物語転職

この記事にはプロモーションを含みます。登場するレンさんやダイチさんたちは、WE POPが作った架空の人物です。数字は国の調査のものです。

居酒屋の送別会。うまく笑えないレンさんの肩に、課長の手。壁に「ダイチ おつかれさま!」、吹き出しに「レンは辞めないよな」

課長の「レンは辞めないよな」に、レンさんはうまく笑えませんでした。

去年の9月の終わり、同期のダイチさんの送別会でのことです。乾杯のあと、課長はレンさんの肩に手を置いて、笑いながらそう言いました。

ダイチ金曜 23:52

今日はおめでとう。新しいとこでもがんばれよ

ごめん、ほんとのこと言うと

おれだけ置いていかれた気がしてる

おれも辞めたほうがいいのかな

既読

送別会の帰りに、レンさんがこのLINEを送った相手は、ダイチさん本人です。2人は入社してから4年間、同じ物流センターで隣の席でした。

レンさんは当時26歳で、物流の会社で、トラックの配送ルートを組む仕事をしていました。4年前、内定をもらった3社の中から、自分で選んだ会社です。就活のときも、友だちが受けるからという理由では、1社も受けませんでした。入社した年の同期は6人で、辞めるのはダイチさんで3人目でした。

送別会は、駅前の居酒屋でした。ダイチさんはあいさつで「自分で選んでみたくなったんです」と言い、みんなが拍手しました。レンさんも手をたたきながら、ジョッキの持ち手が汗ですべるのを感じていました。そこへ、課長の「レンは辞めないよな」です。「はい」と答えた声は、自分でも聞こえないくらい小さく出ました。

帰りの電車で、レンさんは「同期 辞める 焦る」と検索しました。いちばん上の記事には「周りにつられて辞めるのはやめよう」とありました。そのとおりだと思いましたが、では自分はどうすればいいのかは、どこにも書いてありません。転職サイトを開いて、登録の画面まで進みました。「希望の職種」の欄で指が止まり、そのまま画面を閉じました。

週明け、レンさんはダイチさんが担当していた配送先を引き受けました。課長には「さすがレン」と言われました。それでも、空いた隣の席が目に入るたびに、胃のあたりが重くなりました。

01同期が辞めると焦る。自分も辞めるべき?

送別会の夜のLINEには、次の朝、ダイチさんから返事が来ました。その日の昼、2人は駅前のカフェで会いました。

ダイチ

送別会で笑えてなかったの、気づいてたよ

でも、おれが先を行ってるわけじゃないからな

ダイチは自分で選んだじゃん。おれは残ってるだけ

ダイチ

20代後半で辞める人、どのくらいいると思う?

図解20代後半で会社を辞めるのは、めずらしい?

25〜29歳で、1年のあいだに仕事を辞めた人17.7%約6人に1人

出典:厚生労働省「令和7年 雇用動向調査」(2025年の1年間)。パートで働く人や、契約が終わって辞めた人もふくみます。

6人に1人か。うちの同期は、もう3人目なのに

ダイチ

4年で3人だろ。1年で見れば、6人のうち5人は残ってる

どっちが正しいって話じゃないよ。レンが何を選びたいかだろ

それがわからないから、焦ってるんだよ

ダイチ

じゃあ、この4年でいちばん手応えがあった仕事を書いてみたら

言われたとおり、レンさんはスマホのメモに書き出してみました。思い出したのは、送別会の7か月前、2月のことです。残業が続いていたドライバーさんのために、配送の順番を組み直しました。帰りが30分早くなって、ドライバーさんに「助かったよ」と言われました。でも、その組み方をほかのルートにも広げたいと課長に出すと、「前からこのやり方だから」と通りませんでした。

ルートを組み直したのは、うれしかったな

ダイチ

それ、メモに残しとけ。外の人と話すとき、そのまま使えるから

外の人って、転職の?

相談したら、そのまま辞める流れになりそうで

02相談したら、辞める流れになる?

