元にそろいます。
この記事でわかること
- NISA口座が「1人1つ」とは、どういうことか
- 銀行と証券会社で、買えるものはどうちがうか
- 手数料は、どこでかかって、どこでかからないか
- 選んだあとで、開く先を変えるときの期限と手続き
先に結論
- NISA口座は1人1つ。ただし、開く先は1年ごとに変えられる
- 銀行で買えるのは投資信託だけ。株や、成長投資枠の一部の投資信託は、証券会社でしか買えない
- つみたて投資枠の投資信託(ETFを除く)は、どこで買っても買うときの手数料はゼロ。差が出るのは、扱う商品と積み立ての設定
01NISA口座は1人1つ。でも、年ごとに変えられる
ひとことで開けるのは1か所だけ。ただ、一生その1か所に決まるわけではない。
まずはルールから。NISA口座は、どこで開いても合わせて1人1つだけ。銀行と証券会社の両方で、1つずつ開くことはできないんです。今のふつうのNISA口座を開けるのは、日本に住んでいて、その年の1月1日に18歳以上の人。0〜17歳には、2027年から別のしくみができます。
もうひとつ、2つの枠は同じ場所で使います。つみたて投資枠はA社、成長投資枠はB社、という分け方はできません。
1口座
1人が持てるNISA口座の数
1年
開く先を変えられる単位
いっぽうで、開く先は1年ごとに変えられます。最初の1か所で一生が決まるわけではないので、あまり気負わなくてOKです。ただ、変えるには期限と手続きがあります(06で説明します)。
気をつけて
2か所に申し込まないで
もし2つ目のNISA口座ができて、そこで買っていたら、買ったものはNISAではない、ふつうの口座に移されます。そうなると、利益に税金がかかります。迷っても、申し込むのは1か所だけにしましょう。
じゃあ、その1か所をどう選ぶ? いちばん大きなちがいは、銀行か、証券会社かです。
02銀行では、株は買えない
ひとことで銀行は投資信託だけ。株やETFも買いたいなら証券会社。
NISA口座は、銀行でも証券会社でも開けます。でも、買えるものがちがうんです。お金の教育をする公的な機関、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の資料では、こう分けています。
銀行など
いいところ
- 給料が入る口座と同じところで始められる
- お店の窓口で、顔を見て話を聞けることがある
気をつけること
- NISAで買えるのは投資信託だけ
- 株・ETF・REITは買えない
- 窓口は売る側なので、すすめられたものは説明書で確かめる
証券会社
いいところ
- 投資信託に加えて、株・ETF・REITも買える
- 成長投資枠で、いろいろなものが買える
気をつけること
- 銀行の口座から、お金を移す手間がかかることがある
- 選べるものが多く、はじめは迷いやすい
ETFは、株と同じように売り買いできる投資信託。REITは、ビルやマンションなどに投資する投資信託です。
J-FLECの資料にも、こうあります。成長投資枠の「上場株式や一部投資信託は、証券会社でNISA口座を開設した場合のみ購入可能」。金融庁の資料でも、株やETFを売り買いできる場所は「証券会社」とされています。
つまり、こういうことです。月1万円の積み立てだけなら、銀行でも証券会社でもできます。将来、1社の株を買ってみたいかもしれない。そう思うなら、最初から証券会社を選んでおくと、変える手間がかかりません。
メモ
株の配当を非課税にするには、受け取り方の設定がいる
これは、証券会社のNISA口座で株を買うときの話です。受け取り方を「株式数比例配分方式」にしておかないと、配当金は非課税になりません。証券会社の口座で受け取る方法です。銀行の口座で受け取る方法などでは、NISAで買った株でも、約20%(20.315%)の税金がかかります。
では、同じ投資信託なら、どこで買っても同じ?
