物語お金

この記事にはプロモーションを含みます。登場するタクミさんやハヤトさんたちは、WE POPが作った架空の人物です。数字は、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の調査のものです。

夜のコンビニのレジ。カゴからおにぎりを1つ取り出して、店員さんに渡すタクミさん。頭の上に、思い出した残高「2,814円」

残高2,814円。思い出した瞬間、タクミさんはカゴからおにぎりを1つ出していました。

ハヤト月曜 23:06

親父には「貯金してる」って言ってるんだけど

ほんとはゼロなんだよね

手取り20万で一人暮らしして、貯金できないのっておかしいかな

既読

去年の9月、タクミさんがこのLINEを送った相手は、大学の寮で同じ階だったハヤトさんです。ハヤトさんも一人暮らしで、前の年に、同じことで悩んでいました。

タクミさんは当時25歳で、ソフトウェアの会社で、問い合わせの窓口をしていました。手取りは20万円ほどで、家賃は6万8,000円です。

入社した春、家を出る日に、父は言いました。「自分の給料で暮らせて、一人前だぞ」。タクミさんは「仕送りはいらないから」と笑って答えました。最初の給料日には、20万円が入った口座の画面を、うれしくてスクショしました。

LINEを送った日は、給料日の3日前の月曜日でした。仕事の帰りに、タクミさんは駅前のコンビニで、おにぎりを2つとお茶をカゴに入れました。レジの列に並んだとき、金曜にATMで見た明細の数字を思い出しました。残高は2,814円。給料日まで、あと3日あります。

自分の番が来て、タクミさんはカゴからおにぎりを1つ出しました。「すみません、これやめます」。うしろに並ぶ人の視線を感じて、首すじに汗がにじみました。

その夜は「手取り20万 一人暮らし 貯金できない」と検索しました。上のほうの記事には「手取りの2割は貯金に」とありました。4万円と計算したところで、画面を閉じました。

8月には、SNSで見た「1日1,000円で暮らす」を試していました。続いたのは4日で、金曜の送別会で2日分が消えました。それからは、給料日の10日前になると、銀行のアプリを開かなくなりました。

LINEを送る前の日、日曜の夜には、父から電話がありました。「ちゃんと貯金してるか」。タクミさんは「してるしてる」と答えて、すぐに別の話をしました。

01手取り20万で貯金ゼロは、おかしい?

月曜の夜のLINEには、10分ほどでハヤトさんから返事が来ました。

ハヤト

おれも去年、同じだったよ

20万あるのに残らないの、おれだけじゃない?

ハヤト

やりくりが苦しかった人の数、調査で出てるよ

図解20代の一人暮らしで、やりくりが苦しいのはめずらしい?

この1年の家計のやりくりを「思ったより苦しかった」と答えた、20代の一人暮らしの人25.4%約4人に1人

出典:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」2025年。世帯主が20歳代の548世帯の回答です。質問は「過去1年間の家計の運営」についてです。

4人に1人か。おかしいってほどでもないのか

ハヤト

うん。それより、20万がどこに行ってるかは知ってる?

家賃が6万8,000円で、あとはわかんない

アプリ、こわくて開けてないし

ハヤト

じゃあ残高じゃなくて、レシートを1週間とっといて

捨てずに、財布に入れたままにしとくの

次の日から1週間、タクミさんはレシートをためました。翌週の月曜の夜に並べると、14枚で9,860円です。そのうち8枚は、夜10時をすぎてから、帰り道のコンビニで買ったものでした。お菓子に缶チューハイ、ホットスナック。何を買ったのか、半分は覚えていませんでした。タクミさんは、8枚の合計の6,140円をスマホのメモに書きました。

昼のおにぎりは削ってたのに、夜に使ってた

でも、どこをどれだけ削ればいいのか、自分じゃわかんない

02家計簿もないのに、相談していい?

