転職

目次
  1. 「ホワイト企業」は、法律の言葉じゃない
  2. 国のマークは3つ。見ているところがちがう
  3. マークは「そのときの、会社全体の」合格のしるし
  4. 離職率は、業界の平均と並べて読む
  5. 有給は平均で12.1日。残業は、法律の線と比べる
  6. 数字は、国のサイト「しょくばらぼ」で見られる
  7. 数字を、自分で読んで判定してみよう
  8. 数字が出ていないなら、面接で聞いていい?
  9. よくある質問

求人サイトを見ていると、「ホワイト企業」「働きやすい職場」という言葉がたくさん出てきます。でも、何を見てそう言っているのかは、あまり書いていないですよね。じつは「ホワイト企業」には、国の決まった定義がありません。そのかわりに、国が線を決めたマークと、会社が出す数があります。読み終わるころには、気になる会社の数を、自分の目で読めるようになります。

この記事でわかること

  • 国の認定マーク(ユースエール・くるみん・えるぼし)の、それぞれの合格の線
  • 離職率・残業・有給の数字は、どこで見られるか
  • 業界の平均と比べて、その数字が高いか低いか
  • マークや数字だけでは、わからないこと

先に結論

  • 「ホワイト企業」は法律の言葉ではない。見るのは国のマークと会社が出す数
  • ユースエールの主な線は4つ。ここ3年度の新卒で辞めた人が20%以下。残業は月の平均で20時間以下(月60時間以上の正社員はいない)。有給は平均10日以上(または70%以上)。それと育休
  • 数はしょくばらぼ(国のサイト)とハローワークの求人票で見られる。業界の平均と並べて読む

メモ

時間がない人へ

07の「数字を自分で判定するチェック」だけでも、やってみてください。気になる会社のページを横に開いて、タップするだけです。

01「ホワイト企業」は、法律の言葉じゃない

ひとことであるのは、国が線を決めた「働きやすさの手がかり」。

「ホワイト企業」に、決まった意味はありません。言う人によって、残業が少ない会社のことだったり、給料が高い会社のことだったりします。

そこでこの記事では、国の決めた線で確かめられる手がかりだけを使います。手がかりは、大きく分けて3つです。

  • 国のマーク:国が決めた線を、会社が超えたしるし
  • 会社が出す数:辞めた人の割合、残業の平均、有給を取った日数など
  • 求人票:残業や有給のところに、何が書いてあるか

どれも、会社の「いい・悪い」を決めるものではありません。でも、なんとなくのうわさよりは、ずっと確かな材料になります。じゃあ、マークにはどんな線があるの?

02国のマークは3つ。見ているところがちがう

ひとことで若手を育てるならユースエール、子育てはくるみん、女性のはたらきやすさはえるぼし。

どれも、国(厚生労働大臣)がくれるマークです。名前は似ていますが、見ているところがちがいます。

ユースエール:若手を育てる中小企業

若い人の仕事についての法律(若者雇用促進法)で決まったマークです。働く人が300人以下の会社だけが、もらえます。次の線を、すべて超えることが条件です。

  • 新卒などで入った正社員のうち、辞めた人が、ここ3年で20%以下
  • 正社員の残業(会社で決めた時間より多いぶん)が、前の年度の平均で月20時間以下。法律の時間を超えた残業が、月にならして60時間以上の人は1人もいない
  • 有給を、もらえた日数の平均で70%以上取っている。または、取った日数が平均で年10日以上
  • ここ3年で、育休を取った男性が1人以上いる。または、女性の75%以上が育休を取った

ほかにも、人を育てる計画があること、辞めた人の数や残業などを外に出していること、なども条件です。

くるみん:子育てと仕事の両立

子育てしながら働けるかを見るマークで、会社の大きさは関係ありません。2025年4月から線が上がりました。今の線は、次のとおりです。

  • 育休を取った男性の割合が30%以上(会社にある子育ての休みとあわせるなら50%以上)
  • フルタイムで働く人の、法律の時間を超えた残業と休みの日の出勤。この平均がどの月も30時間より少ない(25〜39歳の人だけで、どの月も45時間より少ない、でもよい)
  • 法律の時間を超えた残業が、月にならして60時間以上の人がいない