03つみたて投資枠で買えるのは、国の基準に合う372本
ひとことで候補は国の基準に合う一覧から。その中のどれを扱うかが、開く先でちがう。
つみたて投資枠で買える投資信託は、金融庁の基準に合うものだけ。いくつあるかというと、こうです。
372本
金融庁の基準は、たとえばこんな内容です。どれも、長く積み立てる人が損をしにくいように、という考え方から来ています。
- 投資信託は、買うときの手数料(購入時手数料)がゼロ
- 投資信託は、解約の手数料と口座の管理料もゼロ
- 持っている間の費用(信託報酬)は、決められた上限まで
- ETFは売り買いの手数料がかかる(上限1.25%)
- 毎月お金を配るタイプではない。運用の期間は20年以上か、期限なし
ここで大事なのは、372本の全部が、どこでも買えるわけではないということ。投資信託は、その商品を扱う会社(販売会社)でしか買えません。どれを扱うかは、それぞれが決めています。
なので、買いたいものがもう決まっているなら、そこで扱っているかを先に見ておきましょう。説明書(目論見書)には、販売会社が書かれています。
ポイント
2026年4月から、対象の商品が少し広がりました
つみたて投資枠で買える商品の基準が、2026年4月1日に変わりました。対象の指数が2つ増えました。指数に連動しないタイプの投資信託は、条件が変わりました。「主に株式に投資するもの」に加えて、「主に公社債に投資するもの」も入れます。公社債は、国や会社にお金を貸す債券のことです。あわせて、決まった間隔で自動で売るサービス(定期売却サービス)に限り、手数料を取れるようになりました。くわしくはNISAの始め方の記事にまとめました。
もうひとつ、気になるのが手数料ですよね。
04手数料は、どこで差がつく?
ひとことでつみたて投資枠の投資信託なら、買うときの手数料はどこでもゼロ。持っている間の費用は、商品で決まる。
投資信託のお金は、3つのタイミングでかかります。買うとき、持っている間、売るときです。
投資信託にかかる3つの費用
買うとき:購入時手数料
買うときに、売った側に払う手数料です。つみたて投資枠の投資信託なら、どこで買ってもゼロ。ETFや、成長投資枠の投資信託では、かかるものもあります。
持っている間:信託報酬
持っている間、毎日少しずつ引かれる費用です。料金は商品ごとに決まっていて、説明書に書いてあります。NISAでもかかります。
売るとき:信託財産留保額
売るときに差し引かれて、その投資信託の中に残されるお金です。これも商品ごとに決まっています。
つみたて投資枠で投資信託だけを買うなら、買うときの手数料はかかりません。見てほしいのは、むしろ「選んだ商品の信託報酬」のほうです。
信託報酬は、持っているお金に対して1年で何%、という決まり方です。残高が100万円なら、率によってこれだけ変わります。
出典:WE POPの計算(100万円×率。残高は1年変わらないと仮定)。0.5%と0.75%は、つみたて投資枠の指定インデックス投資信託(金融庁が決めた指数に連動するもの)の法令上の上限。国内向け/内外・海外向け(金融庁「つみたて投資枠対象商品の概要について」2026年10月8日時点)。アクティブ型は別の上限、ETFは0.25%以下
あなたの金額でも計算できます。月1万円を5年積み立てると、元本は60万円。5年たって残高が60万円なら、年0.3%で1年に約1,800円です。積み立て中は残高がもっと少なく、運用で増えたり減ったりもするので、目安として見てください。
ちなみに、つみたて投資枠の指定インデックス投資信託の場合です。信託報酬の平均は、国内向けが0.27%、内外・海外向けが0.34%。金融庁が2026年10月8日時点でまとめた数字です。
気をつけて
株を買うときの手数料は、開く先ごとにちがう
成長投資枠で株やETFを売り買いするときの手数料は、それぞれの会社が決めています。ゼロのところもあれば、かかるところもあります。株も買う予定なら、申し込む前に手数料の表を見ておきましょう。
ことば販売会社は、どこでもうけている?
