この記事にはプロモーションを含みます。登場するマオさんやユイさんたちは、WE POPが作った架空の人物です。数字は、金融庁と総務省の公表資料のものです。
先輩のやさしい「私と同じのにすれば?」が、マオさんにはいちばん痛い一言でした。
金曜の飲み会で、NISAの話になって
先輩に「何買ってる?」って聞かれた
私だけ、口座もなかった
NISAやってないのって、ヤバいのかな
既読去年の10月、マオさんがこのLINEを送った相手は、大学のサークルで一緒だったユイさんです。ユイさんも1年前までは、NISAの話になると黙っていたひとりでした。
マオさんは当時25歳で、文房具メーカーで販売の企画をしていました。一人暮らしで、手取りは20万円ほどです。貯金は、ふだん使う口座とは別に30万円ほどありました。
入社した年の春、一人暮らしを始めるとき、マオさんは母に言いました。「お金のことは、自分で決めるから」。母は笑って、ひとつだけ言いました。「わからないものには、お金を出さないのよ」。それからマオさんは、家賃もスマホのプランも、自分で調べて決めてきました。
LINEを送る2日前の金曜日、部署の飲み会がありました。乾杯から30分ほどで、話はNISAに移りました。「毎月いくら入れてる?」「つみたて、何にした?」。向かいのカナ先輩が、マオさんに顔を向けました。「マオちゃんは、何買ってる?」
マオさんは笑って、「私はまだで…そのうちやります」と答えました。「え、まだなの?」と誰かが言って、テーブルに笑いが起きました。カナ先輩は「私と同じのにすれば? あとで教えるよ」と言ってくれました。マオさんも一緒に笑いながら、ウーロン茶のグラスを持つ指に力が入っていました。
帰りの電車で、マオさんは「NISA やってない ヤバい」と検索しました。上のほうの記事には「やらないと損」と書いてありました。次の日、ネットの証券会社のアプリを入れて、商品を選ぶ画面を開きました。名前の長い商品が、ずらりと並んでいます。
カナ先輩と同じものを探しかけて、マオさんの指は止まりました。それでは、自分で決めたことにならない気がしたからです。どれが自分に合うのかは、いくら画面を見てもわかりませんでした。マオさんはアプリを閉じました。
LINEを送った日曜の昼には、母から電話がありました。「テレビでNISAってやってたけど、あんたもやってるの?」。マオさんは「うん、そのうちね」と答えて、すぐに別の話をしました。
01NISAやってないのは、ヤバい?
日曜の夜のLINEには、10分ほどでユイさんから返事が来ました。
去年の私と同じだ。私も飲み会で黙ってたよ
みんなやってるのに、私だけ口座もないんだよ
20代で口座を持ってる人、どのくらいいると思う?
20代の人口に対する、NISA口座の数29%約10人に3人
出典:金融庁「NISA口座の利用状況調査(2026年6月末時点)」の20歳代の口座数 376万5,430を、総務省「人口推計」の20〜29歳の人口 1,277万5千人(2026年4月1日現在の確定値)で割って、WE POPが計算しました(約29.5%)。NISA口座は1人1口座です。口座数と人口の時点は2か月ずれています。
じゃあ、持ってないのは私だけじゃないんだ
うん。でも、ヤバいかどうかって、考えても答えが出ないでしょ
それより、毎月いくらなら回せるか、わかってる?
