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寝る前に転職サイトをながめていたら、「月給25万円」の求人が目に入った。今より高い。でも、その25万円の中に何が入っているか、見ていますか? 同じ「月給25万円」でも、中身がちがえば、もらえるお金も働き方も変わります。読み終わるころには、求人のお金の欄を、どこから見ればいいかがわかります。
この記事でわかること
- 「月給」の中に、何が入っているか
- みなし残業(固定残業代)の、正しい書き方
- ボーナスや昇給の「去年の実績」の読み方
- 休みの日数と、お試しの期間で見ておきたいところ
先に結論
- 月給は基本給・手当・みなし残業に分けて見る。合計だけで比べない
- みなし残業があるなら、基本給/何時間ぶんでいくら/超えたら追加で払うの3つが書いてあるはず
- ボーナスと昇給は、ハローワークの求人なら去年の実績。1年の休みの平均は1社あたり112.4日(30人以上の会社)
01「月給25万円」の中身、分けて見てる?
ひとことで月給は合計の額。基本給は、もっと少ないことがある。
求人の「月給」には、基本給のほかに、手当やみなし残業が入っていることがあります。ハローワークの求人票なら、この3つを足した額が「計」の欄に出ます。通勤手当は、別の欄です。
たとえば、こんな求人があったとします。見た目は「月給25万円」。でも、中身を分けてみると、こうなっていました。
出典:WE POPが作った例です(実在の求人ではありません)
基本給は19.5万円。4万円は、残業する前提で、先に払われるお金です。求人には「26時間ぶん」と書いてありました。つまり、残業26時間ぶんが、はじめから入った25万円なんです。
ポイント
何時間ぶんかは、計算で確かめられる
まず、1時間あたりの額を出します。基本給と手当の21万円を、1か月に働く決まりの時間で割ります。1日8時間・1年の休み105日なら、平均で約173時間。21万円÷173時間で、約1,210円です。残業代はその1.25倍以上なので、1時間で約1,510円。4万円÷1,510円で、約26時間ぶんになります。書いてある時間がこれよりずっと長いなら、計算が合っているか、確かめたいところです。
同じ「月給25万円」でも、中身がちがう
A社:基本給が25万円
いいところ
- 残業したら、1時間目から残業代が上乗せされる
- 基本給をもとに決まるお金が、大きくなりやすい
気をつけること
- 残業代がつくぶん、月によってお給料が変わる
B社:基本給19.5万円+手当
いいところ
- 残業が少ない月でも、みなし残業の4万円は減らない
気をつけること
- 26時間までは、残業しても25万円のまま
- 基本給をもとに決まるお金は、A社より小さくなりやすい
残業がない月は、どちらも25万円。残業した月は、A社のほうが多くなります。B社のほうが多い月はありません。
出典:WE POPの計算例(1日8時間・1年の休み105日、残業代は1.25倍で計算。税金などを引く前の額)
残業20時間の月なら、約3.6万円の差です。みなし残業のある求人は、基本給と手当の額(B社なら21万円)で、ほかの求人と比べるのがおすすめです。
02みなし残業、3つそろってる?
ひとことで基本給・何時間ぶんでいくら・超えたら追加。この3つを探す。
ことば固定残業代
残業をしてもしなくても、決まった時間ぶんを、決まった額で先に払うお金のこと。「みなし残業」や「〇〇手当」など、名前がちがっても同じものとして見ます。似た名前の「みなし労働時間制」は、別のしくみです(くわしくはよくある質問で)。
みなし残業がある求人には、書くことが決まっています。国の指針(会社が守るように国が出しているルール)に、次の3つを全部書くように、とあります。
- みなし残業をのぞいた基本給の額
- 何時間ぶんで、いくらか
- その時間を超えたら、そのぶんは追加で払うこと(休みの日や夜おそくの分も)
国のチラシにある書き方の例は、こんな形です。「基本給〇〇円」「〇〇手当(〇時間ぶんとして〇〇円)」「〇時間を超えたら追加で払う」。この形に近いかを見てみてください。
気をつけて
「月給25万円(固定残業代を含む)」だけなら、聞いてみる
これだけだと、基本給がいくらか、何時間ぶんなのかがわかりません。ここは、もめやすいところです。ハローワークに届いた「求人とちがう」という声で、いちばん多いのはお金のことでした(2024年度、929件)。応募の前か面接で、「基本給と、何時間ぶんかを教えてください」と聞いてかまいません。
もうひとつ見たいのが、何時間ぶんかです。法律では、残業の上限は、ふつうは月45時間まで(特別な事情があるときの例外もあります)。みなし残業が45時間ぶんに近いなら、そのくらいの残業がありうる、ということです。面接で、ふだんの残業がどれくらいかを聞いておくと安心です。
超えたぶんがちゃんと払われているかは、入ってからも大事。計算のしかたは残業代の記事にまとめています。
03ボーナス「年2回」、もらえる約束なの?