つみたて投資枠では買うときの手数料がゼロなのに、なぜ銀行や証券会社は売っているのか。J-FLECの資料によると、信託報酬は、運用会社や信託銀行に加えて、販売会社(売った側)も受け取ります。持っている間の費用の一部が、売った側に入るしくみです。
05自分に合うのは? 5つの質問で決める
ひとことで株も買う? 買いたいものはある? いくらから? どこから引き落とす? 窓口とネット、どっち?
金融庁の資料では、開く先を選ぶポイントとして「ラインナップ」「手数料」「利便性」を挙げています。積み立てなら、最低いくらから・どのくらいの間隔で買えるかも見てほしい、とも書いています。これを、上から順に答える形にしました。
上から順に答えていく
Q1 将来、株やETFも買いたい?
買いたい、または迷っているなら、証券会社にしぼります。投資信託の積み立てだけでいいなら、銀行も候補に残ります。
Q2 買いたい商品は、もう決まっている?
決まっているなら、それを扱っているところだけを候補にします。まだなら、つみたて投資枠の商品をどれくらい扱っているかを見ます。
Q3 毎月いくらから、どの間隔で積み立てたい?
いちばん少ない金額や、買う間隔(頻度)は、開く先によってちがいます。月3,000円のように少しから始めたいなら、その金額で積み立てられるかを見ます。
Q4 どこからお金を引き落としたい?
給料が入る口座から、自動で引き落とせるかを見ます。毎月お金を移す手間がないほど、続けやすくなります。
Q5 窓口で相談したい? スマホで済ませたい?
J-FLECの資料も、ちがう点として「対面かネットか」を挙げています。話しながら決めたいなら店舗のあるところ、自分で決められるならネットで完結するところ。
Q1からQ4までは、各社のサイトの「NISA」のページや、手数料の表に書いてあります。気になるところを2〜3か所だけ選んで、同じ項目を並べてみてください。
申し込む前に、当てはまるものをタップ
当てはまったのは 0 / 5個
06あとから変えるなら、「その年に1回も買う前」が条件
ひとことで届け出の期限は9月30日。届け出る前に、その年の分を今の口座で買っていたら、その年は変えられない。
使ってみて合わなかったら、開く先は変えられます。ただし条件があります。変更の届け出を出す前に、その年の分を今の口座で買っていると、その年の分は変えられません。
2027年の分から変えたい場合の流れ
- 2026年10月1日〜
今の口座のところに届け出る
「金融商品取引業者等変更届出書」を出すと、「勘定廃止通知書」がもらえます。2027年の分を変える届け出は、ここから出せます。年が明けてから出すなら、その前に今の口座で2027年の分を買っていないことが条件です。
- 届け出たら
積み立てを止める・切り替える
今の口座の積み立ては、止めるか、新しい先に切り替えます。今の口座でいつまで買えるかは、今のところに確かめてください。
- もらったら
新しい先に申し込む
もらった「勘定廃止通知書」を、申し込みの書類といっしょに出します。
- 2027年9月30日
2027年の分を変える期限
その年の分を変える届け出は、前の年の10月1日から、その年の9月30日まで。これを過ぎると、変えられるのは次の年からです。
気をつけて
前に買ったものは、前の口座に残る
開く先を変えても、それまでに買ったものは前のところに残ります。持ち続ければ非課税のままです。売った場合は、買ったときの金額(売った金額ではない)のぶん、生涯の枠が次の年から空きます。ただ、使えるのは変えたあとの口座だけ。1年に使える枠(年間投資枠)が増えるわけでもありません。
つまり、変えるたびに置き場所が増えていきます。何度も変えるより、最初に5つの質問で選んでおくほうが、あとが楽です。
メモ
2027年から、子どもも使えるように
2026年度の税制改正で、2027年1月から0〜17歳もつみたて投資枠を使えるようになります。枠は1年60万円、合わせて600万円まで。18歳になると、大人の枠に自動で移ります。お金を引き出せるのは、12歳以降に子どもが同意したときなどに限られます。金融庁のサイトによると、0〜17歳のNISA口座は開く先を変えられません。子どもの口座を開くときは、とくに慎重に選んでください。
07迷ったら、商品をすすめない無料の窓口へ
ひとことでJ-FLECの電話相談は、予約なし・名前を言わなくてもOK。
銀行や証券会社の窓口は、売る側でもあります。どこの味方でもない人に聞きたいなら、公的な無料の窓口があります。
- J-FLECの電話相談:NISAのしくみや、家計の疑問に答えてくれる。1回30分まで、予約はいらない。平日10〜17時(受付は16時半まで)
- J-FLECの無料体験の相談:会って話すか、オンラインで。1時間まで。予約がいる
- 金融庁の金融サービス利用者相談室:お金のサービスで困ったときの窓口。平日10〜17時
J-FLECの相談では、個別の商品やサービスの提案・すすめはできない、と書かれています。「どこがいい?」の答えはもらえません。そのかわり、自分の条件で何を比べればいいかを、一緒に考えてもらえます。
お金の相談先のちがいや、話す前の準備は、無料のお金の相談の記事にまとめています。
08よくある質問
Q前に「つみたてNISA」の口座を作ったかも。新しく作れる?
