物語転職

この記事にはプロモーションを含みます。登場するカイトさんやリクさんたちは、WE POPが作った架空の人物です。数字は国の資料のものです。

後輩の歓迎会。ほめられて照れる後輩のミナトさんの横で、ジョッキを持ったまま笑顔が引きつるカイトさん。吹き出しに「カイトより速いんだよな」

笑って「だろ?」と言いながら、カイトさんは心の中で「負けた」と思っていました。ほめられていたのは、自分が仕事を教えている後輩でした。

リク日曜 22:37

ミナトのこと、ちゃんと応援したいんだよ

なのに、あいつがほめられると素直に喜べない

2年目で転職を考えるのって、早いかな

既読

歓迎会から9日たった日曜の夜、LINEを送った相手は、大学のフットサルサークルで1つ上だったリクさんです。リクさんは去年、2年目の秋に転職して、今は別の会社で働いていました。

カイトさんは24歳で、機械の部品を扱う商社で、電話とメールで注文を受ける仕事をしていました。入社2年目の5月、新しく入ったミナトさんの教育係を任されました。ハヤシ課長には「カイトの背中を見せてやってくれ」と言われました。その夜は、少し胸を張って帰りました。

ミナトさんは表計算が得意で、覚えるのも速い人でした。3週間ほどたった金曜日、ミナトさんの歓迎会がありました。乾杯のあとで、ハヤシ課長が笑って言いました。「ミナトはもう、見積もりがカイトより速いんだよな」。

テーブルがわっと笑い、ミナトさんは「カイトさんのおかげです」と頭を下げました。カイトさんも「だろ?」と笑いました。そのとき、口の両はしが上がったまま、下りなくなりました。ジョッキの持ち手が、手のひらの汗ですべりました。

次の週、カイトさんは毎朝30分早く出社して、見積もりの画面の操作を覚え直しました。1件20分かかっていた見積もりは、15分になりました。ミナトさんは8分です。

その週の水曜日、ミナトさんに質問されて、カイトさんは「それ、マニュアルに書いてあるよ」とだけ答えました。ミナトさんの小さな「すみません」が、その日ずっと耳に残りました。週末に「2年目 転職 早い」と検索すると、「2年目で辞めると逃げぐせがつく」という見出しが出てきました。カイトさんは、その記事を開けませんでした。

012年目で転職は、早い?

リクさんからの返事は、5分もしないうちに来ました。

リク

ミナトくんって、春に入った子?

そう。俺が教えてるのに、見積もりはもう俺より速い

それで後輩にイラッとする自分が、いちばんイヤなんだ

リク

2年目で動いた人、俺のまわりにもいるよ

図解2年目までに会社を辞める人は、どれくらい?

就職して2年目までに辞めた人21.8%約5人に1人

そのうち、2年目の1年間に辞めた人10.8%約9人に1人

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(大卒、2023年3月卒。2025年6月時点)。会社の大きさや業種によって差が大きいです。

リク

早いかどうかより、何で負けてて、何で負けてないかを分けてみたら?

速さは完全に負けてる

リク

じゃあ、ミナトくんにまだできないことは?

……お客さんの電話は、なぜか俺に回ってくる

先週も、電話の最後に型番を読み上げたら、お客さんの書き間違いが見つかった

リク

それ、ミナトくんにもできる?

まだ無理だと思う。でも、そんなの仕事のうちに入るのかな

カイトさんは、その型番の話をスマホのメモに書きました。お客さんに「カイトさんいる?」と名前で呼ばれたことも、思い出せる分だけ書き足しました。

外も見てみたい気はする

でも、転職するって決めてないのに、相談なんか行っていいのかな

02決めていないのに、相談していい?

リク

俺は、20代の転職を手伝うエージェントで相談したよ

最初に「まだ決めてないけど、考えてる」って言った

でも2年目の俺に、話せることなんてある?

リク

さっきメモした型番の話、そのまま持っていけばいいよ

お金は? 強引に応募させられない?

リク

相談はタダ。お金は採用する会社が払うしくみだから

俺も、応募しなかった会社のほうが多いよ

転職の相談が無料で使えるしくみは、転職エージェントが無料のわけの記事でくわしく書いています。

03「名前で呼ばれることは、ありますか」

リクさんとのLINEを終えたその夜、カイトさんはメモの上に、聞きたいことを3つ足しました。2年目で辞めた人は、次の会社でどう見られるか。速さで勝てない自分に、向いている仕事はあるか。今の会社で働きながら、次を探せるか。いちばん下には、型番の話が残っていました。

書き終えてから、20代の転職を手伝うエージェントに、スマホで面談を申し込みました。転職が早いかどうかは、外で話を聞いてから決めることにしました。

面談は、申し込んでから11日後の木曜日の夜でした。最初に、カイトさんは「転職するかはまだ決めていないんですが、考えています」と伝えました。聞きたいことを聞き終えると、担当の人が言いました。「お客さんから、名前で呼ばれることはありますか」。カイトさんはメモを見ながら、型番の話をしました。担当の人は最後まで聞いてから、こう言いました。

ノートPCの画面に映る、メガネとヘッドセットをつけた面談の担当の人
面談の担当の人「速く処理する人と、最初に話を聞く人は、役目が違います。カイトさんは、お客さんの話を最初に聞く仕事で、力が出る人かもしれませんね」
人差し指を立てて、はっと気づいた表情のカイトさん

面談のあと、カイトさんはメモの型番の行を何度も見返しました。ミナトさんと同じ物差しだけで、自分を測っていたと気づいたからです。紹介された6社の中から、お客さんの相談を最初に受ける仕事を、カイトさんは自分で2社選んで応募しました。

あなたの場合面談の前に、聞きたいことと、頼られた場面を書いてみる

書いた内容は、この端末の中にだけ残ります。

049月の最後の金曜日、同じ店で

8月、カイトさんは2社のうち1社から内定をもらいました。工場の機械を扱う会社で、お客さんからの相談を最初に受ける仕事です。退職を伝えると、ハヤシ課長は少し黙ってから言いました。「さみしいけど、電話のカイトがいなくなるのは痛いな」。

送別会は、歓迎会と同じ居酒屋でした。乾杯のあと、ミナトさんがグラスを持って隣に来ました。「カイトさんの電話、ずっとまねしてました。最後に型番を読み上げるやつです」。

カイトさんは「ミナト、すごいな。見積もりなんか、もう俺の倍は速いもんな」と言って笑いました。今度は、心の中で「負けた」とは思いませんでした。

リク金曜 23:12

今日、ミナトに、すごいな、って普通に言えた

4か月前は、同じ店で顔がひきつってたのに

既読

背中、ちゃんと見せてたんじゃん

笑顔のカイトさん

ミナトさんがまねしていたのは、速さで負けていると思っていたころも、カイトさんが毎日続けていたことでした。

転職が早いかどうかは、外で強みを聞いてから決める。

カイトさんにとってあの面談は、自分の背中を見るための合わせ鏡でした。

今日の最初の一歩

今夜、寝る前に、スマホのメモに「人から頼られた場面」を1行書いてみる

5分で終わります。名前で呼ばれたこと、「〇〇さんに聞いて」と回ってきた仕事など、小さなことでかまいません。書けたら、面談で聞きたいことも3つ並べておくと、話しやすくなります。

2026.10.13 公開 文・WE POP編集部

参考にした情報

制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。

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