ひとことでハローワークの求人なら、書いてあるのは去年の実績。今年も同じとはかぎらない。
ハローワークの求人では、「賞与」(ボーナスのこと)の欄に、制度があるかと、去年の実績が書かれます。たとえば「年2回・計4.0か月分」のような形です。ほかの求人サイトでは、書き方がちがうこともあります。
これは去年の結果です。ハローワークの資料にも、会社や本人の成績で変わることがある、と書いてあります。「4か月分」は、今年もらえる額とはかぎりません。会社のルールで額が決まっているなら、話は別です。
もうひとつ、「何の4か月分か」も会社によってちがいます。もし基本給をもとにするなら、01のB社のように基本給が低いと、ボーナスも小さくなります。わからなければ、面接で聞いてOKです。
ことば昇給
お給料が上がること。ハローワークの求人には、制度があるかと、去年1年の実績(「月に〇円」や「〇%」)が書かれます。
ポイント
年収で比べるなら、自分で足してみる
「月給×12か月+ボーナス(去年の実績)」で、年収の目安が出ます。B社なら、月25万円×12で300万円。そこにボーナスを足した額です。ただし、ボーナスは変わることがあります。
041年の休み、何日あれば多いほう?
ひとことで平均は1社あたり112.4日。120日台の会社がいちばん多い。
お金と同じくらい大事なのが、1年で休める日の数です。求人では「年間休日」と書かれます。国が30人以上の民間の会社を調べたところ、2024年の1年の休みは、1社あたり平均112.4日でした。
112.4日
1社あたりの、1年の休みの平均
116.6日
働く人1人あたりの、1年の休みの平均
働く人1人あたりで見ると、116.6日に増えます。会社の大きさで分けると、1,000人以上は平均117.7日、30〜99人は111.2日。人の多い大きな会社ほど休みが多いので、1人あたりだと高く出ます。会社ごとに見ると、こうなります。
出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」第4表(30人以上の民間企業)。「99日まで」は69日以下〜90〜99日の合計
土日だけを休みにすると、それで年に約104日。祝日や年末年始も休みなら、120日前後になります。もし105日くらいなら、祝日は出る日が多いのかも、と考えられます。
ことば週休2日制と完全週休2日制
「完全週休2日制」は、毎週2日休めること。ただの「週休2日制」は、2日休める週が、月に1回以上あること。ハローワークの求人では、毎週なら「毎週」、それ以外は「その他」と書かれます。
完全週休2日制の会社は、同じ調べで65.5%(その会社のおもな休みの形で数えた割合)。「完全」があるかないかで、休みの数がかなり変わることがあります。
05お試しの期間、お給料が下がることもある?
ひとことで下がることはある。そのときは、両方の額が書かれるはず。
試用期間は、入社してすぐの「お試しの期間」です。長さは会社ごとにちがい、そのあいだだけお給料が低い会社もあります。
それだけなら、ルール違反ではありません。ただ、条件がちがうなら、お試しのあいだと、そのあとの条件を、それぞれ書くことになっています。国の資料の例は「月給20万円(ただし、試用期間中は月給19万円)」です。
気をつけて
お試しの期間でも、最低賃金は守られる
最低賃金は、地域ごとに決まる、お給料のいちばん下の額です。お試しの期間でも、ふつうはこの額より低くはできません(労働局の許しを受けた特例はのぞく)。月給なら、みなし残業や通勤手当、家族手当、ボーナスなどをのぞいた額で比べます。それを、1か月に働く決まりの時間の平均で割ります。残業した時間は入れません。
ハローワークの求人では、お試しの期間の長さや、そのあいだの条件は「補足事項」の欄に書かれます。お金の欄だけで終わらせず、下のほうまで読んでみてください。
06新卒の枠で応募するなら、職場の数字も聞ける
ひとことで残業や有給のとりやすさを、会社に聞いていい。
卒業して3年以内なら、新卒の枠に応募できる会社もあります。新卒の枠の募集には、若者雇用促進法という法律で、職場のようすを教えてもらうしくみがあります。使えるのは、新卒の枠に応募するときだけ。卒業して3年以内でも、中途の枠なら使えません。
新卒の枠に応募した人や、応募しようとしている人に聞かれたら、会社は答える決まりです。次の3つのグループから、それぞれ1つ以上を出します。
- 採用のようす:3年で何人とって、何人やめたか/平均で何年働いているか
- 育てるしくみ:研修や、自分で学ぶときの手助けがあるか
- 働きやすさ:月の残業の平均/有給を平均何日とれたか/育休を取った人の数
お金の額だけでは、残業がどれくらいかは見えません。みなし残業がある会社なら、なおさら「月の残業の平均」を見ておきたいところ。ハローワークの新卒向けの求人なら、下のほうに載っていることが多いです。
メモ
聞いたことで、不利にしてはいけない
新卒の枠で聞いた人を、聞いたからといって不利にあつかわないこと。これも国の指針に書いてあります。中途の枠はこのしくみの外ですが、面接で残業や有給のことを聞くのは、ふつうのことです。