A2023年に一般NISAかつみたてNISAの枠があった人は、もう今のNISA口座があります。2024年1月に、同じ口座に枠が自動で設定されているからです(一部例外あり)。別のところで使いたいなら、06の変える手続きをします。どこで作ったか忘れたときは、税務署に相談すると確かめられます。
Q引っ越しや結婚で、名前や住所が変わったら?
ANISA口座を開いているところに「非課税口座異動届出書」を出します。本人確認書類もいります。開く先を変えたことがあるなら、前のところにも全部出します。
Qランキングで1位の会社を選べばいい?
Aランキングは、作った人の基準で並んでいます。あなたに合うかは別の話です。この記事では、会社の名前はあえて出していません。05の5つの質問に、自分で答えてから比べるのがおすすめです。
Q口座を開いたら、すぐに買わないといけない?
Aいいえ。口座を開くだけなら、お金はかかりません。積み立てを始める月は、自分で決められます。月いくらにするかは、NISAの始め方の記事で計算できます。
今日の最初の一歩
候補を2か所選んで、「最低いくらから積み立てられるか」をメモする
気になる銀行や証券会社のサイトで、NISAのページを開いてみてください。見るのは、積み立ての最低金額と、給料の口座から引き落とせるかの2つだけ。スマホのメモに並べて書けば、5分で比べられます。
2026.10.15 公開 文・WE POP編集部
参考にした情報
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAとは?」(1人1口座、年単位の金融機関の変更、2027年からの未成年の利用)
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「よくある質問」(金融機関の変更の手続きと期限、2つの枠は同じ金融機関で)
- 国税庁「NISA口座の新規開設又は変更に関する手続等について」
- 国税庁「新NISAのあらまし(令和5年11月)」(2023年までのNISA口座からの自動設定)
- 金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(二重口座の扱い、変更後の枠の再利用、つみたて投資枠の対象商品の要件・ETFの手数料、株・ETFを売買できる場所、配当金の受け取り方、金融機関の選び方)
- 金融庁「つみたて投資枠対象商品」
- 金融庁「『非課税口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に関する基準』の一部改正について」(令和8年4月1日から適用。指数の追加、対象商品の要件、定期売却サービスの手数料)
- 金融庁「つみたて投資枠対象商品の概要について」(2026年10月8日時点。対象372本、信託報酬率の分布)
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)講義資料「少額投資非課税制度 NISA」(2026年5月。銀行と証券会社の取扱商品、投資信託の費用、配当金の受け取り方)
- 金融庁「令和8(2026)年度税制改正について -税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-」(2025年12月)
- 財務省「NISAのつみたて投資枠の拡充(令和8年度改正)」
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「専門家に相談したい」(電話相談・無料体験)
- 金融庁「金融サービス利用者相談室」
- 国税庁 タックスアンサー「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」(税率20.315%)
制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。