目次
「来週の金曜、休んでもいいですか…」。上司の顔色を見ながら切り出して、理由を聞かれたらどうしようと、前の晩から考えてしまう。そんな人に向けて書きました。有給は、上司に気をつかって「お願い」するものではありません。読み終わるころには、自分が何日休めて、どう伝えればいいかがわかります。
この記事でわかること
- 有給は何年目に、何日もらえるのか
- 休む理由は、会社に言わないといけないのか
- 忙しい時期に「ダメ」と言われたら、どうするか
- 有給が消えるタイミングと、上手な取り方
先に結論
- 有給は入社6か月で10日。出勤が8割以上なら毎年増えて、最大20日
- 休む日も使い道も自分で決めていい。「忙しいから」だけでは、会社は日を変えられない
- 10日以上もらう人に年5日を取らせるのは会社の義務。有給は2年で消える
01有給って、何日もらえるの?
ひとことで入社6か月で10日。そこから毎年増えて、最大20日。
ことば年次有給休暇
休んでも、お給料が出る休みのこと。ふつうは「有給」「有休」と呼ばれます。法律(労働基準法)で決まっている、働く人の権利です。
もらえる条件は2つだけ。入社してから6か月、続けて働いていること。そして、出勤する日として決まっている日の8割以上、出勤していること。この2つを満たせば、10日もらえます。
出典:労働基準法 第39条、厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか」。週30時間以上、または週5日以上働く人の場合
そのあとも1年ごとに、出勤が8割以上なら増えていきます。入社3年目(2年6か月)なら12日です。入社と同時にもらえる会社や、全員の有給が増える日を4月1日などにそろえている会社もあります。
ポイント
有給で休んだ日は「出勤した日」
8割を数えるとき、有給で休んだ日は出勤した日として数えます。仕事でのけがや病気で休んだ期間や、育休・産休なども同じです。
02休む理由、言わないとダメ?
ひとことで何に使うかは自由。理由しだいで断られることはない。
まず知っておきたいのは、休む日を決めるのは働く人のほう、ということ。国のリーフレットにも、有給を取る日は「労働者が指定することによって決まり」とあります。
会社の許可をもらって休む、というしくみではないんです。働く人が休む日を決めて伝えることを、「時季指定(じきしてい)」といいます。
では、理由は? 厚生労働省は「年次有給休暇をどのような目的でとるのかは、労働者の自由」と説明しています。会社は、休む目的によって有給を断れません。
申請用紙に理由の欄がある会社もありますよね。愛知労働局の資料には、くわしい理由が書かれていないことを理由に、休みを認めないことはできない、とあります。WE POPのおすすめは「私用のため」と短く書くこと。旅行でも、家でのんびりするのでも、使い道として同じです。
ポイント
有給を取った人の評価を下げるのはNG
有給を取った人に、お給料を減らすなどの損になる扱いをしないよう、法律は会社に求めています。ボーナスの評価をマイナスにするのも、これに当たると国は説明しています。
03「忙しいからダメ」と言われたら?
ひとことで「忙しいから」だけでは、会社は休む日を変えられない。
会社にできるのは、休む日を「別の日にしてほしい」と変えてもらうことだけ。それも、使える場面は限られています。
ことば時季変更権
働く人が決めた日に休まれると、事業の正常な運営をさまたげるとき、会社が休みを別の日に変えられる権利のこと。「じきへんこうけん」と読みます。
当たるかどうかは、仕事の中身や、代わりの人を用意できるかなどから、具体的に判断されます。国のリーフレットでは、同じ日に多くの人がいっせいに休みを指定した場合が、例に挙がっています。
そして、こうもはっきり書かれています。「単に『業務多忙だから』という理由では、時季変更権は認められません」。つまり、「今月は忙しいから」と言われただけで、あきらめなくていいんです。
メモ
日を変えても、有給は消えない
変えてもらうのは、休みを取り消すこととはちがいます。労働局の資料には、その理由がなくなったら、すみやかに休ませなければならない、とあります。辞める前の有給を、辞める日より後ろへ動かすこともできません。
話し合っても、取らせてもらえない。「うちの会社に有給はない」と言われた。そんなときも、あきらめなくて大丈夫です。条件を満たせば有給は必ずもらえる、と国も説明しています。相談先は、この3つです。
- 総合労働相談コーナー:全国378か所にある国の窓口。予約なし・無料で、平日に会って話すか、電話で相談できます
- 労働基準監督署:会社が法律を守っているかを見る国の役所です。違反がありそうなら、会社を指導できます
- 労働条件相談ほっとライン(0120-811-610):平日は17〜22時、土日・祝日は9〜21時。無料で、名前を言わずに電話で相談できます
04「年5日」は、だれの義務?