わかんない。検索したら、月3万とか書いてあって
それ、マオの数字じゃないよね
給料日の前の日に、口座にいくら残ってたか、3か月分見てみて
マオさんは銀行のアプリを開いて、3か月分をさかのぼりました。給料日の前の日の残高は、7月が8,400円、8月が5,100円、9月が6,900円でした。マオさんは、3つの数字をスマホのメモに写しました。
毎月、少しは残ってた。でも、これを回していいのかわからない
急に何かあったら、と思うとこわくて
02相談したら、売り込まれそう
ユイさんとのLINEは、日付が変わるまで続きました。
私もそこで止まって、お金の無料相談で、毎月の流れを見てもらったよ
相談したら、保険とか、よくわからない商品をすすめられそう
保険の話も出たよ
でも、その日は聞くだけにして、入らなかった
NISAで何を買うかも、最後は自分で調べて選んだよ
決めるのは、自分なんだ
無料のお金の相談で何が聞けるか、すすめられたときの断り方は、無料のお金の相談、何が聞ける?の記事でくわしく書いています。
03給料日の前の日の、3つの数字
その夜、マオさんはスマホのメモに、聞きたいことを3つ書きました。毎月いくらまでなら、暮らしを変えずに回せるか。別の口座の30万円は、どれくらい残しておけばいいか。NISAを始めるなら、何から調べればいいか。いちばん下には、3か月分の残高も残しておきました。
書き終えてから、オンラインで受けられるお金の無料相談を、スマホから申し込みました。NISAを始めるかどうかは、話を聞いてから決めることにしました。
申し込んでから2週間後の土曜日の午前、マオさんは画面の向こうの担当の人と、1か月のお金の流れを表にしました。家賃や光熱費、スマホ代を順に引いていくと、何にいくら出ているかが見えてきました。
そのあとで、マオさんは聞かれました。「給料日の前の日には、口座にいくら残っていますか」。メモの3つの数字を読み上げると、担当の人は少し考えてから、こう言いました。
NISAで買うものは値段が上がり下がりして、入れたお金より減ることもある、と担当の人は話してくれました。保険の話も少し出ましたが、マオさんは「今日はお金の流れだけで」と伝えました。画面を閉じたあと、マオさんはメモを見ながら決めました。いちばん少なかった8月でも、5,100円は残っています。減っても暮らしが変わらない額にしたくて、毎月3,000円にしました。何を買うかは、金融庁のサイトでしくみを読んでから、12月に自分で選びました。
NISAのしくみと、減ることもある点は、新NISAの記事にまとめています。
あなたの場合相談の前に、聞きたいことと自分の数字を書いてみる
書いた内容は、この端末の中にだけ残ります。
04次の4月、同じ店で
半年後の4月、部署の歓迎会は、去年の10月と同じ店でした。乾杯から30分ほどたったころ、隣に座った新人の子が、小さな声で聞きました。「マオさんは、NISAってやってるんですか」。向かいのカナ先輩も、こちらを見ています。
うん。月3,000円、自分で決めた
え、いつの間に。いいじゃん
自分で決めた額なら、続けやすいよね
何を買うかも、自分で選んだんです
帰りの電車で、マオさんは証券会社のアプリを開きました。12月から4月の分まで、毎月3,000円ずつ、あわせて1万5,000円分を買っています。買った額より少し上の月も、下の月もありました。商品の画面を開いても、もう指は止まりませんでした。
その週末、マオさんは自分から母に電話をかけました。「NISA、始めたよ。毎月いくら回せるか、見てもらってから決めた」。母は少し黙ってから、「わかってから決めたなら、いいわね」と言いました。10月には「そのうちね」で切り上げた話を、今度はマオさんのほうから続けました。
始めるかどうかは、回せる金額を見てもらってから自分で決める。
マオさんにとってあの相談は、自分で決めるためのお金の採寸でした。
今日の最初の一歩
今夜、寝る前に、銀行のアプリで給料日の前の日の残高を3か月分メモする
5分で終わります。給料日の前の日に、口座にいくら残っていたかを、スマホのメモに写してみてください。いちばん少ない月の数字が、毎月回しても暮らしが変わらない額を考えるもとになります。相談するときの、聞きたいことのもとにもなります。
2026.10.11 公開 文・WE POP編集部
参考にした情報
- 金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果(令和8年6月末時点)の公表について」(令和8年10月2日)
- 金融庁「NISA口座の利用状況調査(2026年6月末時点)」Excel(NISA口座数 総数30,480,850、20歳代3,765,430)
- 総務省統計局「人口推計 2026年(令和8年)9月報」(2026年4月1日現在の確定値:20〜24歳 6,175千人、25〜29歳 6,600千人)
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAとは?」(口座は1人につき1口座、18歳以上)
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「資産形成の基本」(株式や投資信託には元本割れのおそれもある)
制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。