ハヤト

おれは去年、お金の無料相談で、1か月の流れを見てもらったよ

家計簿もつけてないのに? 何を話せばいいかわかんない

保険とか、すすめられそうだし

ハヤト

おれもレシートと、アプリの履歴だけで行った。表は一緒に作ってくれたよ

保険の話も少し出たけど

「入るかは考えます」って言ったら、それで終わったよ

無料のお金の相談で何が聞けるか、すすめられたときの断り方は、無料のお金の相談、何が聞ける?の記事でくわしく書いています。

03夜10時すぎの、8枚のレシート

その夜、タクミさんはスマホのメモに、聞きたいことを3つ書きました。手取り20万で、家賃6万8,000円は高すぎるのか。毎月いくらなら、無理なく残せるのか。給料日前に足りなくならないために、どこから見直せばいいのか。いちばん下には、夜のレシート8枚の合計も残しておきました。

書き終えてから、オンラインで受けられるお金の無料相談を、スマホから申し込みました。どこを削るかは、話を聞いてから決めることにしました。それから、2週間ぶりに銀行のアプリを開いて、1か月分の出入りをメモに写しました。

10月4日の土曜の午前、タクミさんは画面の向こうの担当の人と、1か月のお金の流れを表にしました。家賃や光熱費、スマホ代など、毎月決まって出ていくお金を引くと、残りは11万円ほどです。家賃は高めでも、それだけで足りなくなる額ではありません。残りの11万円が、食費や日用品、飲み会で、毎月ほとんど消えていました。

そのあとで、タクミさんは聞かれました。「1週間のレシートで、自分でおどろいたものはありますか」。夜のレシート8枚と、昼のおにぎりを1つに減らした話をすると、担当の人は電卓をたたいてから、こう言いました。

ノートPCの画面に映る、ヘッドセットをつけた相談の担当の人
相談の担当の人「夜の分は、ひと月にすると2万6,000円ほどになります。削るなら、お昼のおにぎりより先に、こちらですね」
人差し指を立てて、はっと気づいた表情のタクミさん

タクミさんは、9月のレジを思い出しました。削っていたのは、昼のおにぎり1つのほうでした。保険の話も少し出ましたが、「入るかどうかは、また考えます」と言って、その日は聞くだけにしました。画面を閉じたあと、タクミさんはメモを見ながら決めました。夜のコンビニは、週に2回まで。給料日の次の日には、1万円が積立の口座へ移るように設定しました。そして、毎週月曜の朝の電車で、残高を見ることにしました。

あなたの場合相談の前に、聞きたいことを書いてみる

書いた内容は、この端末の中にだけ残ります。

0412月22日、同じレジで

12月22日の月曜日も、給料日の3日前でした。仕事の帰りに、タクミさんは駅前の同じコンビニに寄りました。カゴには、おにぎりを2つとお茶。レジの列で、タクミさんはスマホを出して、銀行のアプリを開きました。

残高は1万9,400円。積立の口座には、10月と11月に入れた2万円があります。給料日までの3日分には、じゅうぶん足ります。タクミさんは、おにぎりを2つとも買いました。店を出て、ハヤトさんにLINEを送りました。

ハヤト月曜 19:48

給料日前も、残高を見られる

既読

おお、やったな

で、おにぎりは何個?笑

2個

既読
スマホの銀行アプリの画面を見て笑うタクミさん

年末、タクミさんは実家に帰りました。夕飯のあとで、父に聞かれました。「ちゃんと貯金してるか」。タクミさんは少し考えてから、「9月まではゼロだった。今は毎月1万ずつ」と答えました。父は笑って、「おれも若いころは、給料日前はカップ麺だったよ」と言いました。9月の電話でごまかした話を、今度は最後まで話せました。

どこを削るかは、給料の行き先を見てもらってから決める。

タクミさんにとってあの相談は、残高をもう一度見るための、20万円の地図でした。

今日の最初の一歩

今夜、寝る前に、スマホのメモに「この1週間でなんとなく買ったもの」を思い出せる分だけ書く

5分で終わります。レシートやアプリを見なくても、覚えている分だけでかまいません。明日からの1週間、レシートを財布に入れたままにしておくと、思い出せなかった分も見えてきます。相談するときの、聞きたいことのもとにもなります。

2026.10.12 公開 文・WE POP編集部

参考にした情報

制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。

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