ひとことで会社の義務。10日以上もらう人に、1年で5日を取らせないといけない。
2019年4月から、法律が変わりました。有給を10日以上もらう人には、1年のうちに5日を取らせることが、会社の義務になったんです。
- だれに:その年にもらう有給が10日以上の人(持ち越した分は数えない)。パートの人や管理職も入ります
- いつまでに:有給をもらった日から、1年以内に5日
- 数え方:自分で決めて休んだ日や、半日で休んだ分も数える。時間で区切って休んだ分は数えない
- 守らないと:会社に30万円以下の罰金
18.1日
1人が1年にもらった有給(平均)
12.1日
そのうち使った日数(平均)
66.9%
もらった有給のうち、使った割合
使った日数は1984年以降でいちばん多く、割合もいちばん高くなりました。それでも、もらった有給の3分の1くらいは、使われずに残っている計算です。
出典:厚生労働省「就労条件総合調査」(平成31年〜令和7年)。調査した年の前の年1年間の数字
2019年ごろから、上がり方が大きくなっていますね(2019年の数字には、義務が始まる前の期間も入っています)。国は2028年までに70%にする目標を立てていて、毎年10月には「有給を取ろう」と呼びかけています。
ポイント
5日は「最低ライン」
国の解説パンフレットにも、年5日は「あくまで最低限の基準」とあります。つまり、もらった日数は全部使っていいんです。
05有給は、いつ消える? 辞めるときは?
ひとことでもらってから2年で消える。辞めたあとは使えない。
有給には期限があります。もらった日から2年たつと、時効で消えてしまうんです。使いきれなかった分は次の1年に持ち越せますが、その次の年にはなくなります。
4月1日に入社した人の場合
- 入社
4月1日に入社する
最初の6か月は、まだ有給がありません。
- 6か月後
10月1日に10日もらう
ここから1年のうちに5日を取らせるのが、会社の義務。この10日は、2年のあいだ使えます。
- 1年6か月後
11日もらう
去年の残りも、まだ使えます。たとえば4日残っていたら、合わせて15日です。
- 2年6か月後
12日もらう
最初にもらった10日の残りは、ここで時効になって消えます。
辞めるときは、残った有給をまとめて使えます。大阪労働局のQ&Aにも、辞める直前でも取れて、会社は辞める日より後ろには変えられない、とあります。
気をつけて
残った有給は、辞めた日に消える
有給は「働く日を休みにする」ものなので、辞めたあとは使えません。ふだんの有給をお金で買い取ることは原則できない、と労働局は説明しています。辞めて消える分を会社が買い取るのは、違法ではありませんが、会社の義務でもありません。辞める日が決まったら、残りの日数から逆に数えて、最後の出社日を決めましょう。順番は辞める前に済ませることにまとめています。
06半日や1時間だけでも、休める?