くるみんの下には「トライくるみん」があります。男性の育休は、10%以上が線です。上の「プラチナくるみん」は、50%以上です。トライくるみんは、2022年4月に線を上げたときにできました。

ポイント

新しい線で取ったかは、マークでわかる

2025年4月からの新しい線で取ったマークには、認定の年のあとに「(2025年度基準)」と書かれます。ただ、2027年3月31日までは、前の線で申し込むこともできます。

えるぼし:女性が活躍しやすいか

女性の活躍についての法律(女性活躍推進法)のマークです。見るのは5つ。採用のしかた、長く働き続けられるか、働く時間、管理職に女性がどれくらいいるか、いろいろなキャリアの道があるか、です。

  • 5つ全部に届くと3段階目、3つか4つで2段階目、1つか2つで1段階目
  • 働く時間の線は、法律の時間を超えた残業と休みの日の出勤の平均が、どの月も45時間より少ない
  • 上には「プラチナえるぼし」がある。2026年4月からは、女性の体のことも考えた会社に「プラス」がつく

マークがあれば、その線は超えています。じゃあ、マークがあれば安心していいの?

03マークは「そのときの、会社全体の」合格のしるし

ひとことでいつの数字か、どの部署の数字か、までは教えてくれない。

マークは、国の線を超えたしるしです。でも、マークがあれば、どの部署も全部安心、とまでは言えません。知っておきたいことを、わかることとわからないことに分けてみます。

マークでわかること・わからないこと

わかること

いいところ

  • 国が決めた線を、あるときに超えていた
  • 外に数を出す気がある(出すことが条件のマークもある)
  • ユースエールなら、毎年度、線を超え続けているか、確認を受けている

気をつけること

  • 線は「最低ライン」なので、マークどうしの上下はつけにくい

わからないこと

いいところ

  • マークがなくても、中身がいい会社はある(申し込んでいないだけのことも)

気をつけること

  • ふつうは会社全体の平均。部署ごとの差は見えない
  • 残業や有給の平均は、管理職を入れずに出していることがある
  • マークをもらったあとで、職場のようすが変わっていることもある

マークは「入り口のふるい」です。最後は、自分が入る部署の話を、面接で聞いて確かめます。

ユースエールのマークには「〇〇年度認定」と書かれています。マークをもらった年度が、ここでわかります。では、マークがない会社は、何で見ればいい?

04離職率は、業界の平均と並べて読む

ひとことで1年間に辞めた人の割合は11.4%(パートをのぞく)。業界で2倍以上ちがう。

離職率は、ある期間に辞めた人の割合です。でも「12%」と言われても、それが高いのか低いのか、ぱっとはわからないですよね。そこで、国の調べと並べてみます。

業界ごとの、1年間に辞めた人の割合(パートをのぞく)
ホテル・飲食21.5%
生活関連・娯楽16.1%
医療・福祉13.6%
全体11.4%
IT・通信10.0%
製造業9.2%
卸売・小売8.5%
建設業7.9%
金融・保険6.3%

出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査」一般労働者の産業別離職率(2025年)

いちばん高いホテル・飲食は21.5%、金融・保険は6.3%。業界で、こんなに差があるんです。だから、ちがう業界の会社どうしを比べても、あまり意味がありません。気になる会社の数字は、その業界の数字と並べてみてください。この数には、定年や契約の終わりで辞めた人も入っています。パートも入れた全体では13.7%です。

新卒で入った人が3年で辞める割合は、もっと高くなります(数え方がちがうので、1年間の割合とそのままは比べられません)。2022年3月に大学を出た人では、33.8%でした(2025年10月に出た、いちばん新しい数です)。

大学を出て3年以内に辞めた人(多い業界)
ホテル・飲食55.4%
生活関連・娯楽54.7%
教育・学習支援44.2%
医療・福祉40.8%
小売業40.4%
大卒全体33.8%

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」

ポイント

求人票の人数から、自分で計算できる

新卒向けの求人票には、ここ3年でとった人と辞めた人の数が、載っていることがあります。辞めた人数÷とった人数で、だいたいの割合が出ます。たとえば10人採って2人辞めたら20%。4人採って1人なら25%、30人採って12人なら40%です。採った人数が少ないと、1人で大きく動きます。人数もいっしょに見てください。