ダイチ

おれは辞める前に、転職エージェントに相談したよ

それはダイチが決めてたからだろ。おれが行ったら流されそう

ダイチ

相談はタダ。お金は、採用した会社が払うしくみなんだって

おれも最初は「まだ決めてない」って言ったよ

紹介された求人も、半分は断った

あと、辞めていいことばっかりってわけでもない。給料は最初、少し下がったし

転職の相談が無料で使えるしくみは、転職エージェントが無料のわけの記事でくわしく書いています。

03メモに書き足した、3つの道

その夜、レンさんはメモに、聞きたいことを3つ書きました。物流の4年は、外でどう見られるか。今の会社に残る場合と比べて、何が変わるか。働きながら、自分のペースで進められるか。いちばん下には、ルートを組み直した話も書いておきました。

書き終えてから、20代向けの転職エージェントのWEB面談を予約しました。辞めるか残るかは、話を聞いてから決めることにしました。

次の水曜の夜、レンさんは最初に「同期が辞めて、焦って申し込みました。辞めるかは決めていません」と伝えました。担当の人は「では、決めるための材料を集めましょう」と言いました。聞きたいことを3つ聞き終えると、今度はレンさんが質問されました。「この4年で、いちばん手応えがあった仕事は何ですか」。メモを見ながらルートの話をすると、担当の人は少し考えてから、こう言いました。

ノートPCの画面に映る、メガネとヘッドセットをつけたWEB面談の担当の人
WEB面談の担当の人「現場の困りごとを見つけて、やり方を変えて直す。レンさんがやりたいのは、ルートを組むことそのものより、仕事のやり方を良くすることかもしれませんね」
人差し指を立てて、はっと気づいた表情のレンさん

画面を閉じたあと、レンさんはメモのいちばん下に、道を3つ書き足しました。今の会社で、今の仕事を続ける。社内で、仕事のやり方を見直す部署を目指す。外で、改善の仕事を探す。焦っていたのは、辞めたいからではありませんでした。自分が何をしたいのかが、見えていなかったからです。

次の週、レンさんは課長に、やり方を見直す部署に移れないかを聞いてみました。課長は「うちだと、あと3年は今の仕事かな」と正直に答えてくれました。レンさんは、紹介された求人の中から、物流の会社で改善を担当する仕事を、自分で2社に絞って応募しました。辞めるのは、いちばん忙しい3月が終わってからと決めました。

あなたの場合面談の前に、聞きたいことを3つ書いてみる

書いた内容は、この端末の中にだけ残ります。

043月、同じ居酒屋で

年が明けた1月、物流の会社から、改善の担当として内定が出ました。次の日、レンさんは会議室で課長に伝えました。「3月が終わるまでは、ちゃんとやります」。課長は少しだまってから、「送別会で、辞めないよなって言ったのは悪かったな。ちゃんと考えたんだな」と言いました。

3月の終わり、レンさんの送別会は、ダイチさんのときと同じ駅前の居酒屋でした。残る同期のミナミさんは「私はここで、課長を目指すよ」と笑いました。レンさんは「ミナミなら、なれるよ」と、本気で返しました。お店には、ダイチさんも顔を出してくれました。

ダイチ

まさか、レンまで辞めるとはな

ダイチにつられたんじゃないよ

おれも、ちゃんと選んだ

ダイチ

知ってる。顔でわかるよ

ジョッキを上げて笑顔のレンさん

乾杯のとき、レンさんは声を出して笑っていました。半年前の同じ店では、ジョッキの持ち手が汗ですべっていました。

辞めるかどうかは、選べる道を聞いてから決める。

レンさんにとってあの面談は、ちゃんと選ぶためのメニュー表でした。

今日の最初の一歩

今夜、寝る前に、スマホのメモに「この仕事で、いちばん手応えがあったこと」を1つ書いてみる

5分で終わります。ほめられた場面でも、自分で工夫した場面でもかまいません。書けたら、その下に、面談で聞きたいことを3つ足してみてください。残るか辞めるかを考えるときの、自分の物差しになります。

2026.10.11 公開 文・WE POP編集部

参考にした情報

制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。

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