07応募する前に、求人を見てみよう
ひとことで書いてあれば安心。書いてなければ、聞く。
気になる求人で、書いてあったらタップ
当てはまったのは 0 / 7個
わからないところを、聞くまでの流れ
聞きたいことを、3つまでにしぼる
「基本給はいくら?」「みなし残業は何時間ぶん?」など、自分にとって大事なものだけ選びます。
ハローワークの求人なら、窓口で聞く
ハローワークの資料にも、わからないことは応募の前に聞いてほしい、と書いてあります。求人の中身について、窓口で相談できます。
面接や内定のときに、会社へ聞く
「求人の〇〇について、確かめさせてください」と言えばOK。聞いた答えは、日付と一緒にメモしておきます。
最後は、内定のときの書面と見比べる
内定のときにもらう「労働条件通知書」と、求人を並べて見ます。見るところは内定の記事にまとめています。
気をつけて
求人とちがう条件を出されたら
求人で出した条件を、あとから変えるとき。会社は、どこが変わったかを伝える決まりです(職業安定法)。理由を聞かれたら説明することも、国の指針に書かれています。「基本給30万円」が「28万円」になっていたら、理由を聞いてかまいません。
08よくある質問
Q「みなし残業」と「固定残業代」は、別のもの?
A決まった時間ぶんを、決まった額で先に払うお金なら、同じものと考えてOKです。ただ、「みなし労働時間制」という別のしくみもあります。外回りで時間がはかりにくい仕事や、時間の使い方をまかされた一部の仕事(裁量労働制)で使われます。実際の時間ではなく、決めた時間だけ働いたとみなすしくみです。求人の「みなし」がどちらなのか、わからなければ、聞いておくと安心です。
Q「月給22万円〜30万円」のように、幅があるときは?
A経験などで決まる、という意味のことが多いです。幅のある書き方でも、額が決まったら、会社はそれを伝えることになっています。いくらになりそうかは、面接で聞いてみてください。
Qお試しの期間中に、やめさせられることはある?
Aないとは言えません。ただ、お試しの期間でも、やめさせるにはきちんとした理由がいります。14日を超えて働いていれば、30日前の予告などもいります(労働基準法)。困ったときは、各地の総合労働相談コーナーで、無料で相談できます。
Q1年の休みに、有給休暇は入っている?
Aふつうは入っていません。「年間休日」は会社が決めた休みの日で、有給休暇はそれとは別に、自分でとる休みです。有給のルールは有給休暇の記事で書いています。
今日の最初の一歩
気になる求人を1つ開いて、月給を3つに分けてメモする
「基本給」「手当」「みなし残業(何時間ぶん)」の3つです。わからない欄があったら、そこが面接で聞くところ。5分で、その求人の見え方が変わります。
2026.10.05 公開 文・WE POP編集部
参考にした情報
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク リーフレット「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」
- 厚生労働省「令和6年度 ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数」
- 厚生労働省・都道府県労働局「労働者を募集する企業の皆様へ(職業安定法の改正等)」
- 厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」
- 厚生労働省「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)について」
- e-Gov法令検索「青少年の雇用の促進等に関する法律」(13条 青少年雇用情報の提供)
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「若者雇用促進法のあらまし(若者向け)」
- 厚生労働省・静岡労働局・ハローワーク「求人票(大卒等)の見方のポイント」
- 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査の概況」
- 厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」
- 鹿児島労働局「月給制の場合の、割増賃金の計算方法」
- 茨城労働局「労働基準法のあらまし(みなし労働時間制、裁量労働制)」
- e-Gov法令検索「最低賃金法」(7条 最低賃金の減額の特例)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(20条・21条 解雇の予告、36条 時間外労働の上限、37条 割増賃金、38条の2〜38条の4 みなし労働時間制)
- e-Gov法令検索「職業安定法」(5条の3 労働条件等の明示)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
- e-Gov法令検索「労働契約法」(第16条 解雇)
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