物語転職

この記事にはプロモーションを含みます。登場するアヤネさんやマキさんたちは、WE POPが作った架空の人物です。数字は国の調査のものです。

給料日の夜、テーブルにスマホを伏せて悩むアヤネさん。横には「昇給 +3,000円」の明細と、押されなかったハートの印

3,000円と、100万円。その夜、アヤネさんは友だちの投稿にいいねを押せませんでした。

マキ日曜 23:26

ミオの投稿に、おめでとうって言えなかった自分がいやだ

5年まじめにやってきて、これなのかな

年収が低いのって、私のせいなのかな

既読

給料日から2日たった日曜の夜、アヤネさんがこのLINEを送った相手は、大学のゼミで一緒だったマキさんです。マキさんは2年前に転職して、今は別の会社で働いていました。

アヤネさんは27歳で、物流会社の事務所で、倉庫の在庫と出荷を管理する仕事をして5年目でした。大学のころから、友だちの投稿にはいちばんにいいねを押す人で、ゼミでは「いいね係」と呼ばれていました。3月の評価面談では、オオタ課長に「出荷チェック表のおかげで、誤出荷がほとんどなくなったよ」と言われていました。

4月の給料日、金曜の夜のことです。明細アプリを開くと、基本給は先月より3,000円だけ増えていました。そのあとで開いたインスタに、同じゼミのミオさんの投稿が出てきました。「転職して半年。年収が100万円上がりました」。おめでとう、より先に「なんで」が浮かんで、首のうしろが熱くなりました。アヤネさんはハートを押さないまま、スマホを麦茶のコップの横に伏せました。

その夜、アヤネさんは「27歳 年収 低い 自分のせい」と検索しました。出てきた記事には、同じ年の人の年収として、自分より高い数字が並んでいました。「年収が低い人の特徴」という見出しまで読んで、画面を閉じました。

次の日の土曜日、アヤネさんは本屋で簿記の参考書を買いました。力をつければ、給料もあとからついてくると思ったからです。でも、どの資格なら今の会社の給料に届くのかは、どこにも書いてありません。日曜の夜になっても、参考書のしおりは20ページめにはさまったままでした。

01年収が低いのは、自分のせい?

日曜の夜のLINEには、マキさんからすぐに返事が来ました。

マキ

ミオの投稿でしょ。私も見たよ

同じゼミで、私だけ置いていかれてる気がする

マキ

私が転職したときは、上がる会社と下がる会社、両方から話が来たよ

下がることもあるの?

マキ

あるよ。上がる人ばかりじゃないみたい

図解転職したら、みんな年収が上がる?

25〜29歳で転職して、前の会社より給料が上がった人49.8%約2人に1人

25〜29歳で転職して、前の会社より給料が下がった人23.9%約4人に1人

出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査」(2025年の1年間に転職した人の給料の変わり方、25〜29歳)。ほかに25.0%が「変わらない」でした。

同じ人でも、行く会社で上がったり下がったりするんだ

マキ

そう。だから自分のせいか考えるより、アヤネの仕事が外でどう見えるかを聞いてみたら?

年代ごとの数字や、年収の比べ方は、転職で給料は上がる?の記事でくわしく書いています。

でも私、5年で褒められたのって、出荷のチェック表くらいだよ

あんなの、誰でも作れるし

マキ

誰でも作れるなら、なんで前の人は作ってなかったの?

……わかんない

アヤネさんは、マキさんのその一言を、スマホのメモに書き写しました。答えは、まだ出ていません。

でも外に聞くって、今の年収を人に言うってことだよね

それがいちばん恥ずかしいかも

02低い年収を、人に言うのがこわい

マキ

私は、キャリアの相談ができる転職サービスで話したよ

年収を言ったら、それくらいの人なんだって思われそう

マキ

私が言ったときは、担当の人は普通にメモしてただけだったよ

お金はかかるの?