辞める人が多いかどうかは、残業の多さや、休みの取りやすさともつながっています。次は、その2つを見てみましょう。

05有給は平均で12.1日。残業は、法律の線と比べる

ひとことで有給は「取った日」を見よう。残業は、原則の上の線が月45時間。

国の調べでは、2024年の1年間に会社が出した有給は1人平均18.1日。そのうち実際に取ったのは12.1日でした。調べたのは、30人以上が働く会社です。

18.1日

1年にもらえた有給(1人の平均)

12.1日

そのうち取った日数(1人の平均)

66.9%

取った割合(取った日数÷もらえた日数)

出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(2024年の実績)

業界でいちばん高いのは電気・ガス・水道などの75.2%、いちばん低いのはホテル・飲食の50.7%です。ユースエールの線(平均10日以上、または70%以上)も、比べる目安になります。

残業には、法律で上の線が決まっています。会社が残業をさせるには、働く人の代表と「36(さぶろく)協定」という約束を結びます。それでも、残業できるのは原則月45時間・年360時間まで。1年ごとに時間をやりくりする会社(変形労働時間制)なら、月42時間・年320時間までです。

ことば36協定の特別条項

忙しい時期だけ、月45時間を超えて残業できるようにする約束。ハローワークの求人票では「36協定における特別条項」の欄に「あり」「なし」が書かれます。「あり」なら、どんなときに何時間までかも書く決まりです。

ハローワークの求人票の「月平均」の残業は、30時間以内(1年単位の変形労働時間制なら27時間以内)で書く決まりです。上の線が決まっているので、30時間を超える数は書けません。あわせて「特別条項」に書かれたことと、次の章で見る、本当にあった残業の数も見ておきましょう。有給のルールそのものは有給休暇の記事で書いています。

06数字は、国のサイト「しょくばらぼ」で見られる

ひとことで会社名で探して、2〜3社を並べて比べる。登録はいらない。

「しょくばらぼ」は、国(厚生労働省)がつくった、職場のようすを見られるサイトです。2026年10月1日の時点で、15万社あまりが載っています。若者の採用、女性の活躍、子育てとの両立について、会社が国のほかのサイトに出した数字も、ここにまとめて載ります。

しょくばらぼで、気になる会社を見る

  1. 「しょくばらぼ」で検索して、職場情報検索を開く

    スマホからでも開けます。登録すると、気になる会社を保存できます。

  2. 会社名で探す。決まっていなければ条件でしぼる

    業種や本社のある場所、会社の大きさ、マークなどでしぼれます。有給を取った日数や、残業の平均からも探せます。

  3. 会社のページの「最終更新日」を見る

    会社のページの中に書いてあります。古いようなら、面接で「今はどうですか」と聞いてみる材料にします。

  4. 4つの数をメモする

    平均で何年働いているか、月の残業の平均、有給を取った日数。何も書いていないところも、メモしておきます。

  5. 2〜3社を並べて比べる

    スマホなら、まず「気になる」を押します。そのあと「気になる企業を比較」を押すと、1社ずつ、横にめくって見られます。

  6. ハローワークの求人にも移れる

    その会社がハローワークに求人を出していれば、会社のページから求人を開けることがあります。

ハローワークの求人票では、ここを見る

  • 時間外:「あり」なら、月の平均で何時間か。それと「36協定における特別条項」のところに何が書いてあるか
  • 有給休暇:「6か月経過後」の日数は、もらえる日数のことです。みんなが取った日数ではない
  • 新卒向けの求人の下のほう:ここ3年でとった人と辞めた人の数や、平均で何年働いているか。前の年度の残業の平均や、有給を取った日数の平均も

求人票の給与の欄の見方は、求人票の「給与」の記事にまとめています。

07数字を、自分で読んで判定してみよう

ひとことで応募の枠で、見られる数字が変わる。そのうえでチェック。

新卒の枠で応募するか、中途の枠で応募するかで、会社に出してもらえる数字が変わります。まず、自分がどちらかを見てください。

あなたはどっち?

