物語転職

この記事にはプロモーションを含みます。登場するハルカさんやリコさんたちは、WE POPが作った架空の人物です。数字は国の調査のものです。

夜の部屋のベッドの上で、スマホを持ったまま固まるハルカさん。同期のグループLINEに「未読112」、検索欄に「配属ガチャ 外れた 辞めていい」

未読112件。同期のグループLINEを、ハルカさんは3週間開けずにいました。

リコ日曜 23:02

夜にすみません

配属ガチャ、外れました

入社半年で辞めたいって言ったら、引きますか

既読

ハルカさんがこのLINEを送ったのは、配属の発表から3週間たった日曜の夜です。相手は、大学のサークルの1つ上の先輩、リコさんです。リコさんも前の年に、希望とは違う部署に配属されていました。

ハルカさんは当時23歳で、生活雑貨のメーカーに入って1年目でした。学生のころは、雑貨屋でアルバイトをしていました。7月の研修中に配属の希望を書く紙が配られて、第1希望に「商品企画」と書きました。父は電話で「希望が書ける会社でよかったな」と喜んでくれました。

9月の最後の金曜日、半年の研修が終わる日に、大きな会議室で配属の発表がありました。人事の人が、1人ずつ名前と部署を読み上げていきます。「ハルカさん、物流管理部」。呼ばれた瞬間、首のうしろがすっと冷たくなりました。隣の同期が「商品企画」と呼ばれて小さくガッツポーズをしたとき、ハルカさんは拍手をするのがやっとでした。

その夜、同期のグループLINEには「企画になった!」「営業がんばろ」と、メッセージとスタンプが次々に届きました。ハルカさんは返事を打ちかけて消し、通知を切りました。ベッドの上で「配属ガチャ 外れた 辞めていい」と検索しました。いちばん上の記事の見出しは「配属ガチャで辞めるのはもったいない」でした。見出しだけ読んで、画面を消しました。

週末、父に電話で「配属、希望と違った」とだけ言いました。父は「お父さんも最初は希望と違ったよ。希望を出し続ければ、いつか通る」と言いました。父は、30歳で希望の部署に移った人です。ハルカさんは「そうだね」と答えて、電話を切りました。

物流管理部の仕事は、倉庫の在庫の数を合わせて、毎朝の出荷の表を確かめることでした。課長はていねいに教えてくれます。でも、社内で異動の希望を出せるのは、3年目からでした。

01配属ガチャ外れた。辞めていい?

リコさんからは、10分ほどで返事が来ました。

リコ

引かないよ。私も去年、同じこと思ってた

どこって呼ばれたの?

物流管理部です。第1希望は商品企画でした

リコ

仕事が合わないと思って辞める人、めずらしくないよ

国の調査にも出てた

図解「仕事が合わない」で辞めるのは、めずらしい?

初めての会社を辞めた15〜34歳のうち、理由に「仕事が自分に合わない」をあげた人21.7%約5人に1人

出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」(2023年10月時点)。辞めた理由は、3つまで選べる質問です。

5人に1人か。私だけじゃないんだ

リコ

うん。だから辞めていいかより、なんで第1希望に商品企画って書いたのか、書き出してみて

ハルカさんは、スマホのメモに書き出してみました。新しい商品を考えたかったのかと聞かれると、少しちがう気がします。思い出したのは、大学2年の冬、雑貨屋のバイトでマグカップの棚を並べ替えた日のことでした。手書きのポップを1枚足したら、その週は、いつもの倍売れました。

棚を並べ替えて売れたのが、すごくうれしかったんです

リコ

それ、メモに残しといて。あとで効いてくるから

でも、それって商品企画なのかな

やりたいことがはっきりしないまま辞めるのも、こわいです

02やりたいことが言えないのに、相談していい?

リコ

私は去年、キャリアの相談に行ったよ

やりたいことも決まってないのに、行っていいんですか

辞める前提で話が進みそうで、こわいです

リコ

私も最初に「転職するか決めてないです」って言ったよ

相談はタダだった。入社が決まったら、採用した会社がお金を払うしくみなんだって

私は話してみて、結局今の会社に残ったし

転職の相談が無料で使えるしくみは、転職エージェントが無料のわけの記事でくわしく書いています。

03面談で聞かれた、第1希望のこと

その夜のうちに、ハルカさんはメモに聞きたいことを3つ足しました。1年目で辞めた人は、次の会社をどう選んでいるか。今の部署の経験は、外でどう見られるか。働きながら外を見ることはできるか。メモのいちばん上には、マグカップの棚の話が残っていました。

書き終えてから、20代から使えるキャリア相談の面談を予約しました。辞めるかどうかは、話を聞いてから決めることにしました。

次の土曜日の午前、画面の向こうの担当の人に、最初に「転職するかは、まだ決めていません」と伝えました。担当の人は「それで大丈夫ですよ」とうなずきました。聞きたいことを3つ聞き終えると、今度はハルカさんが質問されました。「第1希望に商品企画と書いたとき、どんな場面を思い浮かべていましたか」。メモを見ながらマグカップの棚の話をすると、担当の人は少し笑って、こう言いました。

ノートPCの画面に映る、メガネとヘッドセットをつけた面談の担当の人
面談の担当の人「選びたかったのは、商品企画という名前より、自分で変えたことにお客さんの反応がすぐ返ってくる仕事かもしれませんね」
人差し指を立てて、はっと気づいた表情のハルカさん

画面を閉じたあと、ハルカさんはメモの「商品企画」の横に「売り場づくり」と書き足しました。紹介された求人の中から、売り場づくりを担当する仕事を、自分で2つ選んで応募しました。応募書類には、物流管理部で毎朝見ている出荷の表のことも書きました。

あなたの場合面談の前に、聞きたいことを3つ書いてみる

書いた内容は、この端末の中にだけ残ります。

04お正月の実家と、次の春のLINE

12月、雑貨のお店をいくつも持つ会社から、売り場づくりの担当として内定が出ました。お正月、実家のこたつで、ハルカさんは自分から父に話しました。

お父さん

せっかく入った会社なのに、もったいなくないか

希望を出し続ければ、いつか通るのに

何を希望してたのか、やっとわかったの

次は自分で選ぶ

お父さん

そうか。自分で決めたなら、それがいちばんだ

4月、新しい会社の初日の朝礼で、ハルカさんは「売り場づくり担当のハルカさんです」と紹介されました。物流管理部で覚えた出荷の表の読み方は、今は棚の並びを決めるときに役に立っています。

最初の金曜日の夜、ハルカさんは同期のグループLINEを開きました。

同期のグループ金曜 21:15

今日、新人が入ってきたよ。もう1年かー

私は雑貨の会社で、売り場づくりを始めたよ

既読

ハルカっぽい! 今度お店行くね

笑顔のハルカさん

送ったあとで、ハルカさんは思い出しました。去年の秋、このグループの通知を切って、ベッドの上で「配属ガチャ 外れた 辞めていい」と検索していたことを。

辞めるかどうかは、希望の中身を人に話してから決める。

ハルカさんにとってあの面談は、第1希望の試着でした。

今日の最初の一歩

今夜、寝る前に、スマホのメモに第1希望に書いた仕事と、書いた理由を1行ずつ書いてみる

5分で終わります。理由が「なんとなく」でもかまいません。その仕事で、自分がうれしくなりそうな場面を1つ思い浮かべて、下に足してみてください。面談で聞きたいことを3つ足しておくと、当日あわてずに話せます。

2026.10.09 公開 文・WE POP編集部

参考にした情報

制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。

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