マキ

相談はタダだった。お金は、採用する会社が払うしくみなんだって

下がる話の会社は、そこで断ったし

去年の年収は、源泉徴収票で確かめてから行くと話が早いよ

転職の相談が無料で使えるしくみは、転職エージェントが無料のわけの記事でくわしく書いています。

03「今も使われているものは、ありますか」

その夜、アヤネさんは源泉徴収票を出して、去年の年収をメモのいちばん上に書きました。その下に、聞きたいことを3つ並べました。今の経験は、ほかの会社でどんな仕事につながるか。今の年収から見て、どのくらいの求人があるか。働きながら、次を探せるか。いちばん下には、マキさんの「なんで前の人は作ってなかったの?」が残っていました。

書き終えてから、キャリアの相談ができる転職サービスに、スマホで面談を予約しました。自分のせいかどうかは、外で話を聞いてから決めることにしました。

予約した次の週の水曜の夜、オンラインの面談で聞きたいことを聞き終えると、担当の人が言いました。「アヤネさんが始めたことで、今も使われているものは、ありますか」。アヤネさんは、2年目に作った出荷チェック表の話をしました。今では、ほかの2つの倉庫でも使われています。話しているうちに、前の人が作っていなかった理由にも気がつきました。誰も、ミスの原因を記録していなかったのです。担当の人は最後まで聞いてから、こう言いました。

ノートPCの画面に映る、メガネとヘッドセットをつけた面談の担当の人
面談の担当の人「ミスの原因を集めて、起きない仕組みにしたんですね。こういう経験に、お金を払う会社はあります。今の会社の物差しだけでは、測れていないのかもしれません」
人差し指を立てて、はっと気づいた表情のアヤネさん

画面を閉じたあと、アヤネさんはメモのいちばん下の行に、答えを書き足しました。「誰も、原因を記録していなかったから」。低かったのは、自分の力より、物差しのほうだったのかもしれません。紹介された求人の中から、出荷のミスを減らす仕組みを作る仕事を、アヤネさんは自分で2つ選んで応募しました。

あなたの場合面談の前に、自分の仕事を書き出してみる

書いた内容は、この端末の中にだけ残ります。

0411月、給料日の夜に

7月、アヤネさんは応募した2社のうち1社から、内定をもらいました。示された年収は、今より少し高い金額でした。退職を伝えると、オオタ課長は「さみしいな」と言ってから、少し笑いました。「あのチェック表、外でもちゃんと見てもらえたんだね」。

9月から、アヤネさんは通販の会社で、倉庫の出荷のミスを減らす仕事を始めました。最初の週に作ったのは、ミスの原因を記録する表です。

11月の給料日の夜、アヤネさんは同じテーブルで、麦茶を飲みながら明細アプリを開きました。そのあとでインスタを開くと、ミオさんの新しい投稿が出てきました。転職して1年たった職場の、チームの写真です。今度は、親指は止まりませんでした。

マキ火曜 22:48

今日、ミオの投稿に心から、いいねを押せた

自分の明細を見たあとでも、ちゃんと

既読

いいね係、復活だね

笑顔のアヤネさん

送ったあとで、アヤネさんは思い出しました。7か月前の給料日の夜、同じテーブルで、スマホを伏せていたことを。

自分のせいかどうかは、外での値段を聞いてから決める。

アヤネさんにとってあの面談は、自分の5年にいいねを押すための見積もりでした。

今日の最初の一歩

今夜、寝る前に、スマホのメモに「自分が始めて、今も続いていること」を1行書いてみる

5分で終わります。作った表、変えた手順、頼まれるようになった仕事など、小さなことでかまいません。源泉徴収票か明細アプリで、去年の年収も1行書いておくと、面談で話しやすくなります。

2026.10.13 公開 文・WE POP編集部

参考にした情報

制度や数字は記事の公開日(直した記事は更新日)時点の情報です。最新の情報は各公式サイトで確認してください。

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