新卒の枠で応募する(卒業して3年以内でもOKの求人など)

いいところ

  • 応募する人や、応募を考えている人が求めたら、会社は職場の数を出す決まり(若者雇用促進法)
  • 「採用のようす」「育てるしくみ」「働きやすさ」の3つから、それぞれ1つ以上は出てくる

気をつけること

  • どれを出すかは会社が選べる。全部出てくるとは限らない
  • 会社全体の正社員の数。部署ごとではない

中途の枠で応募する

いいところ

  • しょくばらぼや、会社のホームページに出ている数を見られる(これは新卒の枠でも同じ)
  • 面接で、入る予定の部署の残業や有給を聞ける

気をつけること

  • 新卒の枠のような「求めたら出す」決まりはない
  • 残業や有給の数を出していない会社もある。そのときは面接で聞く

メモ

男女の給料の差は、これから見られる会社が増える

女性活躍推進法で、会社ごとに数を出す決まりがあります。応募の枠には関係ありません。男女の給料の差は、301人以上の会社では2022年7月から出す決まりです。2026年4月からは、101〜300人の会社も加わりました。管理職の女性の割合も、101人以上の会社で出す決まりになりました。新しく加わったのは、管理職の女性の割合と、101〜300人の会社の給料の差です。これらは、法律が変わったあとに終わる年度の数を出します。次の年度が始まって、だいたい3か月以内に出します。なので、まだ出ていない会社も多いです。

たとえば、こんな数が出ていたら

  • ここ3年で、とった人12人・辞めた人5人 → 5÷12で、約42%。大卒全体の33.8%より、だいぶ高め
  • 月の残業の平均が18時間 → ユースエールの線(20時間以下)の内側
  • 有給を取った日数の平均が8日 → 国の平均の12.1日より少なめ

この会社なら、面接で聞くのは「辞める人が多いわけ」と「有給の取りやすさ」の2つ。こうして読むと、数がそのまま、聞くことのメモになります。では、あなたの気になる会社はどうですか?

気になる会社で、当てはまるものをタップ

当てはまったのは 0 / 7個

メモ

数字が「ない」のも、ひとつの情報

数を出すかどうかには、会社の考え方があらわれます。ただ、小さな会社は手が回っていないだけのこともあります。出ていないところは、面接で聞けば十分です。

08数字が出ていないなら、面接で聞いていい?

ひとことで聞いていい。「何時間くらい?」と数字で聞けば、角が立ちにくい。

残業や有給のことを聞くと、やる気がないと思われそう。そう感じる人は多いですよね。でも新卒の枠には、国の指針(国が会社に向けて出したルール)があります。残業や有給などの職場情報を求めたことを理由に、不利に扱わないよう求めています。中途の枠でも、働き方を聞くのはふつうのことです。

  • 「入る予定の部署では、月の残業はどれくらいですか」
  • 「去年、有給はみなさん何日くらい取っていますか」
  • 「同じ部署で、ここ数年に入った人は今も働いていますか」

「会社全体」ではなく「入る予定の部署」で聞くのがポイントです。マークや平均では見えなかったところが、ここでわかります。

09よくある質問

Q大きな会社なら、マークがなくても安心?

A大きさだけでは決められません。2022年3月に大学を出た人では、1,000人以上の会社でも3年以内に27.0%が辞めています。第二新卒の記事でも、会社の大きさ別の数字を書いています。

Qマークのある会社に入ったのに、残業が多いときは?

Aマークは会社全体の平均なので、部署によってはずれることがあります。まずは記録をつけておきましょう。残業代が払われない、求人とちがう。そんなときは、労働局や労働基準監督署にある「総合労働相談コーナー」に、無料で相談できます。

Q求人票の「月平均10時間」は信じていい?

A求人票は、結んでいる36協定の範囲で書く決まりです。ただ、時期によって残業の多い月と少ない月があります。「忙しい時期は何時間くらいですか」と聞くと、平均だけではわからない山がわかります。

Qえるぼしは、男性には関係ない?

A関係あります。えるぼしの5つの中には「労働時間などの働き方」があり、残業の線は男女を分けずに見ます。くるみんも、男性の育休の取りやすさを見ています。

今日の最初の一歩

気になる会社を1つ、しょくばらぼで開いてみる

会社名を入れて、残業の平均と有給を取った日数の2つだけメモしてください。業界の平均(有給なら12.1日)と並べると、それだけで見え方が変わります。5分で終わります。

2026.10.14 公開 文・WE POP編集部

参考にした情報

制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。

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