ひとことで半日は、会社が認めればOK。時間で区切るのは、労使協定がある会社だけ。
有給は、1日単位で休むのが基本です。でも、午前中だけ病院に行きたい日や、夕方に役所へ寄りたい日もありますよね。会社のしくみによっては、もっと細かく使えます。
半日単位
いいところ
- 午前だけ・午後だけ休める
- 年5日の義務にも数えられる
気をつけること
- あなたが希望して、会社がOKしたときだけ
- 使えるかどうかは会社しだい
時間単位
いいところ
- 1時間など、時間で区切って休める
- 病院や役所など、ちょっとした用事に向いている
気をつけること
- 労使協定がある会社だけ
- 1年で5日分まで
- 年5日の義務には数えない
1日休みたいと言ったのに、時間単位で取るよう会社が押しつけることはできません。
労使協定は、会社と働く人の代表が交わす、書面の約束のこと。あるかどうかは、人事の担当に聞けばわかります。
07自分の有給、確かめてみよう
ひとことでまずは、残りの日数と消える日を知ることから。
当てはまるものをタップしてみてください
当てはまったのは 0 / 6個
有給を上手に取る5ステップ
残りの日数と、消える日をメモする
チェックでわかったことを、スマホのメモに。いちばん古い分がいつ消えるかも、いっしょに書いておきます。
休みたい日を、先にカレンダーに入れる
土日や祝日にくっつけると、少ない日数で長く休めます。金曜に1日取れば、3連休です。
いつまでに伝えるか、会社のルールを見る
就業規則(会社の働き方のルールをまとめたもの)に、「◯日前までに」と決めてある会社もあります。決まりがあれば、それに合わせましょう。
「◯月◯日に休みます」と、早めに短く伝える
国のリーフレットにも、この言い方がのっています。伝え方に迷ったら、報連相の記事も参考にしてください。
休む前に、引き継ぎメモを残す
やりかけの仕事と、急ぎのときの連絡先を1枚に。まわりも困らず、あなたも気持ちよく休めます。
08よくある質問
Qパートやアルバイトでも、有給はもらえる?
Aもらえます。週30時間以上か、週5日以上働く人は、正社員と同じ日数です。それより少ない人も、働く日数に合わせてもらえます(比例付与といいます)。たとえば週3日なら、6か月で5日。もらう日数が10日以上になれば、年5日の義務の対象にもなります。
Q会社から「この日に有給を使って」と言われた。これってあり?
Aありえます。ひとつは、年5日の義務を果たすための指定(自分ですでに5日以上取っている人には、会社は日を指定できません)。このとき会社は、先にあなたの希望を聞いて、できるだけそれに沿うよう努めることになっています。もうひとつは、労使協定で休む日を前もって決める「計画年休」。この場合も、自分で自由に使える分が5日は残ります。
Q有給の日に、会社から呼び出されたら?
A宮崎労働局のQ&Aでは、有給をいったん与えたら、その日に呼び出せないのが原則と説明しています。あなたが同意して出勤したときは、その日の有給を取り消して、あらためて与えるべき、とも書かれています。
Q転職したら、残っている有給は次の会社に持っていける?
Aふつうの転職なら、持っていけません。有給は、その会社に入った日から数えるしくみだからです。次の会社では、また入社6か月で10日から(もっと早くもらえる会社もあります)。辞める前に使い切るのが、WE POPのおすすめです。
今日の最初の一歩
勤怠システムか給与明細で、有給の残りを見てみる
見つけたら、スマホのメモに「残り◯日・いちばん古い分は◯月に消える」と書くだけ。見つからなければ、人事に「有給の残りと、次に増える日を教えてください」とチャットを1通。5分で終わります。
2026.10.03 公開 文・WE POP編集部
参考にした情報
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第39条・第115条・第120条・附則第136条)
- 厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有休があると聞きましたが、本当ですか。」(労働基準法に関するQ&A)
- 厚生労働省 確かめよう労働条件「年次有給休暇をとる条件は?パート労働者でももらえますか?」
- 厚生労働省 確かめよう労働条件「年次有給休暇をとると査定でマイナス評価にされるのは、問題でしょうか?」
- 厚生労働省 確かめよう労働条件「年次有給休暇を時間単位でとるには、どうすればよいのでしょうか?」
- 厚生労働省 確かめよう労働条件「使用者に年休5日付与義務が課せられました。留意点は?」
- 厚生労働省 確かめよう労働条件「年次有給休暇権の時効は?有給はいつまで権利行使が可能でしょうか?」
- 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 リーフレット「『年次有給休暇』の付与日数は、法律で決まっています」
- 厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」
- 愛知労働局「年次有給休暇のポイント」(年次有給休暇Q&A 問1を含む)
- 大阪労働局「年次有給休暇(年休・有休)について」
- 和歌山労働局「主な相談内容(事業主の方へ)」退職間際の年休・年休の買い上げ
- 宮崎労働局「年次有給休暇関係」Q&A
- 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」
- 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査の概況」(第5表・第2図 年次有給休暇の取得状況と取得率の推移)
- 厚生労働省「10月は『年次有給休暇取得促進期間』です」(令和7年9月30日)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
- 厚生労働省「労働条件相談『ほっとライン』」
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